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NHKスペシャル司馬遼太郎思索紀行 この国のかたち

2016年02月27日 21時56分33秒 | 観る(映画・TV)

司馬遼太郎 この国のかたち ① 【 無思想 】 という 思想


2016年2月、

没後20年を迎えた今、

2週連続で放映された司馬先生のNHKスペシャル。

「日本、そして日本人とは何か?」

司馬先生が生涯問い続けたテーマ『この国のかたち』。

ナビゲーターは香川照之さん。 

司馬先生が日本人を読み解くのにたどり着いたキーワード。

“名こそ惜しけれ”。

"武士"の精神が日本人を作った。

鎌倉時代の武士が育んだ、私利私欲を恥とし他者に尽くす“名こそ惜しけれ”の精神。

武家政権が拡大する中で全国に浸透、江戸時代には広く下級武士のモラルとして定着したという。

そして幕末、司馬先生が「人間の芸術品」とまで語った志士たちが、この精神を最大限に発揮して維新を実現させた。

明治時代に武士が消滅しても、700年の遺産は「痛々しいほど清潔に」近代産業の育成に努めた明治国家を生み出す原動力となった。

「名こそ惜しけれ、恥ずかしいことをするな」

グローバリズム礼賛の中で忘れ去られようとしている日本人独自のメンタリティに光を当てる。

明治時代を奇跡の近代化へと導いたという武士の遺伝子と日本人特有の倫理観。

この高い倫理観について、

農民ながら武装して戦う鎌倉時代の坂東武士の「名を汚す恥ずかしいことをするな」という精神が、その後の非貴族階級に影響を与えたからとし、

その後の数百年後の今の日本人にも息づいていると。

「この国のかたち」で、日本が中国、朝鮮などと似ない歴史を辿ったのは、鎌倉幕府という百姓の政権が誕生したからだ。

坂東武士は鎌倉幕府を立ち上げるために集まり、律令制では土地は持てなかった。

その恩義に報うために、世話になった人に恥ずかしいことをしない精神が生まれた。

司馬先生は言った。

今後の日本は世界に対してこのひとことでよい、

ヨーロッパで成立したキリスト教的倫理体系にもこの一言のみで対抗できる、

と。

「名こそ惜しけれ」

この国のかたち〈1〉
(文春文庫)
司馬遼太郎
文藝春秋