奥永さつき

日々のできごとをそこはかとなくつづります。

最近読んだ本_2023.6 上枝美典「現代認識論入門」勁草書房、2020/8/19

2023-06-27 21:38:28 | 社会
知識(K)とは、正当化された(J)真なる(T)信念(B)であると言われてきた。しかし、1963年にE. GettierがJTBを満たしているが知識でない事例を提出して(ゲティア問題)、この問題を解決するために、K=JTB+αなる諸々の説が提案されてきたようだ。しかし、ゲティアの事例も、その後の事例も人為的(作為的)で不自然なものばかりで、重箱の隅をつつくような印象を受ける。「正当化」に力点が置かれていて、最近のSNS上での「ソースは?」攻撃と似ている。そもそも「真のソース」というものは存在しないから、無理というものであろう。第8章の「徳認識論」に至ると、いい加減にしてくれと放り出したくなる。結局のところ、K=JTB+αではうまくいかなくて、最近ではK=JTBをひっくり返した「知識第一主義」への流れもあるようだ。

無難なのは、次のようなところか。
「科学的および哲学的な目的にとって私たちにできる最善のことは、知識の概念を工合が悪いものとして放棄し、その代わりにその別々の構成要素で間に合わせることである。私たちは依然、真なるものとしての信念について、また、一つの信念をそれが信じる者の心にとっては別の信念よりもより堅固なものであるとして、語ることができる。正当化の要素もあるが、私たちはそれにも限界があることを見た。」(W. V. クワイン、「哲学辞典」)


ワグネル武装蜂起?

2023-06-24 20:57:33 | 社会
「我々はロストフナドヌーで飛行場を含む軍事施設を制圧した」(プリゴジン) ことで、プリゴジンがクーデターを起こしたかのように、ヤフコメ民などがはしゃいでいる。だが、これまでのプリゴジンの言動を冷静に見れば、良い方に解釈したいというバイアスがかかっているだけだ。

 元ANNモスクワ支局長・武隈喜一氏:「ロシア軍のなかで戦っている兵士たちをワグネル側につけて、ショイグ(国防相)とゲラシモフ(参謀総長)の一掃を図る。新しい軍、自分たちが中心になったロシア軍を作ることが目的だと思う。ロストフの後は、首都モスクワに進軍を続けたい希望はあると思う」(テレ朝news)

この見解が正しいと思う。さらに、プリゴジンは、プーチンがショイグやオリガルヒに騙されてウクライナ侵攻を開始したとも言っているから、ロシア軍上層部を辞めさせるだけでプーチン政権の転覆までは考えていない。仮にプリゴジンの要求が通ったとして、その後、自らを大将としてウクライナ侵攻を続けるのか、ウクライナ侵攻の責任をショイグらに擦り付けて撤退するのか? 苦境に陥っているプーチンとしては後者が良いと思うが。

 大規模な軍事クーデターに発展する可能性は…。
 元ANNモスクワ支局長・武隈喜一氏:「今のワグネルの兵力では、今のロシア軍を相手にしてはとても無理な攻撃だと思います。あと2日、3日…ロシア軍との戦闘のなかでワグネルが殲滅(せんめつ)されていく動きになっていくんじゃないかと思う」(テレ朝news)


プーチンの演説もロシア軍との戦闘も形だけで、実際はプリゴジンにモスクワまで来てもらうのかもしれない。
さてどうなるか。

自公連立「解消を」4割超 維持派を上回る 時事世論調査

2023-06-15 19:59:06 | 社会
 時事通信が9~12日に実施した6月の世論調査で、自民、公明両党の連立政権を今後どうすべきか尋ねたところ、「解消すべきだ」が41.9%を占め、「維持すべきだ」の24.8%を上回った。(時事)

この世論調査結果を見ると、国民の過半数は、外交安保では”Japan first”で、国内政策では自助と公助の比率に関する考え方が異なるような二大政党による切磋琢磨(政権交代劇)を望んでいるのではないかと、希望的に観測します。
欧米諸国は大抵がそのようなもので、それが歴史的事実としての最適解であると認めても、それほど間違いはないでしょう。
小沢一郎が小選挙区制を導入した狙いも二大政党制にあったのでしょうが、彼のその後の変遷ぶりは残念極まりないというのは、世間も認めるところです。
今の自民党を二つに割って、維新・国民民主などともに再編して、二大政党を作り、現在の立民・公明・共産は自然消滅してゆくというのが、この国の未来にとって最も良い道だと考えます。いや、そうならないと、この国はジリ貧ですよ。

マイナンバー相次ぐトラブル「初期不良ではないバグ。岸田首相に現状認識が感じられない」辛坊治郎が苦言(ニッポン放送)

2023-06-13 20:49:15 | 社会
キャスターの辛坊治郎が6月13日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。マイナンバーカードを巡るミスやトラブルが相次いでいる問題に向き合う岸田文雄首相の姿勢について、「ミスやトラブルは初期不良ではないバグ(異常)。岸田首相の国会答弁からは、その認識が感じられない」と苦言を呈した。(ニッポン放送)

マイナンバーは、そもそも、国民に諸外国のような「納税者番号」を付けるだけで良かったのです。
ところが、政府は国民一人一人を把握できているわけではなく、番号付与に当たっては、一人一人の確認が必要だった。そうなると「国民総背番号」だとかいう訳の分からない反対にあう。ガス抜きする手段として、いろいろな手続きが便利になりますよ、「国民総背番号」ではなく「マイナンバー」ですよと、名称だけ受けの良いようなものにした。
それが失敗の始まりだった。
さらには、「政府は国民一人一人を把握できているわけではない」という事実が、紐づけされるシステムに上塗りされるわけで、悪い方に悪い方に進むわけです。当たり前でしょう。

何とか特別給付とか全く縁のない小ブログとしては、健康保険証や運転免許証は今までのものの方が良いし、こんな制度は止めてもらいたいし、もちろん、マイナンバーカードなんぞは持っていません。
まあ、銀行口座と紐づけしても、金の流れが掴めるのは「善良な市民」だけで、政治家を始めとして「その筋の人たち」は口座取引なんてしてないから、脱税防止効果というのも、たかが知れたものでしょう。

巨大ダム破壊で大洪水 ウクライナに被害・ロシアも損…専門家「メリット考えにくい」(テレ朝)

2023-06-07 20:17:14 | 社会
 ウクライナ軍は、「ダムを破壊したのはロシア軍である」と発表。これに対しロシア側は、「ウクライナ側による攻撃だ」と主張しています。
 互いに相手を非難している状況。どちらが仕掛けたのでしょうか。
 防衛研究所 米欧ロシア研究室 山添博史室長:「洪水が起こると、ロシアがかなり損をする。防衛線も損をするし、カホフカダムの蓄える水によって、運河でクリミア半島まで流れていく。上水道の水源が減ってしまう」
 ダムの破壊で、ロシアが得られるメリットはほとんどないといいます。ウクライナについては、次のように話します。
 山添室長:「ウクライナの住民が被害に遭う。ウクライナは国土の回復が目的なので、国土を破壊するということは矛盾してしまう」
 どちらにも、ダムを破壊する理由がないというのです。
 山添室長:「メリットが考えにくいので、何らかの意図を持った行動に思いにくい。(ロシア側が)仕掛けていた爆発物が事故的に起爆してしまったか。あるいは、ダムに損傷があって、これが徐々に高まって壊れていった説がある」


破壊の瞬間の映像を見ると、爆発していますから、「ダムに損傷があって、これが徐々に高まって壊れていった説」は容易に否定されます。ウクライナからのミサイル攻撃でないことも明確で、そもそもミサイルなんかで破壊できない。爆薬を仕掛けて爆発させた。クリミア半島への水を絶つのであれば、運河を破壊するのがbestです。
昨年9月に起きたロシアから欧州に天然ガスを送る海底パイプライン「ノルドストリーム」の爆発を巡り、米当局がその約3カ月前にウクライナ特殊部隊による攻撃計画に関する情報を入手していたことが分かった。(ロイター)という報道を受けて、今回のダムもウクライナがやったのではないかという憶測がありますが、「ウクライナ特殊部隊による攻撃計画に関する情報」はロシアを盗聴した「情報」であって真偽はもちろん定かではありませんし、状況が異なるもので推測することには無理があります。

答えは容易で、ウクライナの奪回作戦を遅らせるための手段で、「鼬の最後っ屁」というものです。ロシアは侵略しているので、たとえ撤退しても何ら痛みはないわけです。いや、ウクライナを破壊しつくした方が良いのです。
素人でもそんな推測は簡単にできるわけで、このような人が防衛研究所米欧ロシア研究室室長ということで、日本は大丈夫なのかと心配になります。