夢みたいですじゃ、
北海道でVT750Sに乗ってツーリングできるなんてのう…。
出張で北海道に行くことになったので、
レンタルバイクで8時間借りて試乗することができました。
もし気に入ればCBR600RRから年内乗り換えも考えているのですが
アメリカン(と呼ぶべきか微妙な立ち位置のバイクですが)は買ったことがないので
ホントに自分に合うかどうかじっくり試したいと思っていたのです。
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バイク屋でエンジンをかけてもらってちょっとびっくり。
けっこうエンジンの振動で車体がドクドク揺れてます。
タンクとかハンドルが荒くブレているのが目でわかります。
サウンドも、エンジンノイズのジョジョジョジョという音と
マフラーから出るスドドドドドドという音が混ざり合ってけっこう良いカンジです。
アイドリングさせているぶんにはとっても静かで、カワサキのW650のアイドリング音に近いような気もしました。
スロットルを回してみると
マフラーからバリバリッ!バリッ!という乾いた音が響き渡って
「最近のバイクなのにこんな良い音するんだ!」と感心しちゃいました。
恐る恐るクラッチの繋がるポイントを探りながら発進。
なんとなくですが、発進時の超低速トルクは意外と薄めのような気もしました。
この日はエンストしなかったのですが、ひょっとしたらスロットルの開け具合によっては
回転が落ち込んでエンストなんてこともありえるかもなぁと思いました。
"絶対エンストしない気になれるW650"と比べると少しだけ注意が必要かも。
ライディングポジションはまさに殿様乗りといったかんじで、
背筋と腕を伸ばして、走行風を体に浴びるようにして乗ります。
ふだんCBR600RRに乗ってるもんだから、
この風を受けて走る感覚がすごく懐かしく思えて(W650に乗っていた頃を思い出す)、
気持ちよさに思わず笑みがこぼれます。
右側のエアクリーナーが張り出していてタンクが細いので、ニーグリップはできません。
CB750Kに乗るように(乗ったことありませんが)、思い切って足を開いて走ります。
バイクに乗って、股間に風があたるのはこれが初めてカモ…。スースーします。
ちなみに水冷エンジンなのでアイドリング状態でほっとくとファンが回りますが、
注意しないと作動してるかどうかもわからないし、
回っても大した熱風がくるわけでもないので特に問題ありません。
CBR600RRとか強烈な熱風で死にそうになるのに…(しかも冬は別にあったかくない)。
バチバチバチと心地よいサウンドを奏でながら加速するわけですが、
さすがにダッシュ力はなく、ごく自然に、
人間の感覚をおいてけぼりにすることなく60km/hまで上昇していきます。
アクセルはかなり雑に開けても妙なショックなどはないので、
CBR600RRであれば200rpm刻みに気にしなければいけない回転数のことも考えずに
ワイドにアクセルを開けてマフラーのバチバチ音を楽しむことができます。
5速での60km/h巡航は回転数も低く快適なのですが、
振動もサウンドもかなり大人しい回転域になっているようで、若干物足りない感もあります。
そのため、走り方としては敢えて60km/hをキープせずに、
60km/h巡航⇒アクセル離して惰性走行⇒55km/hくらいで最加速⇒60km/h巡航⇒アクセル離して惰性走行
…の繰り返しをすることで、
エンジンとキャッチボールをしながら走ることができました。
もちろん、60km/h巡航はツーリングで最も使う域なので
この域が疲れにくい設定になっている点は好感が持てます。
コーナリングに関しては、このタイプのバイクにしてはピカイチかもしれません。
常識的な速度であれば、ブレーキをかけることなく
少し腰の重心をイン側に寄せてやるだけでキレイに曲がっていきます。
このコーナー性能は意外でした。
腰をインに寄せるだけじゃなく、ちょっとイン側の膝を突き出したりしたくなる(?)くらい。
これまで乗ってきたバイクで比較するならば、(ジャンルがバラバラですが)、
W650≦VT750S<CB750(RC42)<CBR600RR
くらいのポジションにいるかもしれません。
さて、札幌から小樽でうに丼を食べ、
ウイスキー蒸留所を見学するため余市に向かう途中。
海に近い道なので、せっかくなら海を見ようと脇道にそれると
やはりここは広い北海道、道路は舗装されておらず砂利道が続きます。
けっこうな高低差のある段差もあり、
ロード用に徹して設計されたCBR600RRであれば間違いなく引き返す道でしたが、
VT750Sなら速度を落としてサスペンションの動きを腰を通じてセンサーしてやるだけで
なんなくクリアすることができました。
ついでに言うとこの道、まっすぐ進むと行き止まりだったのでやむなくUターンしたのですが
VT750Sは取り回しもよく、乗車したままホイホイと方向転換できるのでとってもラクです。
さて、走りについてはここまでで、各部の仕上げをじっくりと見ていきます。
うーん。スポーツス○ー。
という冗談はさておき、
このバイク、某ドリームで新車乗り出し72万の見積もりが出ているにも関わらず
メッキや各部品の仕上げはホンダクオリティをきちんと継承しています。
マフラーやエアクリーナーのメッキが美しいのはもちろんですが、
ブラックアウトされた水冷エンジンの飾りフィンやクランクケースカバーもたいへん美しいです。
このクランクケースカバー、ていねいなつや消し加工がされているので高級感もあります。
他車種のパーツを多めに流用したことでこの価格が実現できたんだと思いますが、
価格に対する仕上げの良さはW650に通ずるところがあるかもしれません!
もし所有するとしたら飾り気の無いリヤサスくらいは換えても良い気もしますが、
あまり高性能なサスにするとかえってこのバイクのために意図されたバランスが崩れるような気もしますね。
一点だけ欠点がありまして、ステップが妙に長いので停車時にジャマなんですよね。
市街地を走行中に車が飛び出してきて急停車したとき、
慌てて足を着いたときにすねの内側を左ステップで強打して一週間腫れました。
おかげで停車時は同じところを打たないようにヒヤヒヤしながら足を着いてましたよ…。
まあステップくらいはアフターパーツでどうにでもなるので大した問題でもないですが、
ストック状態だと体格次第でそういう欠点もあるかもです。
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8時間のレンタルも終盤に差し掛かり、
札幌市内でレギュラーガソリンを入れると、燃費は
満タン法のおおまか計測で29.8km/l。
高速も使わずにラフなアクセルワークを楽しんでいたのに、この燃費はすごい!
バイク屋にVT750Sを返す時も、なんだか名残惜しいかんじ。
ほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしい。
総評すると、
心地よい低速重視エンジンの存在感 +
人間の知覚と歩幅を合わせてくれる疲れにくさ +
どこにでも突っ込んでいける取り回しの良さ +
止まっている時も楽しい美しいスタイル
そして何よりも
消費者にムリをさせない価格設定の5本立てで迫る、
2010年モデルの裏の主役(オモテはCB1100でしょ、やっぱ)だと思います。
アメリカンなのかネイキッドなのかどっちつかずなデザインも◎。
乗るときの格好も限定されないから、ツーリングで乗っても、街中で乗っても
良い意味で原付感覚で付き合っていけるファンバイクです。
要、継続チェックですね。
買おうと思えばすぐにでも買えるけど、
今はCBR600RRから得ることがまだたくさんあるので買うとしても年末かなぁ~。