雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

終末のフール/伊坂 幸太郎

2008-02-21 | 小説
 小惑星衝突で、世界の終わりまであと三年余り・・・そんな世界での日常の中で「生き続ける」ということの意味を描いた連作短編集。

 これは、あれだな。伊坂幸太郎、ミステリ作家の域を超えたな。

 以前からそういう節(生きる道、みたいな?)はチラホラと垣間見えていたけど、この作品に至ってついに、それ(生きる)を主題にしてきたなー、と感じた。

 とはいえ、そういう(生き死に)話のわりには、切羽詰まってたり、押し付けがましい教訓とかをグダグタ書いていなくて、ともすれば平穏な日常の会話のような雰囲気が漂い、いつもの伊坂節が流れていて、それでいて登場人物たちの一言にズドンと底深い気持ちが宿っているという・・・・やっぱ、天才だな。この人。

 とりたててミステリー的要素もなく、いつもの伏線オンパレードとかもないけれども、それぞれの話で他の話の人物が交差しているのは、やっぱオモシロい。

 表題作『終末のフール』他、『太陽のシール』『籠城のビール』『冬眠のガール』『鋼鉄のウール』『天体ヨール』『演劇のオール』『深海のポール』と、このタイトルだけでもワクワクしちゃいました。


 生き続ける事は、大変だけど、大切なことなんだよ。
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