名古屋するめクラブ

~名古屋発くうみるあそぶ~

北の大地のBGM。

2009年06月24日 00時01分33秒 | 聞く

北海道滞在中は、

函館の空港周辺でNorth Waveを少し聞いた後、

あっという間にFM圏外地区に突入してしまったし、

FMトランスミッターも準備していなかったので、

しばらくBGMのない生活を送っていました。

今思えば、

MP3のシャリシャリ音や話し声、自動車や工事中の騒音など

i-podで消し去りたい音は全くなく、

そこにあるのは、風がそよぐ音、潮の満ち引き、鳥のさえずりや虫の鳴き声と、

遥か昔から、おそらく何億年と続けられている自然界の営みの音達で、

そんな空間にしばらく身を置いていると、自らの存在がその自然の一部分として

溶け込み始め、同時に徐々に五感が研ぎ澄まされていくのを

実感として感じ取ることができました。


カムイ岬のどこまでも透明な波打ち際で、

その海の遠い向こうに暮らす、異邦の人々に思いを馳せているとき、

ふと、今もし、「今日の1曲」を選ぶとすれば何だろう、と考えてみました。

普段であれば、悩むことなく思い浮かぶ「今日の一曲」も、

圧倒的に雄大な自然の中、

その大自然に馴染んだ体や心が欲する

音楽を全く思い浮かべることができませんでした。

不思議なことに。まったく。全然。

私の身体が音楽を欲していなかったからなのか、

その環境に合致する音楽は私のライブラリーにないのか、

もしくはそんな音楽は存在しないのか、

理由はわかりません。



大自然の、ある意味無常観を感じながらバッハやワーグナーはどうか?

まったく馴染まない。

ハワイアンやレゲエは?

ちがう。

BEGINや夏川りみチャンの沖縄ミュージックはどうか?

なんかピンとこない。

そのとき、ふと思い浮かんだのが、

松山千春の『大空と大地の中で』。

なぜか、合うんですよ、これが。

悔しいけど(笑)、松山千春なんですねー

イメージと音楽がマッチしてしまったら、今度はなかなか離れてくれない。


不思議だね。

かつてロシアに行ったとき、普段好んで聞かないチャイコフスキーなのに、

チャイコフスキーの重いバイオリン協奏曲の音色が、モスクワのグレーな雪空と

街路樹のある散歩道の感じに不思議なほどマッチして、

いきなり好きになってしまったことがありました。


ウィーンに行ったときも、馬車の走る町並みの中

モーツァルトのはねたメロディー以外聞く気になりませんでした。


音楽ってそんなもの?

何世紀もかけて、作曲家の中に浸み込んだ土着のDNAは

その土地で生まれるべくして生まれる音楽を産出す

必然性があったに違いありません。

そのワインに一番合うのは、そのワインを産んだ

土地の食べ物に他ならないのと同じように?

違うか(笑)。



大空と大地の中で/松山千春


 
松山千春
スーパー・ベスト・コレクション



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