出来損ないのメンバーで上海へ卒業旅行に行きました。
またひとつ、残り少ない学生生活のビッグイベントが終わってしまいました。
サウナに置いてある砂時計はやたら時間の経過が遅く感じますが
俺たちの砂時計は
砂の通る穴がべらぼうにでかいようです。
残されたビッグイベントは卒業パーティーと卒業式。
楽しみたいと思う反面、大きなイベントが終わる度に
課された宿題をひとつずつ消化しているような気さえしてしまうのは
春からの新生活にわずかな期待を寄せているからでしょうか。
社会人になったら砂時計の穴は
鼻の穴並にでかくなることが予想されるので
忘れないうちに楽しかった旅行の思い出を綴っておきます。
出来損ない卒業旅行の概要
行き先:中国上海
期間:4泊5日
人数:5名
旅行代金:3万円
全日程5日間、航空券と朝食付いてこの値段です。
安いだけあって航空会社は上海航空、
泊まるホテルは2つ星の上海銀波ホテル。
2つ星というと「2つ星があるならいいじゃん」と思うかもしれませんが
図示すると「★★☆☆☆」です。
ホラ行きたくなくなってきたでしょ?
グルメレビューで「★★☆☆☆」の店行きませんよね??
アマゾンのレビューで「★★☆☆☆」付いてる本は大抵ボロクソに書かれてますよね??
ヤフオクで例えるなら「悪い出品者です」。イヤですよねそんな人から落札するのは!
ちなみに上海銀波ホテルをネットで検索すると
「バスルームのマットの裏にベトベトの髪の毛が大量に付着していた」という
尋常らしからぬ告発が残されていたので我々一同期待に胸を躍らせていました。
1日目
まずこの日、R君が
パスポートを忘れたまま関空に到着しました。
関空に向かう電車の中でR君は「これでパスポート忘れとったら笑うな!」と言って
かばんの中をチェックしましたが、そこにパスポートらしい小冊子はありませんでした。
バイトの後輩に人件費1万円とタクシー代往復2万円を支払って
空港にパスポートを持ってきてもらうまで、R君の顔に笑顔は浮かびませんでした。
R君には悪いけれど、俺はこの時点でずいぶんと笑わせてもらったので
旅行代金ぶんの満足を感じていました。もう帰ってもいいかな、と。
今思えばこの時点で引き返して和歌山にでも行けばよかったと思います。
飛行機は上に書いた通り上海航空という無名にも程がある航空会社です。
我々は
ベトベトの髪の毛というインパクトの強すぎることばに恐れおののくあまり
上海銀波ホテルばかりをマークしていたのですが
上海航空は予想を遥かに上回るヤンチャぶりで出来損ないメンバーを圧倒しました。
上海航空の罪状は以下の通りです。
ゴムを通り越してプラスチックのような硬い肉(たぶんこれで宇宙船作れる)と
やたら臭い小魚(たぶんメダカ)を惜しみなく使用した機内食を出した罪(味覚かく乱罪)
|
麺つゆを入れた袋に「面汁」と記載した罪(食欲減退罪) |
飛行機がまるで震災体験車のごとく揺れ続けて面汁が四方八方に拡散した罪(面汁拡散罪) |
機内アナウンスの日本語と英語がカタコトすぎて着陸のアナウンスが一切わからなかった罪(重大事実隠ぺい罪)、それに伴い通路側に座っていた俺が突然の着陸の激震にエンジンがとれたと誤解してしまった罪(過剰演出罪) |
あとこれは上海航空の落ち度ではありませんが、
トシがいつの間にかテロリストみたいになっていました。
何かと敏感な時期なので挑戦しにくいボケなのですが
この人はすごいのでごく自然にやってのけました。
上海の空港に着くと現地ガイドの陳さん(仮名・本名不詳)の段取りの悪さのおかげで
1時間強の足止めを喰らい、メンバーの疲れを増幅させました。
ホテルへ向かうバスの中で疲れきった俺たちにクスリとも笑えないジョークを飛ばす陳さんに
我々の視線は
クラスの輪を乱す不良グループのごとく険悪なものとなりました。
ホテルは
残念ながらスラム街の中にありました。
その日はちょうど旧正月を祝う祭りの最終日のようで
街のあちこちで
花火やら爆竹が飛び交っていましたが
今思うにあれほど花火や爆竹が大量に舞っていたのはこのスラム
近辺のみです。
ホテルの部屋は意外と小奇麗で
浴室も細かいところに汚れが残っていましたが
ベトベトの髪の毛はありませんでした。
メンバー全員で5名いたので2名室と3名室に分かれたのですが
2名室のほうが広かったです。
理由はわかりません。
この日はもう良い時間だったので花火飛び交うスラム街で鍋をつつきました。
スラム街と言ってもたいしたことはありません。
火をつけても発射されない大型打ち上げ花火を覗き込む民衆や
トシに向けて爆竹を投げつける童がいたくらいです。
夜はホテルの下にあるコンビニでキリンビール(一缶70円)などを買いました。
物価が安いのでわんさか買いましたが、会計のときにそれほど安くないと感じました。
これは後のストーリーに繋がる複線でもあります。
2日目
ホテルの朝食は地雷でした。
カピカピのごはんの上に緑色の着色料を付けた野菜を載せて
アンコを中に詰めた
嫌がらせみたいな料理は何だったんでしょうね?
この日はホテル近くの外灘(バンド)と南京路の観光です。
外灘は景色以外に見るものはありませんがとてもキレイです。
南京路は1個15円くらいで肉まんが食べれたり
中国でのユニクロが高級ブランドであることを知れたりして楽しかったです。
昼飯に入ったレストランに「
爆魚」というメニューがあり興味をそそられましたが
これが何であるかはトシやshinが調査してくれるのを待つのみであります。
やはり本場の肉まんや小龍包は日本のそれよりずっとおいしいです。
あちこちで不満をぶちまけていたメンバー達も、小龍包を食べれば静かになります。
南京路で注意したいのは違法な時計売りです。
おびただしい数の中華ニート達が日本語で「オニサン!時計!シャネル」と
偽者の時計を売りつけようとしてきます。
彼らは日本語がほとんどわからないので我々が発した言葉をとりあえず復唱します。
俺のところに中華ニートがカバンを売りにきたとき
「カバン!」と言っているのを
パプワくんと聞き間違えて「パプワ?」と言うと
彼はその後
ずっと「パプワ!パプワ!」と叫びながら俺に付いてきました。
呼吸困難になる恐れがあるので気をつけて下さい
大変危険です。
また、これらの中華ニートたちは偽ブランド品が売れないとわかると
「ちんちんマッサージ!」等とどうしようもない下ネタを発するので
注意が必要です。おそらくは性サービスの一種ですが、勧誘の仕方に問題があります。
その他にこの日あったことといえば、ひょんなことから上海に
科学博物館とテーマパークを合体させた上海科技館という場所があることを知り
タクシーで向かいました。
タクシーが電気の付いていない巨大な建物に近づき、
科技館が定休日であるということに気付くまでそう時間はかかりませんでした。
タクシーから降りた俺達を待ち受けていたのは
同じく科技館の定休日を知らずに偽者時計片手に科技館に居座っていた中華ニート達でした。
我々はパプワ!パプワ!と口々に叫び、彼らもパプワ!パプワ!と口々に叫ぶ。
いつかあなたが科技館に来たとき、彼らがパプワパプワと口にしたら
我々の責任ですのでご一報ください。
この日の夜もホテル下のコンビニでキリンビールなどを買い漁りました。
レジのおばちゃんは中国語の数のかぞえ方を頼んでもいないのに教えてくれます。
なぜ
ブチギレ気味に「イー!アー!!サンーッ!」と叫ぶのかはわかりません。
あと、やはり会計が若干高い気がしました。
3日目
豫園(ユイエン)という庭園の周りに土産物屋が並ぶ街と
2日目に行けなかった科技館に行きました。
豫園では南京路よりも多くの中華ニートたちが偽ブランド品を売ろうと近寄ってきます。
中華ニートの応対に嫌気がさしてきた俺ははずれにある小汚い露天の集まった商店街に入り、
水晶でできた(っぽい)印鑑を2つ作りました。
2つで200元(約3千円)と主張する中国人淑女をなだめて
2つで120元まで値切ったのはよかったのですが
200元渡して80元のおつりを待っていると
文字を彫る代金がかかるからおつりはないと言い出しました。
そんな重要なことを事前に明確に言わない淑女に対して
日本人が怒ったらそれなりに恐いことを教えてやろうかと思いましたが
できるだけ謙虚に価格交渉をして40元おつりを渡すということで合意に達しました。
なので、この女が
40元渡すフリしてわざと30元しか渡さなかったとき
俺が
我を忘れて女を問い詰めたのは言うまでもありません。
夕方はトシとshinと3人で上海科技館に行きました。
ここが上海最大の穴場と言っても過言ではなく
中国の先進技術の粋を結集した巨大室内テーマパークとなっています。
位置認識カメラによるバレーボールの楽しさは任天堂Wiiを凌ぐと思います。
これは文章で書いても伝わらないでしょうから是非現地でプレイしてください。
ここで一番面白かったのはやはり
人体クルージング(正式名称不詳)でしょう。
ディズニーランドのアトラクションに、4~5人乗りの車に乗って
おとぎの国を探検するライド(イッツ・ア・スモール・ワールドでしたか?)が
ありましたが、人体クルージングはおとぎの国が人体になったと考えてください。
我々はイチゴの形をしたライドに乗り、
中国人の坊やの口に入るところからアトラクションは始まります。
shinも言っていましたが、
どう転んでも絶対面白くなる設定です。
我々は数々の
流暢な中国語を話す臓器たちと出会い、
約5分間の探検を終えると感動のフィナーレを迎えます。
最後に何が起こるのか?それはあなたの目で突き止めてください。
しかし俺自身も言いたくてウズウズしているのでこっそりヒントを残しておきます。
ヒント:
大画面に映し出されたリアルな肛門
5.1chサラウンドシステムによるブリッ!ブリブリ!という効果音
夜はやはりコンビニでビールなどを買い、
若干高い会計に頭をかしげつつ夜の宴を楽しみました。
4日目
上海トップクラスの高級ブランド街である新天地で再会しようという
ことばを交わして2台のタクシーに分かれた俺たちでした。
しかし、大阪のアメ村のように
明確な入り口やランドマークがあるわけでもないのが新天地。
2台のタクシーは別々の場所に到着し、我々は
バッチリはぐれました。
もうそこからはグダグタを絵に描いたかのような展開。
新天地は物価も高く、ロクな買い物もできないまま
はぐれた仲間と再会できたのはその日の夕方になってからでした。
俺が生肉を食って腹を壊した話は書くべきでしょうか?
上海料理にすっかり飽きた我々は
ステーキキングというファミレスに行きました。
店名がステーキキングなのにほかの4人はステーキ以外のものを注文し、
俺だけがステーキセットを注文。値段は20元(約300円)と格安です。
店員は丁寧にステーキの焼き方を質問し、
俺は確かに「ミディアムで」とオーダーしたつもりでしたが
運ばれてきた肉は
マグロの刺身と見紛うほどの生肉だったのです。
たたでさえ食材の鮮度に疑問の尽きない中国で
生肉が出てきたらスルーすればいいのですが、
メインの肉をスルーすれば俺に残るのは
ドレッシングを薄めただけのスープと
カチカチの冷凍ニンジン。
元来、日本ではステーキを食べるときにレアを好む俺は
高度経済成長真っ只中の中国は鮮度保持の技術も急成長中間違いなしと
自分に言い聞かせて生肉を食し、
3時間後にはホテルのトイレでガタガタ震えていました。
皆さんはマネしないと思いますが、中国の安いレストランで生肉が出てきたら
遠慮せず床に投げつけてください。それは肉の形をした細菌兵器です。
この日の夜は卒業旅行の最後の夜。
いつも通りビールやおつまみを買い込む俺たちでしたが
連日の割高会計に疑問をおぼえた我々は商品をカゴに入れるたびに
携帯の電卓で合計金額を計算。この時の合計金額は
32.5元のはずでした。
そのため、レジのおばさんが
平気な顔をして45元を請求してきたとき
俺は意外にも
怒りを感じるどころか充実感を享受していました。
問い詰めても中国語で逆ギレするおばさんに対し
なおとは「もうあきらめて45元払おうか」という姿勢でしたが
トシがおばさんを尋問してやっと32.5元の正規料金になりました。
おそらくこのコンビニにはレジに
日本人ボタンなるものが存在して
金額が1.3倍くらいになるミラクルシステムが暗躍しているのでしょう。
偽ブランド売りの中華ニートたちや
おつりをごかます淑女、1.3倍の日本人ボタンを連打する高橋名人のような連中が
街にあふれかえっている限り、これは遠慮せず言わせてもらいますが、
来年の北京オリンピックで中国は世界に恥を晒すことになるでしょう。
5日目
格安ツアーのため、飛行機の時間は朝10時。
みんな6時起床の予定でしたが、
携帯のアラームを誤って日本時間でセットした俺のおかげで
4時50分に出来損ないメンバーたちは眠い目を擦って荷造りをしていました。
俺は
前日の生肉祭りの影響のピークを迎え、
起床からホテルをチェックアウトするまでの半分近くの時間をトイレで過ごしました。
空港までの送迎に現地ガイドつきのバスがありましたが
現地ガイドが15分遅刻した上に「
道混んでた!」という
日本なら僻地勤務の刑を言い渡されかねない言い訳をしゃあしゃあと吐きました。
帰りの飛行機は偏西風に乗ってやたら早く関空に到着し、
出来損ないメンバー達は口々にいかに日本があらゆる面で優れているかを
再確認することになります。
大体のあらましを書いたら相当長くなりました。
果たしてここまで読んでくれた人はいるのでしょうか?
実家のヘボPCでこれだけ書くと処理が追いつかなくて大変です。
全体的に見てやや批判的な書き方をしていますが、
俺はとても楽しかったし他のみんなも同様に楽しかったはずだと思います。
5人でいく初めての海外ということで
体力的にも精神的にも負担を感じる場面も何度かありましたが
最後に笑顔で帰国できたことはこれ以上望めないほどの成功ではないでしょうか。
卒業旅行を成功させるという目標に対して俺には至らない点が多々あったかもしれませんが
多くの面でいつも通り支えてもらい感謝感激雨あられです。
出来損ないのチョンマ達、本当にありがとうございました。
引き続き、開催の危機が心配される卒業パーティーを
成功させられるよう共にがんばりましょう!
本編では書きませんでしたが、中国のバイク事情はなかなかおもしろく
250cc以下のバイクはほぼ無いようです。法律が250ccまでなのかもしれません。
大体が中国製の125ccスクーター/スポーツバイクで、次に多いのがスズキのGN125。
ちなみに警察はスズキの250ccのアメリカンに乗っています。
俺の乗っているCB125Tも一台だけありましたが、
走行8万キロで相当古く、日本のボロい中古を輸入した代物のようです。
どのバイクもパニアケースやグラブバー、エンジンガードと
ゴテゴテとオプションがついています。たぶん実用性を確保する意味のほかに
排気量が抑制されて大きいバイクに乗れないフラストレーションの表れだと思います。
バイクのほかに驚いたのが、スクーターの形をした電動自転車です。
これはペダルのついた自転車なのですが、
見た目は日本の50ccスクーターと同じなのです。
基本的に電動で走るので走行音が無く、
気が付いたら自分の後ろにいたりしてとーっても危険。
旅行中はサイレントバイクと呼んで畏怖の対象として恐れていました。
ペダルを漕がなくても電気の力で走るので実質的にはバイクです。
法律の問題から日本では自転車として販売できないと思います。
販売されたら面白そうですが、高そうですね。
中国ではみんな当たり前のように乗っていましたが、
いくらくらいするのか気になるところです。