CLASSIC ROCKを聴こう! PLUS

1960年から1980年代のロックを紹介していきます。またPLUSと言うことで、ロック以外の話題も!

ジョン・ウェットンとウィッシュボーン・アッシュ

2015年09月18日 | Wishbone Ash

プログレ・ハード系のロックにおいて、この人ほど需要の多いベース・プレイヤーは他にいないのではないか? 
ベース・プレイはしっかりしているし、歌もうまい。 人手の足りないバンドにおいて、非常に重宝する存在である。

そう、ジョン・ウェットンのことである。

1970年代初頭から、ベースのセッションもしくはレギュラー・プレイヤーとして多くのアーチストのアルバムに参加していた。

有名なところでは、
1971-72年のロック・バンド、ファミリーに参加
1973年にはジェネシスのメンバーであるピーター・バンクスやブライアン・イーノのソロアルバムに参加。
それを皮切りに、ロキシー・ミュージック関連で1974年頃からブライアン・フェリーやフィル・マンザネラのソロ・アルバムや、ロキシーのライブ・アルバムにも登場。

レギュラー・メンバーとしては、1973-75年にかけて絶頂期のキング・クリムゾンに参加。アルバム・レッドを最後にクリムゾンが解散した1975-76年には、ユーライア・ヒープのメンバーとなる。

その後、1978年にプログレ・バンドのUKを設立。

そして1980年にソロ・デビューし、1982年にスーパー・グループ、エイシアをスタートさせ世界的に大ヒットさせ、今現在においても切れ目のない活動を続けている稀有の存在である。

そのソロ・デビューとエイシア結成の狭間となる1981年に、なんと彼はウィッシュボーン・アッシュにも参加していたのである。

それが、ウィッシュボーン・アッシュのスタジオ11作目のNUMBER THE BRAVEだった。
結成当時からのベース/ボーカル担当のマーチン・ターナーが脱退したことからジョン・ウェットンがその代わりとして加入したのだ。

80年代に入り、世の中の音楽の嗜好も変わり、時代の流れに合わせたアルバムの制作という考えから、プロデューサーに当時ポリスをプロデュースしていたナイジェル・グレイを迎えた。

そして完成したアルバムは、初期4枚のアルバムに共通していた、イギリスのトラッド・フォークやブルースなどを、自慢のツイン・リードを生かして独特のロック・サウンドは何処やら、完全に80年代のシンプルかつストレートなサウンドに変身していた。アメリカ向けのファンキーな曲も2曲ほど含まれ、そのうちの1曲が、かってスモーキー・ロビンソンがテンプテーションの為に作ったR&Bの名曲、GET READYをカバーしたのであった。ウィッシュボーン・アッシュ流に2本のギターを絡ませスピード感溢れたサウンドとなった。

ところで、当時アメリカ盤を購入したのだが、2000年代になって紙ジャケCDが出てそれも買ってみたところ、曲順が違うのに気がついた。
紙ジャケは英盤の曲順をフォローしており、1曲目は彼らのオリジナルのLOADEDから始まる。米盤はもちろん、GET READYである。LPレコードのオープナーは非常に重要で退屈な曲が1曲目だと、最後まで聞いてもらえない可能性も出てくる。やっぱり、アメリカで売るなら、1曲目にファンキーなGET READYを持ってくるのは当然といえば当然。


しかしながら、残念なことに時代の流れを掴み損ねたのか、アルバムは全米202位/全英61位と今までのチャート・アクションとしては最低を記録し、これ以降は、彼らの出したアルバムはアメリカではチャート・インすらしなくなったのだ。

やる気満々だったジョン・ウェットンはこのアルバムのために数曲を作ったのだが、結局1曲しか採用されず、バンド内での自身の立ち位置がどうも他のメンバーと対等でないことを察知し、このアルバムのみの参加で脱退するのであった。そしてこの時に作り、ボツになった曲は、改作されエイシアのデビュー・アルバムに使用されたとのこと。

ウィッシュボーン・アッシュといえば、オリジナル・メンバーはギターのアンディ・パウエルのみとなったが、現在でも新譜を出したりライブ活動なども続けているようである。

新譜を出してもチャートインすらしないこのバンドがなぜ現在まで生き延びられたのかというと、初期4枚のアルバムを今でも覚えているオールド・ファンがサポートしているのである。
5枚目のアルバムからサウンドにアメリカ色が強くなり、その後も時代に迎合しようとし色々と変革を試みるのではあるが、デビューから45年経った今でもウィシュボーン・アッシュといえば、PHOENIX、アルバムで言えばARGUSとなるのである。

彼らが新譜を出すと、その内容の比較の対象となるのが初期のアルバムのサウンドなのである。オールド・ファンにとっても、彼らの新譜を購入するのは、新しい楽曲の中に初期のサウンドの痕跡がないだろうかとノスタルジックな気持ちからくるなんらかの期待が生じるからかもしれない。つまりオールド・ファンは全く新しいサウンドを求めているのではなく、45年前の若かった時の記憶を引き出すために当時のサウンドに近いものを求めているのではないだろうか?

彼らの新譜はここのところご無沙汰であるが、再発された旧譜でも聴いては、ジョン・ウェットンとウィッシュボーン・アッシュには出来るだけ長く活動を続けて欲しいものだと心の中でいつも応援しているのである。

Wishbone Ash - Ged Ready (The Temptations cover)



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