墨汁日記

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彼女

2004-09-09 19:20:02 | ケツ
 今現在、俺はパン屋で働いている。街の手作りパン屋だ。俺の仕事はパンの製造である。パン屋と人に言うと、じゃあパン焼いてるんだ?と聞かれる事が多いが、俺はパンは焼けない。
 パン屋の作業は流れ作業だ、パン生地を作る仕事、パン生地を重さに切り分ける仕事、パンを焼く前に形を整える仕事。そして、実際に生地をオーブンに入れて焼く仕事と分かれている。ジャムおじさんみたく一人じゃパンは作れないのだ。やればできるが大量生産は無理だ。このパン屋には女の子が多い。俺は知らんかったんだが、パン屋は女の子の憧れの職業の一つであるらしい。せまい20畳ほどのパン製造室内の女子率はかるく7割を超える。ちなみに俺はパン生地を作るのが主な仕事だ。
 俺がパン生地を重さに分ける仕事をしていると、彼女が棚の上の材料を取ろうと近づいてきた。かすかに良い匂いがしたとでも書けば、文学調だが、別になんの匂いもしやしない。
 なんで女の子ってこうも無臭でいられるんだと時々感心してしまう。俺の鼻が弱いわけでもあるまい。
 親父が近づいてくれば、その汗の臭いですぐ誰が来たのか判るぐらいなのだ。女の子でなく、女は匂う。おばさんの匂いであり、おふくろの匂いだ。
 近づいて来た彼女は俺の横に立つ。そして棚の上の物を取ろうと、つま先で立ち伸び上がる。のびきった胴はくつろいだ猫のように長く長く伸びる。
 いつもはダブダブのコックコートも今は彼女の身体をなぞるようにピッタリとはり付き、彼女の二つの乳房を押しつぶさんばかりに密着している。
 細かったウエストはさらに細くなり、彼女の骨盤にしがみついていた前掛けはだらしなくずり下がる。長く伸びた胴に細いウエスト。伸ばされた腕も文句なく美しい。
 コックコートの下に隠されていた彼女の見事なプロポーションが披露される一瞬である。
 彼女の目線は棚の上だ。俺に見られていることに気づくはずもない。彼女の顔を仰ぎ見る。
 黒々とした鼻の穴、赤い唇。三日月の白目と生え並ぶ睫毛。いかがわしさと神々しさが同居したかのような不思議な顔のパーツ達。
 
 彼女は他の作業台で他の女の子達と一緒にパン生地をパンの形にする作業をしている。
 ぼんやりと俺は彼女の背中を眺めている。背中を曲げ、腕をせわしなく動かしている彼女の上半身は、まるで少年を思わせる。他の女の子達がダブダブのコックコートを着ると上半身が丸くふくれて冬の雀を思わせるのと対照的だ。
 少年を思わせる上半身に対して下半身は丸みをおび女性的だが、すべてにおいてダブダブのお仕着せのユニフォームは彼女のそんな女性らしさを白い木綿の下に封印してしまう。女の子では珍しく腹ではなく腰にまいた前掛けのみが細いウエストを強調して女の子であることを主張する。少年の様な、そんな彼女の後ろ姿だ。

「ねぇ、牛乳がないんだけど。」
 彼女は明日作るパン生地の材料がたりないと俺に訴える。共同冷蔵庫にもないし、買ってくるべきであろうかと俺に問う。
 口は彼女の言葉にあわせつつも、俺の目は彼女の顔に釘付けになる。彼女の顔から目を離せない。
 30度を超える製造室で作業を続けた彼女の顔は上気し、皮膚はピンク色に染まっている。
 心地よい輪郭を形成するふくよかな頬から顔の角度にあわせてめまぐるしく変化を見せる首、そして胸までと続く首筋までが、ピンク色に染まった皮膚に包まれている。
 彼女の体温すら感じる優しく繊細なピンク。実際、彼女の顔を見ていると、まるで彼女の体温が乗り移ったかの様に自分の身体が熱くなるのを感じる。
 大きく見開いた瞳は濡れて輝いている。粘膜や内蔵という言葉がふと頭の中に浮かぶ。そう、瞳は彼女の身体の一部が表面にとびだしたもの、この瞳の先に彼女の心である脳が直接に接続しているのだ。だからこそ瞳は深く美しいのかもしれない。
 ほんの少しつり上がった目尻とそれにあわせて並ぶ睫毛は、彼女の意思の強さを主張している。ゆるやかなカーブを描く形の良い眉毛。
 額はコック帽の下に隠れてしまっている。凛と通った鼻筋。小鼻には、あのピンクが優しく色を添えている。
 口紅などつけてないのに、彼女の唇は光沢を持つ。彼女の唾液が光沢をつくり出しているのだ。彼女の会話にあわせて自由自在に姿を変える肉厚な唇。その表面は唾液による滑りで怪しくなまめかしい光沢をはなつ。魅惑的な唇からちらりとのぞく白い歯。そして舌。
「じゃあ牛乳買ってくる。」
こんなにも、俺はあからさまに彼女の顔に魅入っていたというのに、彼女の瞳や唇に釘付けにされてたというのに。彼女はまったく物怖じもせずに目線をまっすぐ俺に向けたまま会話に結論をつけ去って行った。
『君って、すごい美人だよね。』
 そう言えるなら、口に出してしまいたい。そうだ、彼女は美人だ。こんなふうに男にジロジロ見られるのにも慣れているのかもしれない。

 彼女はパン生地を作る作業をしている。小麦粉と水とその他の材料をミキサーに入れて混ぜ合わせれば、パン生地となる。
 ミキサーと言っても、ここにあるミキサーはご家庭用の可愛いミキサーとは違う。お湯を張れば小さな子供なら肩までつかって入浴可能なぐらいある大きさのステンレス製のミキサーである。
 粉や材料を入れるのに都合が良いよう高さは低く抑えられているので、できあがった生地をあげる時は腰をかがめなくてはならない。
 彼女はできたパン生地をミキサーからあげようと必死だ。実際、何十キロとあるパン生地をミキサーから取り出すのは女性には大仕事だ。彼女は上半身を折り曲げ頭をミキサーにつっこみ大奮闘だ。
 だが、彼女の奮闘は女性観察者である俺には好都合だ。
 彼女の意識はミキサーの中だ。
 視線も完璧にミキサーの中にある。
 正に女性観察者の独壇場シュチュエーション。
 さてさて、観察させて頂きますかね。こういう時にあせってすぐに女性観察にとりかかってはいけない。俺ぐらいの女性観察者ともなると、まずは左右確認である。どこで誰が見てるかなんてわかりゃしない。後で、「あの親父見てたんだよ。」なんて事を報告でもされた日にゃ、後々の活動が非常にやりにくくなる。
 まずは、左右の安全確認と。右よし、左よし。OK。誰も俺に注意をはらってない。では、さっそく観察と。
 目線を彼女に移して、俺は負けてしまった。女性観察の最中に女性観察を忘れてしまったのだ。そこには女性観察などと言う生半可な言葉でごまかしようもない、彼女の生きた体があったのだ。
 そう彼女の尻がただそこにある。たちまち視界全体に広がる彼女の尻。観察なんかでは、もうない。俺はただただ彼女の尻に見とれている。
 彼女は生地あげの作業を終了させミキサーの掃除にとりかかる。腰をくの字にまげ上体からミキサーに覆いかぶさる。左手でミキサーのへりをつかみ、すこしずつ手動でミキサーを回転させながら、右手に握った樹脂製のへらでミキサー内にこびりついた生地の汚れやカスをそぎ落としていく。ミキサーを回転させる左手。上下に動いて生地のカスをそぎおとす右手。
 リズミカルにテンポよく上半身を動かしミキサー内の汚れを落としていく。その上半身の動きにあわせて腰はクネクネとリズミカルに振られる。もちろん彼女のお尻も健気にクネクネとリズミカルにつきあう。
 ついさっきまで、ブカブカで彼女の身体を覆い隠していたはずの白い木綿のズボンは上半身を折り曲げた今では彼女の丸く形の良い臀部にぴったりと、これでもかとばかりにくっついている。
 少々、残念な事にくっつきすぎである。彼女の若く豊満な両の尻の山はピンとズボンの生地を破れんばかりに張りつめさせているのだ。谷となる尻の割れ目はピンと張った生地の下に隠されてしまっている。
 しかし尻は上半身に合わせて左右にふられている。尻が右に左へとふられる度に高くなった方の尻の山は低い方の尻の山へと段差をつくり、生地をわずかにゆるませて目の前にある尻が二つの豊かな肉の塊で構成されていることをありありと示す。
 前へ後ろへとチラチラと現れ消える左右のお尻の山とそれに張り付く木綿のしわは、さらにその奥にあるであろう秘所の存在すら予感させてくれワクワクさせてくれる。
 そして、白い木綿のズボンは自分が純白であることを誇示するかのように、彼女の赤い下着をご丁寧にも縫い目つきで透かし見せてくれる。
 彼女のあの細いウエストや美しい顔からは想像もできなかったこんなにも豊かでボリュームのあるお尻。その欲情的としか表現できないようなお尻が赤いパンツをはいてグネグネとリズミカルにうごめき今や俺の視界全体に広がっている。もはや、ケツしかみえない。
 俺に味方してくれるのは、彼女のお尻に張り付くズボンだけではない。なんと彼女の上着までもが、俺にお恵みをお与え下さる。彼女の激しい上半身の動きにより上着はじょじょに上体へとひきよせられていくのだ、あらわになり始める下半身。
 ベルトをしめていないので、空っぽで並ぶズボンのベルト通しが、まず顔を出す。見えるかなと期待して待っていると、やがて青白い背中が顔をだす。生の皮膚である。顔と腕以外の生皮膚をこんなところで拝めるとは!俺は幸せ者である。背骨と白い皮膚は体の動きに合わせて現れたり消えたりを繰り返す。そのうちズボンも豊満なお尻の動きによりわずかずつであるが、下へとずり下がりはじめる。上へと導かれる上着、下へとずり下がるズボン。その結果は、はみパンである。生パンツが顔をだしたのだ。彼女の下着なんて、この先、関東大震災でも起こらなきゃ見る事もなく、このまま死んで行くのだろうな。なんて考えていたのに、こうもたやすくはみパンなんである。
 赤く薄い下着の生地はしっとりと彼女の皮膚に吸い付き、彼女の白い背中に彩りを添える。
 豊かなお尻とそのギリギリ上でむきだしとなる彼女の体。それは、から付きのエビをパッチンと折った様子に似ている。からとからの隙間から、盛り上がる様に現れる白い肉体。
 彼女が許してくれるなら、全部むいてしまいたい。切ない様な頭がおかしくなりそうな、激しく狂おしい感情。彼女が上半身を上げた。ミキサーの清掃が終了したのだ。慌てて目線を外し正気に戻る。彼女は俺の横を通り流しのほうへ行く。
 いつもの職場に戻った。
 あのお尻は本当に現世のものだったんだろうか。俺は白昼夢でも見ていたのか?今そこに立つ彼女からは、もうあの尻は想像できない。
 だが、その時すでに俺の中で何かが変わっていた。
 ケツ最高!
 ケツブラボー!
 ケツ万歳!
 ハイル!ケツ!
 俺がケツ至上主義者にコペルニクス的転回した瞬間である。全ての女性のボディラインにおいてケツの丸みこそ原初で荘厳なる女性の美の象徴にて、雅致でもある。香煙すら見目麗しい。
 てゆーか、もう大きなケツに細いウエストが俺のツボです!
でもこんな事を誰に報告すればいいのだ。仕方がないので、ここで書く。以上で俺の女性観察報告は終了。

 ちなみに彼女は結婚して辞めてしまったのだ、今はもう観察対象から外れている。これからは何を楽しみに仕事に行きゃいいのか。ま、渋々仕事にはげもうとは思う。


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