本日はニール・ヤングが1977年に出したアルバムのタイトルがAmerican Stars N Bars。
Stars And Barsと言えば、18世紀リンカーンの奴隷制度廃止が引き金になって黒人の労働力に大いに依存していた南部の7州がそれに不満を持つ事によってアメリカより独立宣言し、アメリカ連合国を建国した際作られた国旗の事。
そのデザインは左上のブルー長方形に連合した7州と同じ数の星が描かれ、残りの部分には赤白赤と交互で横向きに描かれたバー3本が描かれている。
(Stars And Bars)
(初期の頃の合衆国星条旗、Stars And Stripes)
そして南北戦争に突入するも、北軍の掲げる国旗は星条旗(Stars And Stripes)で、両者の掲げる旗がよく似ているためアメリカ連合国は別のデザインの旗(赤の下地に濃紺色のX型十字に星が描かれた)を軍旗にしたそうな。
(レイナード・スキナード御用達、ご存知南軍旗、Battle Flag)
それからアルバムの内スリーブにLyndon Johnson Bared His Scares, American... Stars N Bars (リンドン・ジョンソンは彼の傷をさらけ出したと言う意味だろうか?)と記されている。
60年代、アメリカ合衆国副大統領だったリンドン・ジョンソンはJ.F.ケネディ暗殺の後大統領に就任し、南部テキサス出身だったにも関わらず、人種差別を無くす公民権法制定に尽力したことから、当時党派関係なしに南部出身議員からかなり恨まれたそうな。
この辺りは2016年の映画“LBJ ケネディの意志を継いだ男”を鑑賞すればある程度状況が把握できるのではないかと...
政治絡みを感じさせる大仰なアルバム・タイトルはなんとなく小難しい先入観を感じさせるかもしれないが、いざ聴いてみれば、ロック系の代表曲Like A Hurricane除けば、ニールとしては癒し系カントリー・アルバムの類だと言える。
いつものクレイジー・ホースの面々に、スティール・ギターを弾く盟友ベン・キースやバック・ボーカルにリンダ・ロンシュタット、ニコレッタ・ラーソンにエミルー・ハリスらを起用する事によってリラックスしながらもしっかりした演奏となっている。
ただ、4回の異なる時期に行われたセッションからの寄せ集め的な収録のため、アルバムとしての統一性は今ひとつ感じられない。
ジャケのアート・ワークでは満天に星々が光輝くころアメリカの何処かのバーでぺしゃんこになって酔い潰れているニールのお姿が!
これこそがAmerican Stars N Barsだったりして...
まあ、あまり深く考えないで鑑賞するほうがいいのかも。
(裏ジャケのアート・ワークはアメリカン・インディアン、黒人だけでなく彼らも公民権運動に参加していた)