ringoのつぶやき

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ドナルド・トランプはビートたけしと理解せよ 渡辺 龍太

2016年11月11日 09時45分37秒 | 政治

世界中の多くのメディアの予想に反し、アメリカ大統領にトランプ氏が就任する事が決定しました。日本のニュース業界のヒラリーという感じの安藤優子キャスターでさえ、選挙直前の一週間、アメリカ現地で取材を行ってようやく、『トランプ派の気持ちが、ほんの少し分かった気がする』と言うのが精一杯なぐらい、理解するのが難しいのがトランプ現象です。

なので、今回は、なぜトランプ氏がアメリカの田舎に住む人に支持されているのか、トランプ氏をビートたけし氏に例えて説明してみます。というわけで、『もし、ビートたけし氏が首相を狙ったら』という架空の話をご覧ください。

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日本は解雇の規制などが撤廃されて、工場などが海外に移転してしまい、真面目に働いているだけでは無能と言われ、クビになる時代になりました。一方で、そういう労働者を解雇した会社は金銭的に余裕が出るので、経営者の報酬や、エリートと言われる人の所得をどんどんUPしていきました。

そのようなエリートは、クビになった人々の事を『努力不足=真面目に生きてこなかった』と鼻で笑いながら、やたら『絆』と言いながら1000円レベルでの震災募金などに精を出していました。そして、エリートたちは不法入国してきた外国人の時給は安いからと、自分の会社で不当に格安で雇って、莫大な利益をあげて楽しく人生を送っていたのです。

それに対して、『不法入国は違法な事だから罰するべきだ!』と、解雇された人が運動を始めました。すると、エリートたちはスムージをすすりながら、『金も無い、教養も無い奴らって、人権を理解しない差別主義者だ』と笑顔で軽蔑しはじめます。さらに、エリートたちは、こんな差別主義者と一緒に暮らしているのは嫌だから、海外で働こうかなと話し始めました。

すると、日本で生まれ、どんな事があっても日本で生活がしたい真面目だけが取り柄の人々は、『違法な事(移民)を罰しよう』という正しいとしか思えない意見にヘソを曲げて、いとも簡単に日本を捨てようかと話すエリートの反応に驚きを隠せ無いでいたところ・・・!?

突然、タレントのビートたけしさんが、『新党:姥捨山』を結成を宣言!首相を目指すと発表します。しかも、たけしさんは有名人でお金持ちなので、エリートたちからの支援は一切受けずに、選挙費用は自分で賄い、徹底的に庶民の味方になると宣言しました。

オレたちひょうきん族 THE DVD (1981-1982)

そして、たけしさんは持ち前の毒舌で、『サービス残業をやらせた奴は死刑』とか、『万引きで捕まった金持ちの年寄りの資産は没収』とか、『日本の領海に侵入してきた船は、諸外国の様に銃撃する』とブチあげます。エリートたちは、泡沫候補が出来もしないテキトーな事を言っていると分析する一方、解雇されて仕事が無い様な人たちは、『さすが、たけしだ!たけしだ!』とテンションが上がって行きました。

そんな、『たけしさん、本気なの?』っていう空気の中、新党・姥捨山は、衆議院・参議院選挙に、次々と挑んで結果を残していきます。それに対して、エリートたちは危機感を覚えて、選挙のたびに、たけしさんは過去のスキャンダルが掘り起こしていきます。

そのため、『たけしさんは、過去に暴力事件を起こした。』とか、『年寄りに対して、死ねという暴言をはいていた。』とか、『ネーチャン、やらせろ!』とか、『おいらなら、あの、おねえちゃんの、コーマンを簡単に触れる(注:パロディー)』と過去に発言していたとか、そういう言動がほじくり返されてしまいます。

しかも、たけしさんに対する非難が、ひるおび、ミヤネ屋、報道ステーションなどで、連日過熱報道されるなど、メディアが『たけしは首相に相応しくない』と批判合戦を繰り広げました。しかし、テレビが昔から大好きな一般庶民は、『いやいや、何を今更!そんな、たけしさんの過去は全部知ってるから。』と、興味すら示しません。

それどころか、たけしさんの過去のネガティブな言動を報道すればするほど、『過去にたけしさんは、暴力事件、バイク事故などの、どん底から、いつも芸能界のトップに返り咲いたすごい人だ。だから、今の自分たちのドン底な状況を変えられるのは、たけしさんだけだ!』と、ますます生活に苦しい一般庶民の支持を集めていきました。

そして、そんな状況の中で、新党・姥捨山が衆院で過半数を取れば、たけしさんが首相になれるという選挙がやってきます。たけしさんと直接対決する与党の党首は、小沢一郎氏です。小沢氏といえば、若い頃から政界で頭角を現し、実力は折り紙つきです。しかし、世間的に金権政治の権化のようなイメージもあり、『たけし?小沢?』と聞かれたら、今度はエリート、庶民に関わらず、悩む人々が続出します。

もちろん、一般庶民は、『たけし支持者!』とためらわずに公言します。でも、自他共に認めるエリートは、いくら小沢一郎氏が嫌いでも、『私はたけしさんを支持します!』とは、かっこ悪くて言いにくいと思いました。なので、本当はたけし派でも、表向きは小沢一郎支持者を演じていました。

そんな選挙戦の終盤、小沢一郎氏への検察の捜査が行われました。すると、圧倒的に開いていた、たけし・小沢の支持率が拮抗します。そんな時に、運命の衆議院選挙が行われたのです。すると、メディアは全く把握できなかったものの、エリート、庶民も関係なく、たけし派が大勢いたのです。そのため、新党・姥捨山が衆議院で第1党になり、首相ビートたけしが誕生したのです。

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こんな架空のお話ですが、たけしさんに例えると、トランプ氏の存在感が何となく分かった気がしませんか?

さて、トランプ氏は80年代から有名人で、アメリカ人なら誰でも知っているような存在で人気者です。そして、日本でたけしさんが毒舌でも、高感度高いと感じる人が多いように、トランプ氏もまた毒舌でファンも多くいるのです。やはり、長きにわたって有名人であるという事は、どこか『愛される人物』でないと無理なんです。

そして、トランプ氏は有名人でエリートでりながら、庶民感覚を忘れずに、冗談の通じるバカが出来る人なんです。そういう人って、一目を置かれますよね。たけしさんも、超大物芸人ですが、今でも裸でコントをしたりして、逆にすごいと思われています。

実際、トランプ氏も、たけしさんの様なコントに挑戦していた事もあるんです!

ドナルドトランプ

 

画像のサイズ的にカットしましたが、二人は似たようなつなぎを着て、ともに片手にタバコを持っています(笑)この他にも、プロレス会場で大暴れした事もありました。

DETROIT - APRIL 1: Donald Trump gets taken to the mat by 'Stone Cold' Steve Austin after the the Battle of the Billionaires at the 2007 World Wrestling Entertainment's Wrestlemania April 1, 2007 at Ford Field in Detroit, Michigan. (Photo by Bill Pugliano/Getty Images)

また、トランプ氏は、借金・離婚など、数々のトラブルを抱えていたものの、全部跳ね返して有名人であり続けました。たけしさんが、数々のトラブルを跳ね除けて芸能界のトップにいて尊敬されている様に、トランプを凄いと思っている人も大勢いるのです。

特に、トランプ氏が周りから凄いと思われている点が、『どんな手を使ってでも、目的達成を諦めない』という姿勢です。そういうガッツに共鳴する人は多く、10年前に私がトランプ氏の講演に行った時、トランプ氏に大統領になってほしいとプラカードを掲げていた人も大勢いたのをよく覚えています。

ちなみに、その時、私が見たトランプ氏を大統領に押していた人は、女性や有色人種も多くいましたし、トランプ氏は彼らと笑顔で接していました。なので、昔からテレビを見ていた様な人は、トランプ氏が差別主義者なんて、誰も思っていないのです。おそらく、たけしさんが『ババア死ね』的な事を言ったとして、それを言葉通り受け取るのは、テレビを全く見た事のない冗談の分からないエリートだけですよね。

さて、トランプ氏は自らが昔から言い続けてきた、『諦めない』という姿勢を貫き、泡沫候補と言われながら大統領選に立候補しました。そして、目標達成のためには手段を問わない過激発言でとにかく注目を集め、支持を伸ばしました。その手段は問わず諦めない姿勢対し、『それこそ今の自分に必要な事だ』と、共鳴した生活に困っているアメリカ人も多かったのでしょう。

いずれにせよ、トランプ氏の『決して、諦めない』スタイルが本物だというのは、あの髪型を見ても伝わってきますよね。というわけで、つまりトランプ大統領というのは、『どんな手を使ってでも絶対に諦めない』という生活に困ったアメリカ人の思いの産物と理解すれば良いのです。


11月10日(木)のつぶやき その2

2016年11月11日 04時22分53秒 | その他

11月10日(木)のつぶやき その1

2016年11月11日 04時22分52秒 | その他

11月9日(水)のつぶやき その4

2016年11月10日 04時35分29秒 | その他

11月9日(水)のつぶやき その3

2016年11月10日 04時35分28秒 | その他

11月9日(水)のつぶやき その2

2016年11月10日 04時35分27秒 | その他

11月9日(水)のつぶやき その1

2016年11月10日 04時35分26秒 | その他

トランプ大統領の「安保タダ乗り論」にどう対処すべきか

2016年11月09日 21時16分40秒 | 政治

北野幸伯 [国際関係アナリスト]

トランプ大統領誕生で株価は下落、為替も円高が進むなど、市場は 「トランプリスク」に怯えている。日本は、トランプ大統領とどのように渡り合っていくべきだろうか? Photo:AP/AFLO

ヒラリー・クリントンとの激戦を制したドナルド・トランプ。数々の暴言で知られるトランプだが、間もなく日本の同盟国・米国の大統領になる。この事実を私たちは受け入れ、未来に目を向ける必要がある。今回は、「日本は、トランプとどうつきあうべきなのか?」を考えてみよう。

なぜ、泡沫候補が
勝利できたのか?

 日本に対しても、「もっと金を出さなければ、米軍を撤退させる」「日本が核を保有することは悪いことではない」とトンデモ発言を繰り返し、日本人と日本政府を困惑させてきたトランプ。まず、当初「愉快候補」「泡沫候補」と思われていたトランプが、なぜ勝利できたのかを考えてみよう。

 1つ目の理由は、「グローバル化」への反発である。

 「超富豪が世界を牛耳っている」というと、「陰謀論」と捉える人が大半だろう。しかし、近年「本当にそうなのではないか?」という事実も出てきている。なんと、「世界の大富豪上位62人の資産と、下位36億人の資産は同じ」だというのだ。CNN.co.jp1月18日から。(太線筆者、以下同じ)

<オックスファムは今週スイスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に向け、米経済誌フォーブスの長者番付やスイスの金融大手クレディ・スイスの資産動向データに基づく2015年版の年次報告書を発表した。
 それによると、上位62人と下位半数に当たる36億人の資産は、どちらも計1兆7600億ドル(約206兆円)だった。>

 <また、上位1%の富裕層が握る資産額は、残り99%の資産額を上回る水準にあるという。>(同上)

 上位1%の資産は、残り99%の資産額より多い!そして、同報告書によると、格差はますます拡大し続けている。 

・62人の超富豪と、貧しい36億人の資産は同じ。
・上位1% の資産は、残り99%を超える。
・貧富の差は、ますます拡大している。

 このような世界の現状は、陰謀論者でなくても「おかしい」と思うだろう。米国でも、そう考える人が増えた。

 ところで、「グローバル化」と「貧富の差の拡大」は、どう関係があるのだろうか?ここでいう「グローバル化」とは、「人、モノ、金の移動が自由になること」を意味する。たとえば、「金の移動」が自由になり、世界の大企業や大富豪たちは、普通にオフショアを利用している。つまり大富豪は、合法的に「税金をほとんど払う必要がない」のだ。

 一方で、「人の移動の自由化」により、たとえば米国に貧しい国からの移民が殺到している。労働市場に安い労働力がどんどん供給されるため、元から住んでいた人たちの賃金は安くなり、職を失う人も多い。

 しかし、「労働力が安くなること」を、大企業は歓迎する。今回の大統領選で、こうした「行きすぎたグローバル化」に反対の声を挙げた候補が2人いた。1人は、民主党でヒラリーを追いつめた社会主義者サンダース。もう1人は、共和党のトランプだ。

 トランプ自身は大富豪だが、移民の規制を明言するなど、「反グローバル化」「米国第一主義」を掲げている。

 トランプが勝利した2つ目の理由は、「ISによるテロが頻発していること」だ。

 2014年8月、オバマは「イスラム国」(IS)への空爆を開始した。苦境に立たされたISメンバーたちは、難民に混じって欧州に逃れ、その後世界に散らばっていると言われている。たとえばドイツだけで15年、100万人以上の難民がシリア、イラク、アフガニスタンなどから来た。そのうち何人がISメンバーなのか、把握できない(誰も、「自分はISメンバーです」と宣言してやってこない)。

トランプは15年12月、「イスラム教徒の入国を完全に禁止しろ」と発言した。理由は、「誰が普通のイスラム教徒で、誰がISメンバーなのか分からないから」だ。政治家もメディアも「差別だ!」とひどく反発したが、米国民からは、「その通りだ!」という声が上がりで、支持率は下がらなかった。

トランプ当選の最大の理由
FBIはなぜヒラリー捜査を再開したのか?

 3つ目、最大の理由は、大統領選直前にヒラリー・クリントンの汚職疑惑に関心が集まったことだろう。

 ビル・クリントンが大統領を引退した01年、ヒラリーはニューヨーク州上院議員になった。2人は同年、慈善団体「クリントン財団」を立ち上げている。

 政府の汚職を研究する「政府アカウンタビリティ研究所」(GAI)のピーター・シュバイツァー会長は15年5月、「クリントン・キャッシュ」という衝撃的な本を出版した。全米でベストセラーになったこの本によると、クリントン夫妻は、以下のような構図で金儲けをしていたという。

1.ビル・クリントンが、外国政府、企業の要望を聞き、上院議員(後に国務長官)ヒラリーに、それを伝える。
2.ヒラリーは、政治力を行使し、外国政府、外国企業の願いをかなえる。
3.外国政府、外国企業は、見返りとして、ビル・クリントンに高額の講演料を支払うか、あるいは「クリントン財団」に多額の寄付をする。

 「クリントン・キャッシュ」によると、その「黒い収入源」は、カザフスタン、ロシア、インド、アフリカ、中東、南米と、世界中にひろがっている。「クリントン財団」の汚職疑惑については、FBIも捜査している。ウォール・ストリート・ジャーナル10月31日付を見てみよう。

<クリントン財団の捜査に関する証拠の強さに上級幹部らが繰り返し疑問を投げ掛け、多岐にわたる取り組みを縮小しようと試みていたことが新たに分かった。一部の関係者によれば、この一件の追及を制限するよう捜査員たちに命じていた。同財団への捜査は、金融犯罪などの有無を見極めるために1年以上前に始まった。

 この記事は、1.クリントン財団に金融犯罪の疑いがあり、FBIが捜査していること 2.FBIの上層部は捜査に乗り気でないこと、を示している。

 しかし、上層部が乗り気でなかったはずのFBIは、なんと大統領選挙直前に、「メール問題」「クリントン財団問題」の捜査を再開し、ヒラリーのイメージに決定的打撃を与えた。

 捜査再開の理由についてFBIは、ヒラリーの側近フーマ・アベディンと、その夫アンソニー・ウィーナー元下院議員のパソコンから、私用メール問題に関係のある可能性があるメールが「新たに65万通見つかったから」と説明している。

 しかし、ロシアでは、「ヒラリーのあまりにひどい汚職に耐えかねたFBIが、彼女の支持率を下げるために、わざと選挙直前に捜査を再開した」とみられている。

 真相は分からないが、実際に支持率は下がり、トランプは勝利した。

米軍駐留費全額負担と在日米軍撤退は
どちらが日本にとっておトクか?

 次に、「トランプ新大統領と、どう付き合うべきか?」を考えてみよう。トランプは、さまざまな暴言を吐いているが、日本がらみで大問題になったのは、2つである。

1.日本がもっと金を出さなければ、在日米軍を撤退させる可能性がある。
2.日本の核武装を容認する。

 要するに、トランプは「日本がもっと金を出せば、在日米軍は留まる」ということを言いたいのだ。そうなれば、日本が核武装する必要もなくなる。つまり、日本にとって、トランプ問題は「在日米軍に残ってもらうために、もっと金を出すべきかどうか?」という話に集約される。

 これを検討する前に、「そもそも日本には脅威が存在するのか?」を考えなければならない。

 真っ先に思い浮かぶのは、北朝鮮だろう。そして、中国。毎度同じことを書いて申し訳ないが、中国は12年11月の時点で、ロシアと韓国に、「反日統一共同戦線」の構築を提案している。そして、「日本に放棄させるべき領土」には、北方4島、竹島、尖閣に加えて、沖縄も入っている。中国は、「日本には尖閣だけでなく、沖縄の領有権もない」と宣言しているのだ。さらに同国は、「反日統一共同戦線には、米国も引き入れなければならない」としている。

 つまり、中国が尖閣、沖縄を奪うのは「既定路線」であり、米軍が撤退すれば、必ず侵略を開始するだろう。結局、日本の選択は2つしかない。

1.トランプの求めに応じて、米軍駐留費用をもっと払う。
2.米軍に出ていってもらい、自分の国は自分で守る。

 「独立国家としての理想」は、いうまでもなく「自分の国は自分で守ること」だろう。しかし、そうなると、巨大な中国に対抗するために、「防衛費増加」を避けて通ることはできない(ストックホルム国際平和研究所のデータによると、中国の軍事費は15年、2150億ドル。日本は409億ドル。その差は、実に5倍以上である)。

現在、日本の防衛費はGDPの約1%、約5兆円である。これは、世界レベルで見ると例外的に少ない。米国の軍事費は15年、GDP比で3.32%。日本が米国並みの軍事費を目指せば、防衛費は年間16兆円となり、現状の5兆円+11兆円増となる。そこまで極端でなくても、GDP比2%ぐらいは、当然必要になってくるだろう。そうなると防衛費は倍増するので、年間5兆円増となる。

 はたして日本国民は、「防衛費を年間5兆円増やすこと」に賛成するだろうか?財政面を考えても、おそらく無理だろう。では、トランプの要求に従って「米軍駐留費用」を増額すると、いくらかかるのだろうか?

 実をいうと、日本は既に「米軍駐留費用」の約75%を負担している(そのことを知ったトランプは、「日本はそんなに払っているのか!」と驚いたという)。

 防衛省によると、平成28年度の「在日米軍関係経費」は、5566億円となっている。これで75%ということは、100%負担すると年間7421億円が必要となる。

 7421億円-5566億円=1855億円。

 トランプから、「100%日本が負担しろ!」と言われ、それを実行すると、年間1855億円の負担増となる。一方、米軍に出ていってもらって完全自主防衛にし、防衛費を現在のGDP1%から2%にすれば、年間5兆円の負担増だ。どちらに経済合理性があるかは、明らかではないだろうか?

トランプの言動から読み取れる性格
「負けず嫌い」をうまく活用すべき

 トランプとは、どんな男なのだろうか?今までの発言からはっきり分かる特徴が2つある。

1.民族主義的である。
 多民族国家である米国で、「民族主義」という用語は適切ではないかもしれない。トランプ風にいえば、「米国第一主義」となる。

2.なんでも「損得」「お金」で判断する。
 資本家、経営者としては当然かもしれない。このことは、日本、韓国、サウジアラビア、NATO諸国などに、「もっと金を出せ!」と要求していることから明らかだ。

 BBCニュース11月2日付は、「ドナルド・トランプ氏の頭の中」という記事の中で、8つの特徴を挙げている。

1.過去について話すのが好きではない
2.けんかが好き
3.失敗を受け入れるのが嫌い
4.自分の名前が記事になるのが大好き
5.良い政治家は良いセールスマンだと考えている
6.自分は正直だから騒ぎになると考えている
7.パットが上手(らしい)
8.スキーの名人を良く思っていない、自分より上手いと見せつけられるのも嫌い

 トランプの過去のインタビューを分析して書かれたこの記事からわかるのは、「異常なまでに負けず嫌い」であるということだ。もっとも興味深いのは、「8」だ。

<8. スキーの名人を良く思っていない、自分より上手いと見せつけられるのも嫌い。
 本を書くにあたって、ダントニオ氏はトランプ氏の元妻イバナさんにも取材した。付き合い始めて間もなくコロラド州にスキーをしに出かけた時のことを、イバナさんは話した。
 イバナさんがスキーが得意だと知らなかったトランプ氏は、先に斜面を下ってから恋人に「こっちだよ、ベイビー、こっちだよ」と呼びかけたという。
 そこでイバナさんは「空中で回転したんです。2回、くるって。彼の前で2回。そしてそのまま遠くまで滑って行った」。
 「ドナルドは激怒して、スキーを外して、シューズも外して、レストランまで歩いて行ってしまった。我慢できなかった。まったく我慢できなかったんです」>
(BBCニュース 11月2日)

 恋人が自分よりスキーがうまいのが、我慢できない!その後の態度は、まるで子どものようだ。日本は、こういうトランプの特徴を知り、うまく付き合うべきだ。安倍総理はトランプに会ったら、「私も日本国民も、米国が世界のリーダーで居続けることを望んでいます」と言おう。トランプは、きっと喜ぶだろう。

 続いて、「しかし国際社会は、米国が世界のリーダーで居続けるとは思っていないようです。ほとんどの米国の同盟国が警告を無視して、中国主導のAIIBに参加したことからも、それは分かります。世界は、中国が世界のリーダーになると思っているみたいですね」と言う。すると、トランプの負けず嫌いに火がつき、「どうすれば中国に勝てるだろうか?」と考えはじめることだろう。

 日本最大のリスクは、米国抜きで日中戦争になることである。そうなれば尖閣は、ほぼ確実に奪われる。

 日中戦争を回避するもっとも簡単な方法は、払う金を増やしても日米同盟を強固に保つこと。そしてトランプに、「対中国バランシング同盟」を主導してもらうことだ。日本が考えなければいけないのは、トランプの強大なエネルギーを、正しい方向に向けることなのだ。



「年末までに日経平均は2万円を超える!」

2016年11月09日 16時27分38秒 | 

「アベノミクス第2弾の株高が始まった」と説く武者陵司氏に聞く

いよいよアベノミクス第2弾が始まる〔AFPBB News

 日経平均が1万7000円台に入り、株価はやや上昇傾向だ。これは一時的なアヤなのか。

 「いや、これから壮大な株価上昇が始まります。8000円から2万円へと2.5倍になったアベノミクスの最初の状況と同じスケール、第2段の始まりです。年末には日経平均2万円を超す可能性が高い。2020年までに3万円になっても不思議はない」

 こう明言するのは、強気の証券アナリストである武者陵司・武者リサーチ代表だ。「2年で2%」という日銀の物価押し上げは実現していないが、有効求人倍率年は25年ぶりの高水準、失業率も3%に低下して、低率ながら賃金が上昇。住宅家賃も上昇基調にあり、デフレ脱却の基盤は整いつつある。

 そのもとで、9月の日銀の政策決定により長期金利がゼロに固定された。借金して株や不動産を買っても損するリスクは大幅に低くなった。金融庁もリスク規制に厳しかった従来の金融政策を大転換、「リスクテイク促進」を民間金融機関に働きかけている。

 貯蓄より投資――。「政府、日銀一体となっての投資促進政策が株価を押し上げる可能性は高い。それは消費や投資を拡大し、経済成長のテコになる。2020年頃までに名目GDP(国内総生産)600兆円という政府目標の達成も難しくない」と言う武者氏に「今後の株式市場と日本経済」を聞いた。

株式時価総額は4年で2倍の1000兆円に

井本 10月下旬から日経平均は1万7000円台と以前より少し上がっています。

武者 これから大きな株価上昇が始まります。日経平均2万円はすぐに超えるでしょう。アベノミクスの第2弾です。株式のフェアバリュー(適正価格)で考えれば、いま日経平均が3万円でも不自然ではないと考えています。

 3万円になるのが2020年だとしても、株式時価総額は今後4年間で現在の500兆円から1000兆円へと倍増します。経済効果は抜群で、消費者や投資家の心理を劇的に変え、名目GDP600億円という政府目標の達成は容易になりますね。

井本 エコノミストの多数派はもっと弱気です。3万円などとてもムリだ、という意見が大勢です。武者さんの強気の根拠はなんでしょう。

武者 まず日本経済のデフレ脱却の条件が整ったことが挙げられます。

井本 「日本がデフレから脱却している」と主張する人も少数派ですね。黒田東彦・日本銀行総裁も公約した「2年で2%」という物価上昇の目標は達成できないと認めました。

武者 確かにそうですが、その原因の大半は円高と原油価格下落です。アベノミクスの責任ではない。「アベノミクスは失敗した」とか、「日銀の金融緩和は水泡に帰した」という議論は誇張されています。

 円高と原油下落を除けば、物価は上昇基調です。当面2%は無理でも、徐々に物価が上がる可能性は高いと思います。

 物価を決める要素は3つです。第1は人件費(賃上げ)、第2には地代、第3は輸入物価です。原油安と円高で輸入物価は下がっていますが、インフレの3分の2を構成する人件費は人手不足と失業率の低下で明らかに上がっています。

 雇用の改善は非正規社員が中心で賃上げの上がり方は低いけれど、パートやアルバイトの時給が上がっているのは確かだし、正規社員の給与も低いなりに伸びています。

 また、不動産需給が好転しています。リーマンショック以降、大きく増えていた商業用不動産の空き室がアベノミクス実施以来減少に転じ、家賃もようやく2012年から上昇に転じています。

井本 上場企業の企業業績は今上期の純利益が前年同期比20%ほどで4年ぶりの減益です。

武者 円高の影響ですね。しかし、通期では回復に向かう見通しだし、アベノミクスが始まる直前の2012年度に比べれば高水準で大幅に良くなっています。

 経済学的に言えば、アベノミクスによる量的金融緩和導入前の20年間(1992-2012年)は金利>GDP成長率の関係が続き、金利(=信用)が経済成長の制約要因でした。しかし2013年以降、GDP成長率>金利とはっきりと逆転し、経済の成果(名目GDP)がコスト(長期金利)を上回るようになり、リスクテイカーが報われる環境が定着しました。

 金利よりも経済成長率の方が高いならば、借金して株や不動産を買っても損する危険は低くなる。株価上昇の環境が整ってきたということです。

井本 ただ昨年夏以来、2万円を超えていた日経平均は2万円を割り込み、低迷を続けてきました。「アベノミクスは終わった」という冷ややかな見方も強まりました。 

解消されつつあるマイナス要因

武者陵司氏 1949年長野県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。73年大和証券入社。企業調査アナリスト、繊維、建設、不動産、自動車、電機・エレクトロニクスなどを担当。大和総研アメリカ・チーフアナリスト、大和総研企業調査第二部長を経て、97年にドイツ証券(旧ドイチェ・モルガン・グレンフェル証券東京支店)入社。2005年、ドイツ証券副会長兼チーフ・インベストメント・アドバイザーに就任。2009年に武者リサーチ設立。ドイツ証券、ドイツ銀行東京支店、ドイチェ・アセット・マネジメントのアドバイザーに就任。2002・2003年の米国インスティテューショナル・インベスターランキング日本株ストラテジスト部門1位。主な著書に『日本株大復活』『新帝国主義論』『「失われた20年」の終わり ─地政学で診る日本経済』などがある。

武者 それは円高や中国経済の失速不安、中国発世界危機の懸念が強まったことが原因です。2014年4月に消費税を8%に引き上げたことも経済成長にブレーキをかけた。

 しかし、これらのマイナス要因は解消されつつあります。消費税の10%への引き上げは延期され、中国経済の減速が日本経済に悪影響を与える懸念も弱まっています。

井本 「日本人は借金してまで株を買わない」「デフレ意識が強い」とも言われています。

 黒田総裁は11月1日の金融政策決定会合で物価の2%目標の達成時期を2018年度頃へと先送りした際、「(日本人の)デフレマインドは相当に強く、払拭には時間がかかる」と述べてます。

武者 今の日本人が縮こまっていて、株や不動産に手を出さなくなっているのは確かです。でも、それは日本人の本質的な特性ではない。

 1980年代後半から90年代初めまでのバブル期は極めて投機的だった。90年代に入って、それが冷却化したのは日銀の政策が原因でした。89年末、日銀は利上げと融資規制によりバブル潰しの引き金を引いた。

 当時債券利回りは8%と高かったが、株式益回りは2%以下(PER50倍以上)、配当利回りは0.5%と著しく低く、明らかに異常な資産バブルが発生し投機が蔓延していました。

 金融市場が歪み、適切な資源配分の場として機能しなくなっていた。がん細胞の肥大化のようなもので、当時の日銀のバブル潰しは正当な政策でした。

 ただ日銀はその後20年にわたって株価、不動産価格下落を放置、容認し、今ではマイナスのバブルと言える状況となっています。

井本 過ぎたるは及ばざるがごとし。

武者 現在の株式益回りは6~7%、配当利回りは2%。これに対して、預金金利、国債利回りは0%とその差は著しい。

 つまり実物経済には十分なリターンが存在しているのに極端なリスク回避により、国民貯蓄の大半はリターンゼロのいわゆる安全資産である現金・預金・国債に寝ている。不当に株安、不動産価格安が放置されている。

 1990年当時と逆ですが、金融市場が機能不全に陥っている点は全く同じです。ならば当時と同様に、日銀が政策介入して資産市場を是正するのは、当然の措置でしょう。

 9月の金融政策で、日銀が長期金利をゼロにしたのがそれです。長期的に長期金利がゼロでロックされ、他方株式益回りは6~7%、配当利回りは2%なのだから、大きな裁定チャンスが長期にわたって続くことがほぼ約束されたわけです。

 もちろん買った株価が下がるリスクはありますが、いくつかの企業の株をバスケットで買うなど工夫次第でリスクは下がる。またインカムゲインだけで見ても2%の利ザヤが稼げる。

銀行にカネを貸せと言い出した金融庁

 それに気づく預金者が今後、徐々に増えていく。何よりもイールドハングリーな海外投資家はその裁定投資機会を見過ごすことはできないでしょう。

 金融庁もその方向に動くよう、「銀行にカネを貸せ」と言い出した。森信親金融庁長官は、米ウォール・ストリート・ジャーナルの8月3日付けのインタビューで「バブル崩壊後の日本は過剰な規制で銀行のリスクテイクマインドを奪い、金融機能が機能しなくなった。投資家にリスクを取らせるよう誘導することが金融政策の優先課題だ」と発言している。

 これは規制官庁だった金融庁の革命的な転換です。貯蓄より投資。徹底的なリスクテーク促進。それが今、起こっている。指揮しているのは安倍官邸です。政府、日銀一体となった投資促進政策が進められているのです。

 日銀によるETF(上場投資信託)の買い入れ倍増(3.3兆円から6兆円へ)、金融庁などの主導によるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)やゆうちょ銀行、かんぽ生命など公的機関投資家の改革はその一環です。

 大手メディアや株式市場、アカデミズムはこれに懐疑的で、まだ株価はあまり上がっていないが、だからこそ大きな投資チャンスがあると見ています。

井本 日銀もそこを狙っている?

武者 日銀の狙いを推測すれば資産インフレでしょう。金融政策がインフレやデフレを引き起こす債には、必ず先立って資産価格が変化する。バブル期には1989年末に金融引き締めが起き、株式、次に不動産価格が急落、物価がデフレに陥ったのは9年後の98年だった。

 米国でもリーマンショック後、量的金融緩和政策により株式、不動産が上昇し、家計消費増加の推進力となった。資産インフレをデフレ脱却のテコにする。そこに今回、日銀が行った長期金利ゼロ固定政策の戦略があるのでしょう。

井本 「政府が音頭をとっても株を買う日本人は少ない。バブル期も一般庶民は貯蓄中心で、投資家は一部にとどまっていた」という議論もあります。

武者 そういう面はありますが、1980年代の日本では貯蓄そのものがそんなになかったので、株に手を出す人間は少なかったとも言える。

 現在の日本人は世界最高の国民貯蓄を持っている。それが適切に生きるような金融政策を政府、日銀がとるのは当然でしょう。

 家計保有の金融資産の投資先を日米で比較すると、日本では年金保険の準備金を除く自由に運用できる資産のうち株式は14%に過ぎず、75%は現預金です。

 米国は同資産のうち50%が株式で、投信を加えれば70%がハイリスクハイリターン資産です。他方現金預金は20%に過ぎない。その結果、家計の現金所得に占める資産所得は日本は全体の1割弱、米国は3割以上と大きく開いている。

 日本人の家計所得の源泉はほとんど労働賃金のみ、米国人は賃金が上がらなくとも資産所得で消費でき、家計は潤う。日本人も米国のようにキャッシュフローを生む金融資産を増やした方が豊かな生活になります。

借金なしで1兆ドルの外貨準備

井本 日銀が膨大な国債を買ったり、安倍政権が公共事業を増やすなど日本の財政は大幅に悪化しています。国の借金は1000兆円以上で、このまま膨れ上がって行くと財政破綻の恐れがあるという議論も多いです。

武者 あまり意味のある議論ではない。借金が多くてもそれに対応する資本、資産があれば問題はないのです。

 日本は国の資産が極めて潤沢で例えば外貨準備が1兆ドルある。外貨準備は中国が3.2兆ドルと日本の3倍ありますが、その大半は海外からの借金で、日本は海外からの借金がほとんどありません。

井本 道路などの公共事業は非効率で、実際には赤字の政府資産が多いと言われます。

武者 非効率なハコ物行政が多いのは間違いないですが、いま借金の金利はほぼゼロです。それに日本は世界最大の対外資産を持っている。

 民間は大幅な黒字で、国全体としての借金はほとんどない。世界で一番バランスシートが健全です。そこを見ずに政府の借金ばかり論ずるのは偏った議論です。

 重ねて言えば、今の最大の問題はデフレです。デフレの結果、年金など国民の福祉維持のための負担が膨らんでいる。なのに政府の赤字縮小ばかり考えて、デフレ解消を後回しにするという議論はおかしい。

 民間部門が需要不足でカネ余り。そこで民間の余ったカネを政府が使っている。財政赤字はその結果で、国全体の経済を考えれば、今はある程度「大きな政府」にした方がいい。

 日銀の政策批判の中心に金融政策による需要創造は無理という議論があります。

 批判派の旗頭の1人である翁邦雄京都大教授は、一連の超金融緩和政策は「人口減で長期需要が減っている住宅を前倒しで建てるようなもので将来需要の先食いだ」「資源量が減っている魚の漁獲量を維持するために網の目を細かくする漁法と似ている」とのわかりやすい事例で批判している(10月3日日経新聞「経済教室」)。

武者 しかし今の日本の民間部門は空前の貯蓄余剰状態にある、ということは空前の需要の先送りが行われているということなのです。

 金融とはA氏が所得をすべて消費せずに貯蓄(a)に回し、B氏が所得以上の消費を借金(b)によって賄うことの仲立ちである。ここで貯蓄と借金の差額(a-b)が大きいということは、現在の需要が将来に先送りされているということです。日本は世界で最も需要の先送り=貯蓄余剰が大きい国と言えます。

 現在の日本の需要水準の劣悪さは、住宅や人々のライフスタイルを海外と比較すれば一目瞭然であり、そこに改善の余地は大きい。

 原因は日本人の欲望水準(=潜在需要水準)が世界からかけ離れて低い点にある。欲望水準を引き下げた大きな原因の1つは、世界に例を見ない、不当に長期にわたる資産価格下落にあります。

本来不必要だった不良債権処理

 日本のリスク資産時価総額(不動産と株式の時価総額)の推移をたどると、1989年の3150兆円から20年にわたって減少を続け、2014年に1550兆円で底入れしましたが、その間1600兆円の富が失われてしまった。

 この富の減少の過半800兆円以上は不必要な、過剰な値下がりであり、日本企業と消費者に多大な重荷をもたらしました。企業や金融機関は本来不必要な不良債権処理や減損処理を迫られ、その犠牲は賃金に転嫁された。

 これに対して諸外国のバブル処理は全く異なっています。

 住宅価格推移を国際比較すると、2006年頃にかけて世界的な住宅バブルが崩壊しましたが、下落はほんの数年で住宅価格は大きく回復しています。20年間もの資産価格下落は日本だけの際立った現象であり、その間金融政策が大きな負の役割を果たしていたのは明白です。

 しかし逆に考えれば、不当な資産価格の是正だけで国民の資産価値が500兆~1000兆円規模で増える、つまり日本には巨額の埋蔵金が眠っているということでもある。

井本 世界経済の動きと、それが日本に与える影響はどう見ていますか。

武者 世界的に空前の金利低下が進行しています。欧米では株式の配当利回りは国債利回りより著しく高くなっている。しかしいち早く積極的な量的金融緩和策をとってきた米国は資産価格の押し上げに成功している。

 リーマンショック以降、株式、不動産価格が顕著に回復し、家計の資産内容は改善。消費が増加し、雇用・生産が回復している。大統領選後の来年は財政出動も想定され、長期金利が上昇に転じ、流動性の罠に陥るリスクは完全に消えるでしょう。

 世界的余剰資本はリスクテイクの様相を一段と強め、円高一巡後の日本に押し寄せる。それは日本の株高を促すはずです。

井本 中国経済の減速が与えるマイナス面はどうですか。

武者 中国経済は中国の公共事業と住宅投資によって改善されています。もっとも、それは当面の難題、需要失速を糊塗する弥縫策であり、過剰設備、過剰生産の先延ばしです。

 不良債権は温存、拡大され、長期的に中国経済は一層、困難を高める懸念が強い。ですが、今後1、2年は小康状態で、資本規制によって中国経済が日本など海外諸国に悪影響を与える懸念が収まりつつあります。

井本 資本規制とはどういうことですか?

武者 簡単に言うと、中国経済に資本の「万里の長城」を築くということです。中国金融が世界と隔離され、孤立していくわけで、中国金融が腐っていっても、世界に伝播しなくなる。

 統制国家の中国では、資金の出し入れを厳しく管理できる。海外資産取得や海外への資金の持ち出しなど、日本などの自由主義国家に比べ資本規制しやすい。

 昨年8月の時点では中国経済の急激な悪化により市場不安が高まった。中国が人民元の下落を容認したら、中国投資をしていた海外の投資家はいっせいに資金を引き上げる。中国発の世界危機の恐れが昨年まではかなり高かった。

井本 実際、昨年春から夏にかけて上海株が急落していました。今、不安が去ったのはなぜですか。

武者 実質的には米中による話し合いでしょうね。今年2月に上海で開かれた20か国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁の会議がクライマックスです。人民元の大幅切り下げはしない、言い換えれば資本コントロールをするということが米中の協議で決まったようです。

中国からの資本流出を恐れた米国

井本 中国はなぜ米国の要求を呑んだのでしょう。

武者 それは当然で、中国から資本流出が起こって金融崩壊になれば、中国の体制危機が起こり得る。絶対避けねばならない。そのためには資本規制をして、金融秩序を保たねばならない。

 米中共通のメリットがあったということ。そもそも中国の問題は経済が急成長し、不良債権が膨らむ中で急速な資本自由化をやったことです。ファンダメンタルズが弱いのに資本自由化を無理に進めれば危機が世界に伝播し、1990年代のアジア危機がそうだったように、世界金融危機が起こる。

 2015年8月に中国で起こった株価暴落はその危機を想起させた。しかし資本自由化を事実上棚上げし資本規制、コントロールの世界に戻ることで、中国にとっても、世界各国にとっても当面の危機は回避されました。

井本 昨年後半1ドル=120円台にまで安くなった円相場は今年に入り、半年で100円へと急速な円高になりましたが、最近は再び、円安傾向が見られます。この背景は何でしょう。

武者 米中の人民元の価値を市場実勢以上に高めに維持するという交渉の過程で、具体的手立てとして資本規制が浮上した。

 「人民元の大幅切り下げはしない」という中国側の犠牲に対して、当時人民元に比べ相対的に安かった円を「高くせよ」という要求が中国側からなされたのではないか。中国に人民元切り下げを呑ませるために、米国が円高の圧力をかけた可能性が大きいと思われます。

 しかし、中国の資本規制によって人民元の暴落のリスクは封印され、これ以上円高を求める必要性は薄れた。

 それに、今後は中国の軍事攻勢が強まる中で地政学的に日米同盟を強化する必要性の方が高まっている。日本の国益に悪影響を与えるような円高は要求できない。そこで円高圧力が弱まったということだと思います。日本のデフレ脱却にとってはプラスです。


11月8日(火)のつぶやき その2

2016年11月09日 08時05分05秒 | その他

11月8日(火)のつぶやき その1

2016年11月09日 08時05分04秒 | その他

11月7日(月)のつぶやき その2

2016年11月08日 04時16分41秒 | その他

11月7日(月)のつぶやき その1

2016年11月08日 04時16分40秒 | その他

DJ-米大統領選後の市場、ブレグジット決定後と酷似か

2016年11月07日 14時55分57秒 | 

 

 8日に迫った米大統領選は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の賛否を問う6月の国民投票と驚くほ
ど類似しているとファンドマネジャーらは指摘している。世論調査の結果が拮抗(きっこう)していること、「
体制派」の政治への反発、一方の投票結果によって現状維持が破られ、株式相場が大きな打撃を受ける可能性が
あることだという。今回の場合の結果とは、共和党候補のドナルド・トランプ氏が勝利を収めることだ。

 英国の国民投票では、大方の予想に反してブレグジットが決まり、市場は急落したが、間もなく回復した。

 ブレグジットの国民投票で痛い目にあった多くの投資家は、世論調査やブックメーカー(賭け屋)を信じない
こと、ポートフォリオは短期的な相場下落に備えながらも長期的な信念を貫くことといったヒントを学んだ。

 S&Pインベストメント・アドバイザリー・サービシズのマネジングディレクター兼会長、マイケル・トンプソ
ン氏は「ブレグジットは世界の不意をついた。大半の人々は今やどんなことも起こり得ると気付いている」と述
べた。

 英国の国民投票前、市場は準備ができていなかった。「恐怖指数」と呼ばれるシカゴ・オプション取引所(CB
OE)のボラティリティ指数(VIX)は6月23日の投票日前、ほぼ安定しており、株価や通貨ポンドは上昇していた
。だが投票後の2日間で、S&P500種株価指数は5.4%、欧州Stoxx600指数は11%、それぞれ下落した。新興国通
貨とポンドも急落した。金など安全性の高い逃避先の相場は急騰した。

 大半の投資家は、トランプ氏の勝利は短期的には市場にこれと同様の影響を与えると考えている。現行の貿易
政策への反論と同氏の主張は、自身の政策に関する明確さに欠けているためだ。民主党候補ヒラリー・クリント
ン氏が勝利すれば現行の政策の継続を意味すると考えられている。

 従って一部の投資家は、ブレグジット決定後の市場の反応に学んで投資スタンスを変え、ポートフォリオを調
整して大統領選後に備えている。

 世論調査は両候補の接戦を示している。VIXは22を上回り、英国の国民投票後で最も高い水準に達している。


 S&P500種株価指数は先週4日まで9営業日続落した。下落が9日続いたのは1980年12月以来ほぼ36年ぶり。

 金や米国債などの安全資産に逃避する投資家もいる。バンク・オブ・アメリカの調査によると、国債ファンド
は直近の1週間で17週間ぶりに資金流入に転じた。投資家は新興国市場の株式から資金を引き揚げ、高利回りフ
ァンドの解約は1月以来の高水準に達した。

 だが一部の投資家は、ブレグジット決定後の教訓は相場の下落が長期間は続かないということだと指摘してい
る。

 多くのファンドマネジャーは、株価は回復する公算が大きいとみている。そのため、大統領選の結果にかかわ
らず米国株の長期的な目標株価は据え置いている。
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11月6日(日)のつぶやき

2016年11月07日 04時16分02秒 | その他