奥永さつき

日々のできごとをそこはかとなくつづります。

「本質」を無視する国

2016-08-26 21:29:50 | 社会
NHKは受信料で成り立っています。その受信料とは、本来、NHKの番組を視聴したことに対する対価のはずです。ところが放送法上は、NHKの番組を受信できる設備を設置しただけで視聴しなくても受信料が取られます。

埼玉県朝霞市議の男性(40)が、ワンセグ付きの携帯電話を所有する人はNHK受信料の契約を結ぶ義務があるかどうかを争った訴訟で、さいたま地裁(大野和明裁判長)は26日、契約義務がないとの判断を示した。
 大野裁判長は判決理由で、携帯電話の所持は、放送法上、受信契約を締結する義務があると定める受信設備の設置には当たらない、との判断を示した。
 訴状などによると、男性は自宅にテレビがなく、ワンセグ付きの携帯電話を所有しているものの視聴はしていない。昨年8月、NHKに放送受信契約を締結する義務がないことを確認しようと問い合わせたところ、持っているだけで締結義務があると説明された。
 NHK側は「ワンセグも受信設備であり、放送が受信できる状況にある以上、契約義務はある」と主張していた。(産経ニュース)


NHKの主張は放送法に則ったものですが、放送法は「見ていないと主張していても見ているかもしれないという性悪説」に基づいたものです。
NHKの放送だけをテレビに映らないようにする専用機器を取り付けた元船橋市議の男性が「いったん機器を取り付けても、男性の意思次第で機器を取り外して再びNHK放送を見ることができるため、受信料の支払い義務は免れない」との理由で、先月東京地裁で敗訴しました。元船橋市議の男性は取り外すはずもないのですが、取り外すかもしれないという性悪説が支配しています。
いずれの訴訟も「性善説」に従えば、お二人はNHKを視聴しませんから、本質論ではNHKに受信料を支払う「義務」は生じません。

このような、「視聴の対価としての受信料を支払うという本質」を無視した制度があるのは日本だけではないでしょうか。
デジタル時代で、受信料を支払った人だけが見られるようにするなんてことは容易ですから、そのような制度に改めるべきです。