絶版プラモデルやじ馬考古学・ボックスアート美術館(なつかしき50~60年代アメリカプラモの世界)

古き良き時代の絶版プラモを発掘する、インターネット考古学。現在、・ボックスアート美術館にてエレール特別展を開催中!

不屈のジョンブル魂!エアフィックス・ボックスアート美術館Part9

2013年01月20日 | プラモデル

ドイツ軍によるボックスアート輸送大作戦


「長官!
 兵士には休息が必要だ



「私にも必要だ」

今回はお休みです



不屈のジョンブル魂!
エアフィックス・ボックスアート
美術館

大きいことは
イイことだ!

1:24シリーズ




MPCバージョン












映画『空軍大戦略』をイメージさせるボックスアートだ。

『航空ファン』誌に見る1/24スピット広告


「史上最大」の文字が誇らしげに掲げられた
当時の広告。確かにデカかった。


一方のライバル、グンゼ・レベルの広告。
グンゼで商品開発した雷電が、当時のプラモ雑誌の話題をさらった。
店頭価格で700円というのは、大型モデルであるにもかかわらず
けっこうお買い得感がありインパクトがあった。




エアフィックス1/24スピットの広告。
下の方に2,900円という売価表示が見える。
現在の感覚でいえばかなり安い印象だが、
当時としては高額商品だった。
いまこのプラモを購入しようとすれば、ネット
販売で5千~6千円前後で入手できるが、これも
円高の恩恵だろう。

レベルの1/32もデカいと思ったが、それより
デカいプラモの登場でプラモ雑誌での話題を
さらった。

なお、このプラモの輸入元は大洋交易となっている。
この時期、ポストホビーの日本国内代理店契約は
すでに失効していたのだろうか。
そういえば、上記航空ファン誌71年4月号のポストホビーの
広告には、エアフィックス日本国内代理店の文字はない。


エアフィックス新製品紹介の記事。








プラモデル教室記事。
航空評論家の秋本実氏を講師に招いて
開催したときのもの。

これは参加者が自分の作品を持参し、講師がこれらを
講評し最優秀作品を選ぶという内容で、当初はさまざまな
航空機プラモの出品だったが、途中からテーマとなるプラモを
毎回決めて行うようになった。
講師は、秋本実氏や小鷹和美氏といった当時プラモデル雑誌で
製作記事や機体の塗装・マーキング類の考証記事を執筆していた
方々で、毎回入れ替わりで登場していた。

このときは、話題のエアフィックス1/24スピットファイアを取り上げた。
本格的1/24プラモということもあって、参加希望者が殺到したため
抽選で7名を決めプラモデル教室を開催したのだが、モノが大きすぎて
製作に手こずったのか、出席者わずか2名となってしまった。
5名がドタキャンという異常事態に、「参加を希望した以上は、責任を
果たすように」という編集部の苦言がしっかり掲載されているのが印象的だった。


当時の航空ファン誌には、橋本喜久男氏によるワイドカラー側面図が付属していた。
定価が350円の時代で、この側面図付というのはお買い得感があった。

グンゼレベルの1/32ヒコーキプラモにも、このような橋本氏の着陸姿勢カラー
側面図が付属していた。


参考資料

スピットのボックスアートで最高傑作といえば、やはりこれだろう。
現在でもこれを凌駕する作品は、出ていないと思う。

映画『空軍大戦略』より、イギリス空軍に
ボコボコにされるHe111映像集。
http://www.youtube.com/watch?v=uyWWOZxqlSU&feature=endscreen&NR=1


世の中には
もっとデカいプラモがあった!

オモチャおやじ
ハチャメチャ企画

実物大プラモ作ろう!
1/48スケールのスピットプラモをベースに、
これを48倍して実物大プラモを製作
するという前代未聞の企画をブチ上げた
チョー過激オタク・おやじの顛末記。


Wikipedia
イギリスの「オモチャおやじ」こと、
ジェームズ・メイ


Wikipedia




Wikipedia
これが実物大プラモ。


Wikipedia
実物大フィギュア。
顔の部分は、ジェームズ・メイ本人から
直接型取り(!)している。

James May's Toy Stories
エアフィックス1/48スピットファイアをベースに、
1/1プラモを作り上げるという前代未聞の企画を
実現させたイギリスBBCの番組がコレ。
冒頭にエアフィックス製品の紹介やプラモ生産現場の
映像があって、なかなか興味深い。
http://www.youtube.com/watch?v=zID8rnZcshs

ライバル機も出た!








過去には省略されていた垂直尾翼のカギ十字が
ちゃんと描かれている。
憎悪の対象であったカギ十字も、歴史的事実として
受け止めようという意識の変化があったのだろうか。






MPCバージョン






エンジン内部に小型モーターを
仕込んで、プロペラを回転させたい
お客さん向けのもの。







超デカモデル!

レベルが1/32スケールでモスキートを発売したときは、
かなりデカいプラモだと思ったが、それをさらに上回る
モデルがこれだ。
WW2のイギリス空軍を代表するスーパースターなので、
エアフィックスとしては何とかモデル化したいアイテムだった
のだろう。歴史をプラモとして残す…そんな執念みたいな
ものが感じられる。

このボックスアートは、歴史的事実を描いている。
爆撃を受けた建物はフランスのアミアン刑務所(のちに
立て替えられて、現在も刑務所として使われている)で、
大戦中はゲシュタポによって捕らえられたフランス・レジスタンス
関係者が収容されていた。
ゲシュタポは、これら関係者を1944年2月19日に処刑する
ことを決定した。
この事実を知ったレジスタンスは、イギリス政府に刑務所を
爆撃し収容者を脱獄させるよう要請をした。

イギリス政府は困惑した。
いくら腕のよいパイロットでも、収容者に犠牲者を出さずに
爆撃するなど不可能だからだ。
しかし、レジスタンス側はあきらめなかった。
このままでは全員処刑される。
少しでも助かる可能性があるのなら、爆撃すべきではないのか。

作戦は処刑が実施される前日、すなわち2月18日に決行された。
爆装したモスキート11機は、刑務所の看守たちが昼食のため
食堂に集まる12時に攻撃を開始した。
正確なピンポイント爆撃で、食堂は破壊され塀には大穴が開いた。
この混乱に乗じて収容者約700名のうち約250名が
脱獄に成功したのだった。
しかし、その後のゲシュタポの執拗な捜索により大半の者は
再び捕らわれてしまった。




Wikipedia
スピード感のある写真だ。
刑務所の建物には着弾による
煙が確認できる。
ドイツ側は、まさか爆撃されるとは
思ってもいなかったようで、刑務所周辺を
見ても対空砲などが配置されている様子は
ない。完全な奇襲であった。
突然の爆撃と逃げ出したレジスタンスとで
現場は大混乱のはずで、警備用の機関銃で
対空戦闘を行っている余裕はなかっただろう。

なお余談だが、上のボックスアートはこの写真を
参考にして描かれているような気がする。


GoogleEarth
現在の状況を同じアングルで見てみた。
建物が平面的になっているので変な感じだが、
再建された刑務所の様子がよくわかる。


Wikipedia
爆撃直後のアミアン刑務所。
不鮮明な写真なので、建物の被害状況が
イマイチわかりにくいが、雪原に散らばった
破片がある部分とその右側の塀は、命中した爆弾で
崩壊しているように見える。
作戦時、あたりは一面積雪状態だった。
塀の外側から爆弾を命中させたものだが、このような
ピンポイント攻撃の正確さには恐れ入る。


GoogleEarth
現在のアミアン刑務所。
赤丸部分が爆撃で塀に穴が開いたところと
推定する。


GoogleEarth
塀の外側は住宅地になっているが、当時
刑務所正面(画像では下側)に面した大通り周辺以外、
人家はほとんどなかった。


Wikipedia
塀に大穴が開いている。
レジスタンスの面々は、ここから脱出した。
爆撃によって建物もボロボロ状態で、
ドイツ側・レジスタンス側双方に多くの犠牲者がでた。


GoogleEarth
刑務所裏手の様子をストリートビューで見る。
赤丸部分は塀の崩壊推定部分。
ただし、左の赤丸部分の塀は民家に隠れているので
この画像からは見ることはできない。


爆撃直後の刑務所の様子がわかる貴重な映像。
戦果確認のため、モスキートに搭載されたカメラで
撮影されたもの。
http://www.youtube.com/watch?v=VOAPx_VPi-A



Wikipedia

1969年公開の映画『モスキート爆撃隊』予告編。
テレビドラマ『ナポレオン・ソロ』のイリア・クリアキン役で
おなじみのデイヴィッド・マッカラムが主演。
連合軍捕虜が収容されている城の壁を、モスキートから
投下された特殊爆弾で破壊して、捕虜を逃亡させるという
話は上記の史実を下敷きにしたものだろう。
http://www.youtube.com/watch?v=16UpDYqUzoA








イギリス人にはツラいボックスアートだが、必死に逃げ回る
悲壮感みたいなものが感じられて、絵としては素晴らしい。


Wikipedia
チョー地味ながら、WWⅡにおいて偵察・救難・対潜哨戒に活躍した。
とくに通算1万人以上のパイロットを救助したことは、特筆に値する。
本機の活躍が見られる映像は、コレ!
http://www.youtube.com/watch?v=4-2UAXblTUE






















「バトル・オブ・ブリテン」勝利70周年記念ボックスアート。






日本では、製造元のアメリカ機というよりは
零戦や隼にボコボコにされたイギリス機という
イメージが強い。

































































伝説の作戦が、いまよみがえる!

攻撃を受けたダムの一部分が、スタンドベースとなっているのが
オモシロい。
これだと1/72スケールとはいえ、ダムがけっこうデカいことがわかる。



1943年5月17日、イギリス空軍はドイツの軍需生産拠点である
ルール工業地帯に電力を供給していた水力発電ダムへの攻撃を実施
した。目標はメーネ、エーデル、エンペネ、ゾルぺ、リスターの五つのダムで、
19機のランカスター爆撃機が出撃した。

ドイツ側はこれら重要施設であるダムの攻撃を予想して、対空砲を配置し
貯水池には防潜網を設置し魚雷攻撃に備えていた。
イギリス空軍はこれに対し、ドラム缶型の反跳爆弾を開発した。
ランカスター機体内部に特設されたモーターにより回転された爆弾は、
機体から投下され着水すると水面を飛び跳ね、ダムに命中すると
そのまま沈み水中で爆発するようになっていた。

戦果は五つのダムのうち、メーネ・エーデル両ダムは決壊し、下流地域に
大水害を発生させた。
死者1249名、稼動停止した軍需工場125箇所、流失橋梁25箇所と
なんとも凄まじい数字が残された。
エンペネ、ゾルぺの両ダムは、攻撃を受けたものの被害なし。
リスター・ダムは、濃霧のためイギリス機に発見されず攻撃を受けなかった。

一方の攻撃部隊もけっして無傷ではなく、出撃した19機のうち8機が
未帰還となった。

その後、ドイツ側はダム周辺の防備を強化したのは当然のことだが、
イギリス側も損害の多さから、ダム攻撃は実施しなかった。

ダムの被害状況

Wikipedia
メーネダム


Wikipedia
エーデルダム

ダムの決壊状況がよくわかる。

現在の状況

GoogleEarth
赤丸部分がメーネダム。


GoogleEarth
赤丸部分がエーデルダム。
メーネダムも同様だが、ダム下流地域には
畑が多く、集落があちこちに存在する。
大戦中の状況も似たようなものだったと思われる。
ダムが決壊すれば、貯水池の水が流れ出し
大量の犠牲者が出ることは、容易に想像ができよう。

1955年公開の映画『暁の出撃』より
ダム攻撃のシーン。
http://www.youtube.com/watch?v=lCRIsjJFRNo




ダムバスター・オマケ

アブロ・ランカスターをモデル化したメーカーでは、
小改修でOKのダムバスター・バージョンも
忘れずに発売しているのは、洋の東西を問わずだ。


タミヤ

ノーマル・タイプ


ダムの形状からメーネ・ダムを描いているようだ。


「塗装済み風防付き」スペシャル・バージョン

レベル

ノーマル・タイプ


イギリス空軍によるダム攻撃の事実は、グンゼ・レベルのプラモで
初めて知った。
ところでボックスアートに描かれたダムは、何となく現代風。
これが描かれた当時は、メーネ・ダム等に関する資料があまり
無かったのかもしれない。





「ダンピールの悲劇」映像
1943年3月、パプアニューギニア近隣のビスマルク海に
おいて、日本軍輸送船団がボーファイターを含む連合軍航空部隊の
攻撃で全滅した。このときの映像がコレ。
海上の救命ボートや漂流者に対して、情け容赦なく銃撃を加える
映像は心が痛む。

輸送船8隻は、護衛の駆逐艦8隻とともにラエに向けて
ラバウルを出航したが、途中連合軍航空部隊の攻撃で輸送船全部と
駆逐艦4隻が沈没し、約3000名が死亡した。

輸送船団上空には零戦の護衛もあったが、超低空で侵入する
敵機を阻止できなかった。
また日本の輸送船は、高射砲や機関銃で武装されていたが、
機銃掃射をしながら襲いかかる敵機には、とても対抗できなかっただろう。
http://www.youtube.com/watch?v=YVLV67xILI4


Wikipedia
襲撃される日本の輸送船。
船首下部を白く塗装しているが、
これはいかにも高速で航行しているかのように
見せるための欺瞞工作。
写真ではわかりにくいが、船体中央部下部に白い波頭、
船尾下部も白く塗装されており、通常の速力以上に
速度を出しているように見せている。

たとえば、敵潜水艦が魚雷攻撃を仕掛ける際、
目標の速度を誤って測定すれば、たとえ
魚雷を発射したとしても、命中はしないことになる。
しかし、実際にどの程度効果があったのだろうか。




旧式なスタイルながらドイツ戦艦ビスマルク撃沈に寄与した
多大なる功労者。
こんな機体が活躍できたのも、ドイツの海上航空兵力が貧弱だったから?

















戦勝国ならではの企画モノ。
『第二次世界大戦戦勝60周年記念』プラモセット。
何だかこのセットのために特別に開発されたプラモが
パッケージされたイメージがあるが、中身は過去に
リリースしていた製品のうち、大英帝国の勝利に貢献した
兵器のプラモをピックアップしたもの。
スピットファイアやハリケーン、ランカスターなどは選ばれて当然だろうが、
救急車や消防車もセットされているのが、意外性があってオモシロい。
日本では考えられない組み合わせだが、これも「人命第一」をモットーとする
欧米流思想の反映か。

また、コマンド部隊というのもいかにも象徴的だ。
少人数で敵中深く潜入し、ドイツ兵をキリキリ舞いさせる大胆不敵な作戦と
英雄的な戦闘は、冒険小説好きのイギリス人が喜びそうなアイテムだ。
これを見ると、イギリスの人気商品がどのようなものかわかり興味深い。

ところで、敗戦国の日本では『終戦記念○○周年記念』的プラモセットというのは
聞いたことがない。企画モノとして、零戦や戦艦大和のセットというのもアリだと
思うが、どうも重苦しい気分で買いにくいという雰囲気がある。
また、プラモの販売に『終戦』という言葉を軽々しく使ってよいのか…という
判断もあるのかもしれない。


墜落する機体から脱出するパイロットを描いたボックスアート。
緊迫感があって、こうした絵は好きだ。
でも、イギリスのメーカーが自国の機体をこうした形で描くのは
珍しい。なぜなら主役が墜落する絵というのは、敵国または対立する国を
対象とするのが一般的だからだ。


Wikipedia

参考資料・パイロット脱出ボックスアート

旧敵国ドイツの戦闘機メッサーの絵。
スピード感と緊迫感がうまく描かれている脱出アートの決定版。


これは、パイロットを射出できますよ…という
ギミックを説明したボックスアート。


仮想敵国ソ連もの。
チョッとラフな描き方が新鮮だった。

アメリカ空軍が制作したジェット戦闘機からの脱出に関する
教育映画から。
http://www.youtube.com/watch?v=xvBxQC-Olyg


IMC倒産後、金型はリンドバーグに移った。
アメリカのイラク侵攻作戦に便乗して、イラク空軍機仕様の
ものを発売していたのが思い出される。
なお、キットでは(IMC時代も同様だが)2機分入っているのではなく
被弾状態のパーツがオプションとして付属しており、ノーマルタイプまたは
被弾状態のどちらかを選択して作ることになる。



次回の更新は、3月15日夜の予定。

お詫び
体調不良により、ダウンしてしまいました。
更新は3月31日夜に変更します。
誠に申し訳ありません。



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2 コメント

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新年おめでとうございます。 (にゃん次郎)
2013-01-23 07:26:50
今年も、ブログ楽しみに拝見させて頂きます。
返信する
にゃん次郎様 (絶版プラモデルやじ馬考古学ブログ管理者)
2013-02-03 08:32:55
コメントに対する返事が遅れて、申し訳ありません。

今後の予定としては、エアフィックスの航空機、エレル製品を考えています。

どうぞよろしくお願いいたします。
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