思い出の真空管ラジオ(東芝 かなりやOS)
今年のとある日、ネットオークションを何気に閲覧し、このボロボロのラジオを見かけたときの衝撃は、言葉では言い表せることができない。
40年ちかい歳月を経てボクの目の前に現れたこのラジオは、仕事に明け暮れる両親にかわって、よく遊んでてくれていた近所のお姉さんの部屋にあったラジオです。
出品者のコメントは次の通り・・・・
『電源を入れても動きませんでした。これまで、修理もできないくせに、「私よりも大事にしてくれる方へ」という気持ちで、オークションに出品してきました。
これほどまでに心を揺さぶられたラジオは、ありません。とても可愛らしいデザインで、見ていて飽きません。普通のラジオより、かなり小ぶりで、頬擦りしたくなります。このラジオの可愛らしさが、写真に出ていないのが残念です。(こういったことは、個人的な嗜好に関する問題ですので、これまでは記帳するのを控えてきましたし、これからもそうして行く方針ですが、今回は敢えて言わせていただきました。すみません。)
初出しの為、掃除等は行っておりません。古い物ですので、経年による汚れ、錆、擦傷などありますが、特に目立つ欠損はありません。修理される方に、是非、綺麗にしてもらって、生き返らせていただきたいです。』
見習看護婦だった優しいお姉さんとの思い出のラジオを復活させたい!との強い思いが通じたのか、数千円で無事に落札することができました。
かなりやOS 5LR-287 コンパクトでかわいいデザインの真空管ラジオ
オークション終了数日後、届いた『かなりやOS』は、昭和34年(1959年)頃に製造されたmT管トランスレス・5球スーパーヘテロダイン方式のコンパクトな真空管ラジオだ。
宅配便の箱から取り出して手に触れたとき、遠い昔の懐かしさと優しさ、淋しさ・・・まだ幼かったあの頃の情景が交錯し、何とも言いようのない気分に浸りながら、ボクはこの汚れて古びたラジオを何時間も眺めていた。
メーカー:東京芝浦電気(TOSHIBA)『かなりやOS 5LR-287』
サイズ : 高さ(約13.5cm)、幅(約28cm)、奥行き(約12cm)
受信周波数 : 中波 530KC~1650KC/短波 3.9MC~12MC
使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)
真空管ラジオは、年代と真空管、回路構成により、次の1.~4.のジャンルに分類されます。
1.昭和初期~昭和24年頃 ST管ストレート受信機ラジオ
2.昭和20年代中頃~昭和30年代前半 ST管スーパー・トランス付ラジオ
3.昭和20年代後半~昭和30年代後半 mT管スーパー・トランス付ラジオ
4.昭和30年代前半~昭和40年代 mT管スーパー・トランスレス・ラジオ
戦前から高価で貴重な存在だったラジオですが、高度経済成長の胎動期であった昭和30年代から、「1人に1台」の時代へと変わっていく。
そんなニーズから電源トランスを省略し、プラスチックの小型キャビネット、スピーカーも10cm程度の小型で安価な「mT管スーパー・トランスレス・ラジオ」が各社から売り出される。なお、その頃すでにトランジスターラジオも実用化されましたが、まだまだ高価だったようです。
この『かなりやOS』は、戦前からのラジオ製造メーカーであるマツダ/東芝が、昭和30年代からコンパクトかつユニークなデザインのmT管トランスレス・ラジオを世に送り出し、コレクターの間でも人気の高い「かなりやシリーズ」のバリエーションの一つであることを、後日知った。
思い出に浸りつつ、まずはキャビネットの裏蓋を外して内部を目視点検を開始。オークションで真空管ラジオを入手した場合、すでにコレクターの手が入った状態のものもあると聞くが、この「かなりやOS」は埃と汚れが積もり、誰の手にも触れられることなく過ぎた40余年の歳月を感じさせてくれる。
オークションや骨董市で手に入れた真空管ラジオに、いきなり電源を入れることは非常に危険です。
部品の耐用年数はとっくに過ぎており、コンデンサーが爆発したり、煙が出たり、火を噴いて火事になる可能性もあるそうです・・・・おぉ恐っ!
「東芝 かなりやOS」 キャビネットから取り出したシャーシ
次にキャビネットからシャーシを取り外し、清掃作業にトライしてみます。
詳しくは、真空管ラジオ レストアの達人である諸先輩方のホームページの記事がたいへん参考になります。
1.ツマミを取り外す。
2.キャビネット内部に見える「周波数指針」の止め金具を外す。
3.キャビネット底にある取り付けネジを外す。
4.スピーカーの取り付けネジを外す。
この手順で、簡単にキャビネットからシャーシを取り外せるはずでしたが・・・・ツマミを取り外そうとしても、プラスチックが経年変化で固くなり、シャフトからスムーズに抜けません。
無理矢理引っこ抜こうとすると、割れてしまいます。
ボクの場合も、何とかツマミを抜いたものの、再度シャフトに差し込む時に無理矢理押し込んで、ツマミの一部を割ってしまいました。(ガビィ~ン・・・・顔面蒼白!)
復活修理するはずの大切な思い出のラジオなのに、自分で壊してどーすんの!
ボクのことを破壊王とお呼びください・・・・
ダメ男と呼んでいただいても結構です・・・
・・・・と、一人ボケ・ツッコミを入れたところで元に戻るはずもありません。
こんなトホホなスタートで本当に「かなりやOS」は、復元できるのでしょうか。
修復前のシャーシー内部の様子。信頼性の低いペーパーコンデンサーは4個しか使われていない。
今年のとある日、ネットオークションを何気に閲覧し、このボロボロのラジオを見かけたときの衝撃は、言葉では言い表せることができない。
40年ちかい歳月を経てボクの目の前に現れたこのラジオは、仕事に明け暮れる両親にかわって、よく遊んでてくれていた近所のお姉さんの部屋にあったラジオです。
出品者のコメントは次の通り・・・・
『電源を入れても動きませんでした。これまで、修理もできないくせに、「私よりも大事にしてくれる方へ」という気持ちで、オークションに出品してきました。
これほどまでに心を揺さぶられたラジオは、ありません。とても可愛らしいデザインで、見ていて飽きません。普通のラジオより、かなり小ぶりで、頬擦りしたくなります。このラジオの可愛らしさが、写真に出ていないのが残念です。(こういったことは、個人的な嗜好に関する問題ですので、これまでは記帳するのを控えてきましたし、これからもそうして行く方針ですが、今回は敢えて言わせていただきました。すみません。)
初出しの為、掃除等は行っておりません。古い物ですので、経年による汚れ、錆、擦傷などありますが、特に目立つ欠損はありません。修理される方に、是非、綺麗にしてもらって、生き返らせていただきたいです。』
見習看護婦だった優しいお姉さんとの思い出のラジオを復活させたい!との強い思いが通じたのか、数千円で無事に落札することができました。
かなりやOS 5LR-287 コンパクトでかわいいデザインの真空管ラジオ
オークション終了数日後、届いた『かなりやOS』は、昭和34年(1959年)頃に製造されたmT管トランスレス・5球スーパーヘテロダイン方式のコンパクトな真空管ラジオだ。
宅配便の箱から取り出して手に触れたとき、遠い昔の懐かしさと優しさ、淋しさ・・・まだ幼かったあの頃の情景が交錯し、何とも言いようのない気分に浸りながら、ボクはこの汚れて古びたラジオを何時間も眺めていた。
メーカー:東京芝浦電気(TOSHIBA)『かなりやOS 5LR-287』
サイズ : 高さ(約13.5cm)、幅(約28cm)、奥行き(約12cm)
受信周波数 : 中波 530KC~1650KC/短波 3.9MC~12MC
使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)
真空管ラジオは、年代と真空管、回路構成により、次の1.~4.のジャンルに分類されます。
1.昭和初期~昭和24年頃 ST管ストレート受信機ラジオ
2.昭和20年代中頃~昭和30年代前半 ST管スーパー・トランス付ラジオ
3.昭和20年代後半~昭和30年代後半 mT管スーパー・トランス付ラジオ
4.昭和30年代前半~昭和40年代 mT管スーパー・トランスレス・ラジオ
戦前から高価で貴重な存在だったラジオですが、高度経済成長の胎動期であった昭和30年代から、「1人に1台」の時代へと変わっていく。
そんなニーズから電源トランスを省略し、プラスチックの小型キャビネット、スピーカーも10cm程度の小型で安価な「mT管スーパー・トランスレス・ラジオ」が各社から売り出される。なお、その頃すでにトランジスターラジオも実用化されましたが、まだまだ高価だったようです。
この『かなりやOS』は、戦前からのラジオ製造メーカーであるマツダ/東芝が、昭和30年代からコンパクトかつユニークなデザインのmT管トランスレス・ラジオを世に送り出し、コレクターの間でも人気の高い「かなりやシリーズ」のバリエーションの一つであることを、後日知った。
思い出に浸りつつ、まずはキャビネットの裏蓋を外して内部を目視点検を開始。オークションで真空管ラジオを入手した場合、すでにコレクターの手が入った状態のものもあると聞くが、この「かなりやOS」は埃と汚れが積もり、誰の手にも触れられることなく過ぎた40余年の歳月を感じさせてくれる。
オークションや骨董市で手に入れた真空管ラジオに、いきなり電源を入れることは非常に危険です。
部品の耐用年数はとっくに過ぎており、コンデンサーが爆発したり、煙が出たり、火を噴いて火事になる可能性もあるそうです・・・・おぉ恐っ!
「東芝 かなりやOS」 キャビネットから取り出したシャーシ
次にキャビネットからシャーシを取り外し、清掃作業にトライしてみます。
詳しくは、真空管ラジオ レストアの達人である諸先輩方のホームページの記事がたいへん参考になります。
1.ツマミを取り外す。
2.キャビネット内部に見える「周波数指針」の止め金具を外す。
3.キャビネット底にある取り付けネジを外す。
4.スピーカーの取り付けネジを外す。
この手順で、簡単にキャビネットからシャーシを取り外せるはずでしたが・・・・ツマミを取り外そうとしても、プラスチックが経年変化で固くなり、シャフトからスムーズに抜けません。
無理矢理引っこ抜こうとすると、割れてしまいます。
ボクの場合も、何とかツマミを抜いたものの、再度シャフトに差し込む時に無理矢理押し込んで、ツマミの一部を割ってしまいました。(ガビィ~ン・・・・顔面蒼白!)
復活修理するはずの大切な思い出のラジオなのに、自分で壊してどーすんの!
ボクのことを破壊王とお呼びください・・・・
ダメ男と呼んでいただいても結構です・・・
・・・・と、一人ボケ・ツッコミを入れたところで元に戻るはずもありません。
こんなトホホなスタートで本当に「かなりやOS」は、復元できるのでしょうか。
修復前のシャーシー内部の様子。信頼性の低いペーパーコンデンサーは4個しか使われていない。
今回紹介されている記事も、想い出と思い入れが伝わって来て、エッセーか何か読んでいるような感じがします。
これからも時々訪問させて下さい。
気忙しく日常に追われる中で、ちょっと立ち止まって一息つく時間の大切さを感じるこの頃です。
ぜひラジオカフェにお立ち寄りいただき、「自分の時間を取り戻す空間」としてご活用ください。
コメントお待ちしております。