馬鹿ばっかり！

　まぁなんだが、パン屋ほどの馬鹿はいない。

　世間も理屈も道理も分かってないような連中ばかりだ。
　
　いわゆるパン屋がパンを焼けば焼くほど、『人類』の寿命を縮めているという道理がまず分かっていない。パン屋が頑張ってパンを焼けば焼くほど、消費者がパンを買えば買うほど、資源は減り、人類の寿命は縮まる。

　ようするに、エコが偉いわけじゃないけど、閉じられた住環境（地球）に住む以上は、出来るだけエコの方が『種』として長生きできる。

　関係ねーよ。
　俺は『個』として好きに生きるんだと言うならば、俺はそれを咎めない。
　好きにすれば良い。
　人類なんか、いずれ必ず滅びる。それが早いか遅いかの違いだ。

　地球的な本音を言うならば、本来はいらないんだよねパンもヒトも。

　だがヒトがいて、ヒトはパンを食う。

　パンなど余剰に過ぎない。
　真剣になる理由はひとつもない。
　さらに、パン屋の給料は驚くほど安いくせに、朝は早くて重労働。
　
　だがパン生地に真剣につきあうなら、パン屋には休憩をとるヒマさえない。

　バッかだなぁと思いつつも、パン屋の無駄に真剣さなだけには、敬意をはらうしかない。パン屋なんかはどいつもこいつも無駄に真剣で笑える。

　パン屋なんか馬鹿ばっかりだ！

　でも、パン屋の無駄にギリギリな生き様は好き。

　で、好きな連中と一緒に働けるのはわりと幸せ。