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外国語学習の意味、そして母国語について考えましょう

社内公用語の英語化、小学校での英語の義務化など最近「英語」に振り回され気味ですが、何故、どの程度英語を学ぶか考えます。

シリーズ 日本人の英語: 建築家 板茂の英語

2014年03月07日 | シリーズ:日本人の英語

シリーズ 日本人の英語: 建築家 板茂の英語

板茂 ポンピドー

板さんは建築家です。大工さんや市当局の人と、寸法や、法律に関する事柄について、すばやく正確に意思のやりとりをしなければ、建物が建ちません。ですから、オリンピックの招致演説よりもずっと高い言語能力が要求されます。

板さんの英語は、ちょっと聞くと、発音は日本風だし、People loves...などのような文法の間違いも見つかります。しかし、複雑な構文を必要とする内容を、正確に、しかも迅速に伝えていることを、下の紹介番組と、「長いエッセイの倉庫」に入れた解説つきトランスクリプトで確認してください。「倉庫」の上から数番目に入っています。訳はないですが、教材なので語彙の説明があります。

板さんが話しているのは、「英語」ではないのかも知れません。英語や日本語、フランス語での下に、共通して横たわる「普遍語」というべきものでしょうか。たしかに、日本でも、アメリカでも、フランスでも、構造物は同じ物理法則に基づいて建てられているのですから、建築に必要とされるのは、普遍的な言語でしょう。しかし、美意識も、また講演の途中に間歇的に現われるジョークのユーモアも、世界中の誰にでも通じるという自信に裏打ちされています。

Spotlight on Design - Shigeru Ban interview 

音声MP3版(メイルを下さればお送りします)は、3分に編集 2.76MB

長いエッセイの倉庫

上のインタビューのトランスクリプトです。「倉庫」の上から数番目にあります。訳はないですが、教材なので語彙の説明などがあります。

 2013年、TEDの東京大会にも出席して、自分の建築について簡潔に語っています。トランスクリプトはTEDのサイトにあります。

板茂 TED Tokyo

http://www.ted.com/talks/shigeru_ban_emergency_shelters_made_from_paper#

板茂再びへ

『ホンダジェット技術畑の社長さんの英語』へのリンク

 

 

 

 

 

 

 

 


シリーズ 日本人の英語:安倍首相の五輪招致演説

2014年03月06日 | シリーズ:日本人の英語

シリーズ 日本人の英語:安倍首相の五輪招致演説

http://www.youtube.com/watch?v=zf90ImlFDuU

上のユーチューブからは、安倍首相のスピーチ(05:22)が見られますが、音声は、左が日本語、右が英語なので、学習用には左のスピーカーをはずしてください。教材版の解説つきとランスクリプトは、昨年レッスンで使ったので、用意してあります。「長い文の倉庫」にもうすぐ収容します。音声版はご希望の方にお送りします。


前々回に、平川佑弘さんの記事から以下の文を引用しました。

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2013年9月7日は日本外国語教育史上記念すべき日だ。あのビデオを繰り返し英語 の教室で見せれば、次の世代も負けずに話すようになるだろう。外国語下 手どころか日本人の英仏語が頗(すこぶ)る達者だったから、世界が驚いた。日本人のプレゼンテーションがこれほど揃(そろ)って見事だった例(ためし)は ない。

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安部五輪招致

世の中、貶すことも盛んですので、安倍さんのスピーチについて誉める言葉は最近、あまり聞かなくなりましたが、半年たった今、なるべく客観的な姿勢を保ちつつ、評価するすることは大切だと思います。


なぜなら、私たちの言葉を向上させるために、参考にする必要があるからです。


英語を少し学習した方なら分かると思いますが、安倍さんは英検の二級も受からないかもしれません。しかし、率直な姿勢と、伝えたいという意思が、聴いている委員の方に伝わるプレゼンテーションでした。平川さんが言われるように、「頗る達者」だったかどうかは分かりませんが、素人っぽいながらも誠実な印象を与えたと思います。パラリンピックの佐藤さんにも同様のことが言えます。


「おもてなし」の方は、芸能人らしい、わざとらしいという印象を少し与えたと思います。都知事は、たぶん、自分の言っていることが分かっていないな、と思われたでしょう。


安部さんに戻りますが、聴く人は、原稿は「プロ」が書いたということは承知していると思います、が、その上で、自分が話していることは把握しているな、という印象で受けとめられたと思います。


「安倍ができるなら俺もできるぜ」という印象をもたれた方が多ければそれでよかったと思います。


「発信」などと言うと、米国大統領のような華麗なレトリックで観衆を興奮させることを思い浮かべる人もいるでしょう。スティーブ・ジョブのプレゼンに憧れる人も出てくるかもしれません。


しかし、日本人にはそのような修辞は期待されていないし、無理はする必要ないでしょう。大陸の人たちの豪奢な、あるいは感情過多なスタイルのスピーチの真似をすることはありません。自信を持ち、落ち着いて、誠実な態度で語りかけるというスタイルがよいと思います。


さて、そこで、もう一度、斉藤博と、松岡洋右のスピーチを比べて、これからの「英語による発信」は、どのようにするのがよいか、考えてみてください。(ブログの前の方に説明があります)


斉藤博:パネイ号事件に際し 1937

http://www.liveleak.com/view?i=eb4_1359645546&comments=1

松岡洋右:国際連盟脱退に際し  1933
http://www.t3licensing.com/license/clip/897001_471.do

両方のスピーチのトンラスクプトと解説が以下にあります。
長いエッセイの倉庫

写真:左:松岡、右:斉藤

松岡洋右 国連脱退  斉藤博 パネイ


☆ 次回、日本人の英語シリーズで、ぜひ紹介したい人がいます。建築家の板茂さんです。


☆ 安倍さんの、「英語での発信」は、これからもっと重大な局面を迎えるでしょう。安倍さんの一生をかけた仕事になるかもしれません。政治的というより、言語上の関心を持って追ってまいりたいと思います。






 

 


日本人の外国語での「発信」 平川佑弘さんのエッセイから

2014年03月04日 | シリーズ:日本人の英語

  東大名誉教授の平川祐弘さんは、毎年のように、日本人が外国語で発信する必要を説く評論を新聞に書いています。


いつも孤軍奮闘という趣ですが、今回は、和辻哲郎がドイツに滞在時、下宿のお上さんとしか話さなかった件と、昨年のオリンピック招致プレゼンに触れています。

平川佑弘

一部引用しましょう。

冒頭部分
わが国の教授や外交官は外地で外国語を駆使して大いに弁じていると世間は思っているが、買いかぶりだ。間違えたら沽券(こけん)にかかわると思い、逆に萎 縮する。英語で記者の質問に応じる本田圭佑選手の度胸はない。昭和の末年、私は東大で外国語教室主任を務めた。自分の体験に照らして実態をあけすけに語る のだから、信用してもらいたい。

2013年9月7日は日本外国語教育史上記念すべき日だ。あのビデオを繰り返し英語の教室で見せれば、次の世代も負けずに話すようになるだろう。外国語下 手どころか日本人の英仏語が頗(すこぶ)る達者だったから、世界が驚いた。日本人のプレゼンテーションがこれほど揃(そろ)って見事だった例(ためし)は ない。

全文は、以下の産経新聞のサイト、または、「長いエッセイの倉庫」のページを見てください。

平川祐弘 『外国語で自己主張する日本たれ』(産経1月24日)
産経のサイト 最終閲覧3月4日

長いエッセイの倉庫
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