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かくぱいあ~かいぶ

1,000kmの軌跡

2006年08月01日 | Archive
 布団で眠れることがこんなに幸せだったなんて。

きょう、夕方4時ごろに目が覚めた。
事故や怪我もなく無事に四国一周ツーリングの旅から帰ったのが
午前4時前ごろで、すぐに日焼けのかゆみに耐えつつ風呂に入った。

ぬるめに入れた湯船に浸かりながら、
5日間に起こった数々の出来事を思い返す。
トシと直人と3人で行った、楽しくて辛い旅。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


1日目

道のり

寝屋川のガストに集合したあと、
国道26号線から和歌山港、和歌山港からフェリーで一路徳島へ渡る。
徳島からさらに2時間走り、高知県の最も大阪寄りに位置する東洋町へ。

食事

昼…ガスト
夜…俺行きつけの徳島ラーメン屋。おばちゃんがアメくれた。
夜食…小アジ

泊まった場所

甲浦港(かんのうらこう)にて野宿

感想として

和歌山までの道は、車も多く、日差しも強い。
この旅でも五本の指に入るツライ道のりだった。







徳島から高知県東洋町までは、夜ということもあり、
ほとんど信号に捕まることもなくスイスイと進めた。

「あの漁港がイイ感じだね、あそこに泊まろう」
みんなで納得して決めた野営ポイントは、大きな漁港の一角にある波止場。
頭上には大きな国道の高い橋がそびえ、辺り半面を海に囲まれ、
空には無数の星が散らばっている。大阪や徳島では到底見られない数の星。
注意して見ていれば、5分に一度は流れ星が見られる。





疲れていたけれどこの旅最初の野宿に一同は元気を取り戻し、
釣竿に針とエサをつけて釣りを始める。小さなアジが次々と釣れた。
薪を拾って来て空き缶の中で焚き、釣れたてのアジを焼いて食べる。

火を囲んで歌を唄い、
寝袋を広げて無数の星を眺める。耳には静かな波音しか届かない。
「ここなら一週間でも住めるね。」
忘れもしない、確かに誰かがそう言った。

その翌日の早朝、俺たちはこの愚か極まる発言を心から悔いることになる。



2日目

道のり

甲浦港を出て、同じ東洋町の白浜海岸にて昼過ぎまで海水浴。
それから室戸岬を経て高知市を目指すも、
睡魔から三人全員が居眠り運転を繰り返したため途中の夜須町でストップ。


食事

朝…菓子パン
昼…個人経営の小さな喫茶店で、定食。
   メンチカツセットは900円と、強気な価格設定。ご飯おかわり有料。
夜…コンビニ弁当

泊まった場所

夜須町の道の駅にて野宿

感想として

昨夜、甲浦港で野宿することを決め、
「ここなら一週間でも住めるね。」などと愚かな発言をした一行。
午前2時過ぎに床についたが、実は相当タフなトシを除き、
俺と直人はいつまで経っても寝付けない。疲れているのに、寝付けない。

眠っているのか起きているのかわからない時間を2時間ほど過ごした午前4時、
直人が大声で叫んだ。蚊がおるやんけ!
こうやって文字に興すと大したことないが、その時の彼は
かなり大声で、苛立ちを隠さずに叫んでいた。シャウトしていた。
蚊が何よりも嫌いらしい。俺もそうだ。
蚊が好きな奴なんているのか。もしいれば世界中の蚊を全て自宅で飼ってくれ。

100円ショップで買った蚊取り線香は
火がついたり消えたりするという誠に遺憾な代物で、
しかも同じ店で買ったライターも20回押して1回しか火が付かないので
直人のイライラは最高潮に達していた。
「中国人はライターもロクに作れんのか!」という
侮蔑的な叫びを聞いたような、むしろ俺が言ったような。その辺は定かではない。

とにかく蚊どもの猛攻を遮ってなんとか浅い眠りに着いたとき、
俺はその音を聞いた。

ドッドッドッドッドッドッドッ

ドッドッドルドルドル

ドルドルドルドルドル

はっぴゃく、はっぴゃくいちー、

あ、ちがうやっぱりはっぴゃくー


そうさ。
水族館に行けば魚がいるように、秋葉原に行けばオタクがいるように、
漁港に行けば漁師がいて、漁師は漁船を持っていて、漁船は早朝に港を出るのだ。

四国有数の漁港である甲浦港もその例外に漏れず、
1分間に3艇はあろうかという数の漁船が爆音を立てながら出港するのだ。
そして、漁港から聞こえてくる拡声器を使っての意味不明の指示。

「はっぴゃく、はっぴゃくいちー、」と、数を数えているようだが、
ここは高知県、年代も違えば言葉も違う。
何を言っているかわからない。わからないが、とにかくうるさい。

俺はひたすら眠ろうとしたが、いつまでも経っても眠れない。
横では直人がまだ蚊と戦っている。
「蚊なんか全部死んだらええねん!」と言っていたが、何気に名言だと思う。
結局俺と直人はその後に浅く2時間ほど眠っただけで、
最悪の朝を迎えた。「誰や、こんなところに一週間住めるとか言った奴は…。」
今思うが、漁港に漁船がいるのは至極当然のことであって
勝手に漁港を選んで寝泊りしていた俺たちに文句を言う資格はないのである。

あと、目が覚めた俺の目に最初に飛び込んできたのは、
元気にそうに海に向かって釣り糸を垂らすトシだったことを付け加えておく。
彼は一番に寝袋に入り、蚊や漁船の妨害にも負けずシッカリと眠り、一番早く起きた。
「俺けっこう寝れたで」とは彼の言だ。頭が下がる。

漁港では水道もなく、かなり不潔な状態が続いていたので
そのまま海水浴場で泳ぎ、潜り、ナマコを投げ、エビを捕まえて生きたまま食べた。
クリームを塗っておいたにも関わらず、
すごい日焼けのせいで三人とも後々苦しい思いをすることになる。





この日は室戸岬を越えたあと高知市まで行く予定だったが、
海水浴と漁港の疲労が祟って三人ともバイクを運転しながら睡眠を繰り返し、
非常に危険ということで道の駅で早めに野宿するという判断が下された。

この道の駅でも、野営ポイントで俺の首や腕をムカデが這って場所を移動するという
すてきなイベントが起こったが、もう忘れたいことなので割愛する。



3日目

道のり

夜須町の道の駅を出て、桂浜、中村市。四万十川上流で泳ぐ。
宇和島市で途中休憩をしたあと、内子を経て松山市へ。
この日の移動距離は最も長く、300kmを達成した。

食事

朝…硬くなった菓子パン
昼…高知の水車屋という店で、豚丼。非常にうまい。
夜…宇和島の定食やにて、親子丼やちゃんぽん。ちゃんぽんよりも水の方がうまかった。

泊まった場所

松山市駅前のマンガ喫茶にて宿泊。1,900円。


感想として

道の駅では比較的よく眠れたので、各人とも体調は良好。
観光は桂浜で竜馬の銅像と写真を撮ったくらいで、
あとはひたすら西へ向かって走った。高知の海沿いの景色は最高。
エメラルドグリーンの海に、日本らしいゴツゴツした岩肌が覗いている。










日中の日差しはバイクに乗っていても体力を奪い続ける。
特に昼2時ごろは最も厳しく、これ以上の走行は困難ということで
四万十川と思しき川で一時間ほど泳いだ。

前日の日焼けが壮絶に痛み始め、衣擦れだけで首筋や肩に激痛が走る。
川で泳ぐ際も、これ以上日光が当たらないように日陰で泳いだ。
それでも着替えの際に日光が当たると絶叫した。

夜は松山市で宿泊。マンガ喫茶だ。
俺はマンガ喫茶に来るのが初めてで、色々と読んでみたいマンガがあったが
かなりの疲労のうえ、リクライニングシートという寝袋の5倍は快適な利器のおかげで
気が付くと眠りについていた。


4日目

道のり

松山市で道後温泉に入ったあと、ついにここから方角を変え東へ。
高松市を目指し前進するも、この旅一番の酷暑に見舞われ、
10km進んではコンビニで休憩するという体たらく。高松市着は18時。

食事

朝…マンガ喫茶の無料のおかゆ、コーンフレークなど。
昼…さぬきうどんを愛媛で食べる。「ここが一番うまかった」という者も。
夜…さぬきうどん。香川で食べた。安くて助かる。

泊まった場所

高松市街にある、スーパーホテルというビジネスホテル。
野宿の予定だったが、誰もが野宿に嫌気を覚え始めていた。
このホテルは3名一室ならひとり2,680円と格安で、部屋はそこそこ広く、
温泉つき、朝食バイキングつきと素晴らしい条件。
ベッドもふかふかで、三人は口を揃えてこう言った。
「ここなら一週間でも泊まれる。」


感想として

まず道後温泉から語らねばなるまい。





ここはいい。情緒がある。道後温泉自体は何のことはない綺麗な温泉だが、
松山という街に漂う新しいものと旧いものが入り混じった空気は
都会の大阪でも田舎の高知でも味わうことは出来ない。
駅前の商店街にブランド店が立ち並び、若者が闊歩する奥には
ゆっくりと観光客たちを運ぶ路面電車が走っている。
俺は去年も松山に来たけど、素直にここに住んでみたい。

松山を出た後はもう最悪だ。
昨日より暑い。「暑い」では済まされないくらい暑い。熱い。
三人とも口数が減り、10km進んではコンビニでジュースを飲み、
また10km進んではコンビニでアイスを食べた。
口を開けば「あつい」としか言わない。

道路も車と信号が多くてとても快適とは言えず、
前日は300km進んだのに、この日は150km進むので精一杯だった。

その疲れもあってか、夜は野宿するどころか
エアコンが効いていてふかふかのベッドのあるビジネスホテルに泊まってしまった。
いいのさ、安いから。ホテルの温泉では相変わらず日焼けが痛んで湯船に浸かれず
苦い思いをしたが、風呂上りに三人で飲んだビールは格別だった。
酔ったままベッドに入り、即就寝。



最終日

道のり

高松市を出れば徳島はそう遠くない。
俺がこの前独りで言った瀬戸内海沿いのロマンチック街道で遊んだりと
ゆっくり徳島に向かい、徳島で吉野川や登山を楽しんだ後、
フェリーで和歌山へ。和歌山からは3時間と少しで無事に帰宅。

食事

朝…ホテルの朝食バイキング
昼…さぬきうどん。地元の有名店らしいが、感想は「…?」
夜…俺の両親に連れられて焼肉バイキング


感想として

ついに最終日になってしまった。
一週間の予定から2日も短縮することになったが、
これ以上四国に長居しては金と体力が持たなかっただろう。

この日の昼に食べたさぬきうどんで
香川では三回うどんを食べたことになるが、
やはり前々から思っていた通り香川のうどん店は玉石混交だ。
うまいところも確かにあるけど、"本場さぬきうどん"を自称する店が多すぎて
どこがうまいのかさっぱりわからない。雑誌に載っている店も大したことない。
でもうまい店があるのは確かなので、誰か知ってたら教えてね。

徳島に着いてからは、川を見たり山を見たりして時間を潰した。
徳島港での、三人の"やり遂げた"顔が清清しい。






・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 徳島に着いてフェリーに乗り込むと、
しみじみと思い浮かぶ旅の思い出。漁港で死に掛けたあの朝が
ずっと昔のことのように思える。

今回の旅で強く思い出せるのは漁港と高知の絶景かな?
漁港では俺たちらしいグダグダ感がよく出てたし、
高知では四国にこんな景色があったのかと感動した。

思えば18年間四国で育ってきて、
高知の西側や愛媛県にはほとんど行ってなかった。
学生のうちに、生まれた土地の良さを再確認できて本当によかった。


 もうひとつよかったことは、
5日間、俺とトシと直人の三人がひとつの家族みたいになってたこと。

一緒に生活してると、感覚が同調してくるんだね。
誰かが眠いときは他の二人だって眠いし、
先頭を走る誰かが疲れてコンビニに入れば他の二人もコンビニに行きたいと思ってた。

だから最終日、守口で別れる時は
おそらく全員が一抹の寂しさを感じずにはいられなかっただろうと思う。
眠かったり暑かったりとツライことも結構あったけど、
楽しかったこともツラかったことも等しく良い思い出になるはず。

フェリーの中で、Mr.オクレが武器を持たずに野生動物と戦ったら
どこまで勝てるかについて議論したことも、良い思い出になるはず。
魚類ならアジまで、ほ乳類ならハムスターまでという結論に達した。





総走行距離は約1,000km。
総給油量は27.5リットル。
27歳のボスベンリィも本当によく頑張った。
明日じっくり手入れしてあげるよ。

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6 コメント

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Unknown (花(トシ))
2006-08-02 01:04:27
旅行お疲れ!書きたいことを書かれてしまったな!



もっとケンカとかするかと思ってたけど、ほんまにうまくいっかな。

俺は人と旅行するのがわりと苦手なんやけど、

こんなかんじで「3人で旅行を作る!」ってかんじで旅行できるなら、もっとみんなで旅行しようって思えたわ!

うん、よかった!



それが一番の収穫やな!たまにはまじめコメントでした。
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Unknown (なおと)
2006-08-02 05:53:01
おつかれ~



帰宅してふとんで寝てやっぱり布団は素晴らしい、とまた感じた。目覚めたらまた漁港から始まるのではないかとヒヤヒヤしたけど家の布団の中でホッとした(笑。



この日記を読んでいると何か今更ながら感動してきて妙な気持ちになったわ~☆



ほんまにお疲れ~♪
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Unknown (さち)
2006-08-03 10:40:08
お疲れさま☆



めちゃ楽しそう!!しんどい分楽しいもんやんなぁ♪

さちんち寄ってくれればよかったのにぃ~w



ゆっくり休んでください★
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Unknown (のりちゃん)
2006-08-05 01:51:15
やばい!!死ぬほど笑った!!

これはやばいね☆★

さすが!
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Unknown (かくぱい)
2006-08-05 03:29:29
>とし&直人



いやぁ、ありがとうっ!

正直、君たちとじゃなきゃこの旅は無理だった!

漁港で死んでた!

最高に楽しかったですよ。



>さち



えとねぇ、さっちんの家のあたりは

一日目の夜中に通り過ぎました(笑)



>のりちゃん



いや、どこまで頑張っても

のりちゃんには敵わんよ、まじで。
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Unknown (さち)
2006-08-06 21:30:17
うっ・・・ヒドイ(p_q*)
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