和田竜の"のぼうの城"
直木賞候補にもなったこの作品、時代ものと直木賞ではめずらしいなと思っていた。
じつはこの前の直木賞(だれがとったのかは忘れたがこの作品では無い)、伊坂幸太郎が候補にまた上がるだろうとおもわれていた。
伊坂幸太郎の最新作ゴールデンスランバーは本屋大賞、山本周五郎賞とあいついでとったので、ほぼ間違いなく直木賞もとるだろうとおもわれていた。評判もいいし、私もぜひ読みたいとおもっている一冊である。しかし、なんと候補作品発表直前で候補辞退。執筆に専念したいというのが利用らしいが、いかにもわざとらしい。こうして、2008年の直木賞は本命を欠いてのレースとなった。 それにしても、伊坂幸太郎すごい自信。まー前もって候補になったことは知らされていたのだろうが、発表前に候補辞退とは。下手をしたら、お前なんか候補に挙がってねえよと言われそうだ。人気作家であるが故の自信だろう。出版社などは必死で説得したのだろうが、つむじを曲げて次の作品を他のところで出されたら本も子もないのでそう強気にも出られないのだろう。
それにしても、直木賞委員、人気作家を怒らせるのが得意らしい。
伊坂幸太郎と委員の間に実際確執があるのかどうかは知らないけど、横山秀夫に続きまたまた。直木賞などなくとも100万部を売る作家にしか出来ないことである。
話がそれたが、"のぼうの城"大変おもしろかった。直木賞という質ではないなと思われたが、それとは違ったおもしろさがあった。
映画化の話もあるらしいが、当たると思う。
主人公の成田長親は領民から"のぼう様"と呼ばれている。でくのぼうだから"のぼう様" そう呼ばれても怒りもせずちゃんと返事をする。
百姓たちの田植えや麦踏みを手伝う"のぼう様"、でもやっぱりやや遅く不器用なので、百姓のほうも敬遠するが、そんなこととは知らず仲間に入ろうとするのぼう様。しかし、そんな平和な時はそう続かず、天下統一を目指す秀吉の軍勢が長親の忍城にせまっていた。敵は石田三成の2万の軍勢、対す長親の忍城は2千。総大将としての器量があるのか無いのか、戦に持ち込むことになった。木偶の坊なのになぜか人を引きつける力のある長親、3人の家臣に支えられ決戦に望む。忍城はどうなるのか。主人公とその他の登場人物が実に魅力的なので素直に話ののめり込て、最後までハラハラドキドキさせられる。
敵である石田三成にもかなりページを割いて画かれているのでただの敵としてではなく、人間味あるキャラクターとして読める。
話じたいは家臣の一人で長親の幼馴染みの丹波の目をとうしてだいたい進んでいく。家臣であるが幼いころからなにかにつけ、のぼうの世話をやいていたので上下関係はなく、実に単刀直入に話す。他の2人の家臣も長親の不器用ぶりを長いこと見ているので、やれやれという感じで対応していく。歴史小説なのだけれど、典型的な歴史小説とは異なり、話し方もやや現代ふう、人間関係もやや現代ふうに創作されている。最初は戸惑ったが、このほうがこの話には映えると理解できた。作者の意図なのだろう、ユーモアがありよくできている。
私はこの本を2時間で読み終えてしまった。お昼を食べるのも忘れて。
1500円の価値は十分にあり。
直木賞候補にもなったこの作品、時代ものと直木賞ではめずらしいなと思っていた。
じつはこの前の直木賞(だれがとったのかは忘れたがこの作品では無い)、伊坂幸太郎が候補にまた上がるだろうとおもわれていた。
伊坂幸太郎の最新作ゴールデンスランバーは本屋大賞、山本周五郎賞とあいついでとったので、ほぼ間違いなく直木賞もとるだろうとおもわれていた。評判もいいし、私もぜひ読みたいとおもっている一冊である。しかし、なんと候補作品発表直前で候補辞退。執筆に専念したいというのが利用らしいが、いかにもわざとらしい。こうして、2008年の直木賞は本命を欠いてのレースとなった。 それにしても、伊坂幸太郎すごい自信。まー前もって候補になったことは知らされていたのだろうが、発表前に候補辞退とは。下手をしたら、お前なんか候補に挙がってねえよと言われそうだ。人気作家であるが故の自信だろう。出版社などは必死で説得したのだろうが、つむじを曲げて次の作品を他のところで出されたら本も子もないのでそう強気にも出られないのだろう。
それにしても、直木賞委員、人気作家を怒らせるのが得意らしい。
伊坂幸太郎と委員の間に実際確執があるのかどうかは知らないけど、横山秀夫に続きまたまた。直木賞などなくとも100万部を売る作家にしか出来ないことである。
話がそれたが、"のぼうの城"大変おもしろかった。直木賞という質ではないなと思われたが、それとは違ったおもしろさがあった。
映画化の話もあるらしいが、当たると思う。
主人公の成田長親は領民から"のぼう様"と呼ばれている。でくのぼうだから"のぼう様" そう呼ばれても怒りもせずちゃんと返事をする。
百姓たちの田植えや麦踏みを手伝う"のぼう様"、でもやっぱりやや遅く不器用なので、百姓のほうも敬遠するが、そんなこととは知らず仲間に入ろうとするのぼう様。しかし、そんな平和な時はそう続かず、天下統一を目指す秀吉の軍勢が長親の忍城にせまっていた。敵は石田三成の2万の軍勢、対す長親の忍城は2千。総大将としての器量があるのか無いのか、戦に持ち込むことになった。木偶の坊なのになぜか人を引きつける力のある長親、3人の家臣に支えられ決戦に望む。忍城はどうなるのか。主人公とその他の登場人物が実に魅力的なので素直に話ののめり込て、最後までハラハラドキドキさせられる。
敵である石田三成にもかなりページを割いて画かれているのでただの敵としてではなく、人間味あるキャラクターとして読める。
話じたいは家臣の一人で長親の幼馴染みの丹波の目をとうしてだいたい進んでいく。家臣であるが幼いころからなにかにつけ、のぼうの世話をやいていたので上下関係はなく、実に単刀直入に話す。他の2人の家臣も長親の不器用ぶりを長いこと見ているので、やれやれという感じで対応していく。歴史小説なのだけれど、典型的な歴史小説とは異なり、話し方もやや現代ふう、人間関係もやや現代ふうに創作されている。最初は戸惑ったが、このほうがこの話には映えると理解できた。作者の意図なのだろう、ユーモアがありよくできている。
私はこの本を2時間で読み終えてしまった。お昼を食べるのも忘れて。
1500円の価値は十分にあり。