一僧侶の日常の思いを語る
沙門の法話
あなたの分まで
もうあれから何年たつのだろう。お寺につとめていた頃にお護摩焚きに必ず来られるご夫婦がおられました。土建業の会社を運営していて若い人を雇い、頑張っておられました。
旦那さんはとてもいい人で笑顔がやさしく、温かい人でした。奥さんも面倒見がよくて私なんかはいろいろと世話をやいてくれたのを思い出します。
ある夏の日、その日はお休みで田舎に向かっている途中お寺から電話がかかってきました。
〇〇さんが事故で亡くなられた
私は耳をうたがいました。この前まで一緒に語り合ったばかりなのに、信じられませんでした。
山の土建の仕事の最中、落石での事故でした。
遺体を前にしてもやはり呆然としていた記憶があります。どうして・・・。
それからずーとその方のことを思いながらお寺で修行してきました。滝にあたる時もお護摩の時も、また境内を掃除している時も。
思うと力がわいてきたのです。あの人のぶんまでもっと頑張らなくては、こんなところで負けていられないと。
今、同じ年齢になった自分。こんなに若くしてお亡くなりになったのだとあらためて感じます。
あのはにかんだ、少し照れたような笑顔で今の自分のことを見ているのだろうか。
私の心に大きな影響を与えてくれたことに本当に感謝したいと思います。
まだまだ頑張りますのでどうか見守っていてください。
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