私の図書館

主に読んだ本の感想。日常のできごと。

葉室麟の銀漢の賦

2012年02月05日 18時57分13秒 | 歴史/時代物
146回の直木賞をとったというのでこの作家の本を3冊ほど読んでみた。
銀漢の賦、秋月記、いのちなりけり、の3作品を読んだけれど、銀漢の賦が一番よかった。ちなみに直木賞をとったのは蜩ノ記という本。

わずか6万石ほどの小藩月ヶ瀬藩の下士としてつとめる50過ぎの源吾。
源吾の幼馴染だが、家老にまで出世した将監。
二人のおさな友達で百姓の子の十蔵。 
十蔵の死をきっかけに仲たがいした二人だが、30数年後再び話をしはじめ、藩の危機を救うため、また友を救うため一揆奮闘する。

老武士ふたり、しかも名前もしらない小藩のささいなお家騒動の話なのに、すごくドラマチック。 
剣闘シーンなどがある古典的な時代小説なのに新鮮さが入った納得の作品。
最初から最後まで読者をひきつけてやまない。 
とくに最後部分の爽快感は読んでいるほうがおもわず、にっこりしてしまう。
家老のように文武両道にすぐれ出世しなかったが、長年の下働きを勤めとうした源吾は今の多くの50代の背中をみているようである。