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★「つくる会」「教育再生機構」双方の主張

保守系ミニコミ紙「国民新聞」7月25日号に掲載された「新しい歴史教科書をつくる会副会長」「日本教育再生機構支持者」双方の主張を紹介します。
 
「つくる会」と教育再生機構は教育改革推進のため真の協調関係を
            新しい歴史教科書をつくる会副会長 杉原誠四郎 
 
 新しい歴史教科書をつくる会の機関紙「史」平成十八年七月号でも触れているように、私個人はこれまで大きな組織に関わることを好まないできた。しかし昨年四月をピークとするつくる会の混乱を見て、つくる会の社会的意義に鑑み、早急なる収拾、再建に取り組まなければならないという思いにかられ、請われるままに昨年六月理事に就任した。
 最初の課題はつくる会を脱退した元理事が中心となって、その時点でできようとしていた教育再生機構とどのような関係を築くかということであった。私は最初からきっぱりと協調関係を築くべきだと思っていた。難問山積みとなっている日本の教育に対して、ともに保守系の教育運動団体として協力をして取り組まなければこの難問は解決しない、といういとも簡単な理由からであった。
 そこで私は、私より少し前に理事になりすでに会長に就任することが決まっていた小林正・前会長の、やはり同じく教育再生機構と協調していこうとする路線を強く支持した。
 しかししばらく進むにつれて、小林前会長の協調路線にはついていけないことがわかった。小林前会長の協調路線はつくる会がつくり育てている「新しい歴史教科書」「新しい公民教科書」を、教育再生機構と直接に共同してつくろうというものだった。何らかの理由があってつくる会を脱退した人たちが設立した教育再生機構が組織的に介入してつくる会のこれら教科書をつくるとしたら、つくる会の理事会として承諾できるはずはない。たとえ仮に理事会は何とか承諾しても、今度はつくる会のこれら教科書を守り育てるために結束している六千人の会員が反対してくる。小林前会長の協調路線はつくる会として最初からありえない強調路線であった。
 私の協調路線は、つくる会の教科書事業はつくる会の事業として周囲が認め、そして教育再生機構は教育再生機構として独自の教育運動を展開し、それをつくる会も手伝い協力するというものだった。
 教育再生機構は、日本の道徳教育再興のために、現行「道徳の時間」の教科化を提言した。そしてそれは政府の教育再生会議によって取り上げられ、実現することになった。教育再生機構が教科書にも取り組むというのであれば、つくる会の教科書には直接関わらず、例えばこの道徳の教科化にともなう道徳の教科書の製作に取り組むべきなのだ。いまのままでは、「道徳の時間」の教科化も現状追認程度に終わり、真の教科化にはならなくなる恐れがある。それでは戦後六十年無力化した日本の道徳教育の再生にはならない。
 教育再生機構に期待される課題は山積みである。それを教育再生機構はまっしぐらに追及(ママ)し、そしてつくる会はそれを助けていく、そういう協調関係でなければならないのだ。だから有識者にも問いたい、つくる会と教育再生機構はこのまま対立を続けてよいのかと。
「つくる会」首脳はオールジャパンを妨害するな
            日本教育再生機構サポーター 水島洵子
 
 扶桑者発行の中学校歴史・公民教科書の執筆にかかわった「新しい歴史教科書をつくる会」は五月三十日、扶桑社との関係継続を模索してきた小林正会長を解任して同社との絶縁を決め、強硬派の藤岡信勝副会長を会長に選出しました。
 フジサンケイグループ・扶桑社はフジテレビ一〇〇%出資の教科書会社「育鵬社」を設立して、日本教育再生機構(八木秀次理事長)と協力して教科書発行を継続します。「つくる会」も新たな発行元を見つけて教科書を出すとしていますが、出版社探しは難航しているとみられます。
 つくる会会長を解任された小林正氏は「一連の揉め事の種はすべて『つくる会』が蒔いたもので、扶桑社には何の責任もなく、むしろ最大の被害者でさえあります」と解任の経緯を明かす文書を発表しています。
 そうした中、藤岡会長は、「つくる会」からの退会を再三表明しながら影響力を行使し続けている西尾幹二元会長とともに、弁護士を通じて扶桑社に「通知書」を内容証明郵便で送り付けました。扶桑社の教科書の著作権は自分たちだけにあり「御社には、本教科書につき、いかなる意味でも著作権は存在しません」という法的に到底通用しない主張です。
 そして「育鵬社が中学校歴史教科書を編集・製作される際には、内容、形式、理念のいずれの面から見ても、本教科書の初版及び改訂版の模倣とは認められないものとされるよう強く要求し、かつ、警告申し上げます」と要求したのです。
 二度の教科書検定・採択を戦った戦友に弁護士を通じて「警告」するとは尋常ではありません。しかも「自虐史観ではなく、史実に基づいた教科書」という良識ある国民共有の理念を模倣するなというのです。「つくる会」はその理念を普遍化するために設立されたのではなかったのでしょうか。
 「つくる会」は七月六日にも、扶桑社に対して「無礼極まりない」とか「大義のない、一部グループの私益に奉仕する教科書事業は出発点から道義的に破産している」などと非難する文書を発表しています。まるで闘争至上主義の左翼組織のような行動です。藤岡氏が会長になってから歯止めを失ったようです。
 一方で、フジサンケイグループや日本教育再生機構が目指す「オールジャパン」の態勢作りは着々と進んでいます。
 オールジャパンを支援する有識者グループ「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会」(教科書改善の会)には、「つくる会」の歴代会長六人のうち、西尾、藤岡両氏を除く、八木秀次、田中英道、種子島経、小林正の四氏が名を連ねています。代表世話人は屋山太郎氏、世話人は石井公一郎氏、小田村四郎氏、渡部昇一氏ら。賛同者には、日本会議の椛島有三事務総長や日本政策研究センターの伊藤哲夫所長も加わりました。
 日本教育再生機構と「つくる会」が「協調」するとかしないとかの次元では既にないのです。あるのは「良識ある大多数のつくる会会員を含むオールジャパン」と「左翼的体質のつくる会首脳・一部支持者」なのです。
 今後もオールジャパンへの妨害が続くなら、保守派国民運動は彼らを完全に排除するでしょう。
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