受け売り

　具がないスパゲティを、イタリアでは絶望のスパゲティというらしい。

　だが、日本では具がないそばを、絶望のそばなどと呼ばない。
　ざるそばとかもりそばと言う。

　あえて、日本語で絶望のスパゲティに近い物を探すとするなら、具の無いみそ汁であろうか？
　フのみそ汁でさえ「きょうふのみそ汁」と呼ばれるこの現代日本において、具の無いみそ汁の絶望感はいかほどであろう。さらにダシさえとってない、味噌をとかしただけのお湯なんかを飲まされた日には恐怖と絶望のあまり発狂するかもしれない。

　そう考えると、食育は大事かもしれない。
　だがでも、はじめからみそ汁は味噌をお湯でとかした飲み物と子供に信じ込ませて最期までつらぬく度胸があるなら、それでやり通せる自信さえあるのなら、日本の食文化を破壊しているだけで教育上は特に問題ない。
　そういう親の家庭なら、みそ汁にフなんかいれたもんなら、もう子供は今日はなんかのパーティなのかと思ってはしゃぎだすだろう。たかがフで幸せになれるのならすごくラッキーだと思う。

　ドーナッツは奴隷の食い物であったと聞く。
　小麦粉を揚げたものに砂糖をまぶしたのがドーナッツであり、栄養分は炭水化物に糖分であって、そくエネルギーだ。小麦と砂糖さえ貴重品でない状況なら、かなり安上がりな食い物である。それは飯に醤油をかけて食うのに似ている。

　食育と教育は違うと思う。
　何を誰と食うかなんて事で別に親が無理する必要はないと俺は思うが、俺の言う事なので信用してはいけない。
　栄養のバランスは発育上、とても重要だ。
　だが、子供の肥満の原因はすぐ親のせいにされるから、私は子供の身体を気遣ってますよと証明したいなら、食育は重要だろう。（子供の身体の為でなく、良い親を証明したいだけ？）