奥永さつき

日々のできごとをそこはかとなくつづります。

海外起因の第2波

2020-04-29 17:42:10 | 社会
SARS-CoV-2感染症への我が国の取り組みは、発生したクラスターを潰して感染拡大を防ぐことを第一に考えていました。このため、陽性判明者数の推移をS(E)IRモデル解析する際には、サンプル数=日本人口などとするモデルでは報告値を説明できません。千人あるいは一万人程度のクラスターが発生しては潰されるという過程をシミュレーションする必要があります。(千人でも一万人でも、そこに到達する遥か前に潰されるので、結果は同じになります。) 3月末から陽性判明数が急増して、東京都知事などが「3月下旬の連休で気が緩んだから増加した」と発言し、世間も何となくそうなのかなという雰囲気でした。
ところがSEIRモデル解析してみると、それ以前の3月10日頃(発症から検査終了までの時間を含めるとそれ以前)にクラスター発生が始まっていないと報告値をフィッティングできませんでした。
下の図は4月9日にSEIRモデルで計算した結果です。青丸が累積報告値、青線が計算値です。最初の「屋形船」などにおける急激な増加(対数グラフで傾き)を合わせるために、潜伏期間を1日にするなど多少操作しています。ただ、西浦さんが発見したように、発症以前にも感染させることがあるようなので、その場合の厳密なSEIRモデルがどうなるのかは知りませんし、パラメータ値の調整で良いのかどうか、不勉強です。3月末からの増加は、基本再生産数R0=3として40のクラスターが発生したと仮定しています。精査は専門家に任せればよく、素人の小ブログはこの程度で納得します。



「気のゆるみ」でないとすると何なのかわからなかったのですが、一昨日(4月27日)の国⽴感染症研究所の報告で納得しました。
国⽴感染症研究所は、SARS-CoV-2ゲノム解析により「2020年3 ⽉末から4⽉中旬における⽇本の状況は、初期の中国経由(第1波)の封じ込めに成功した⼀⽅、欧⽶経由(第2波)の輸⼊症例が国内に拡散したものと強く⽰唆された。」と報告しました。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/basic-science/467-genome/9586-genome-2020-1.html

なお、欧米からの帰国者による感染拡大については、3月27日に横浜市立大学佐藤彰洋教授が指摘していました。
https://www.fttsus.jp/covinfo/timeseries-discussion/

この結果で、「コロナ脳」感染者は「鎖国」を続けろと騒ぐのでしょう。
ますます、海外旅行が遠のく。いい加減にしてもらいたいものです。


非理性とは怖いものだ

2020-04-28 21:49:14 | 社会
何やら得体のしれないものだと恐れて、世界中が「コロナ脳」パンデミックを起こしてしまった。日本のやり方は生ぬるい、問題の先送りだとか、二週間後には今のニューヨークのような状況になるなどと海外在住日本人騒いだりしたが、現状はそんなことにはなっていない。発生したクラスターを潰して「先送り」する戦術は誤っていなかったと思う。(もっとも、その戦術のため、陽性者の推移を解析するのが複雑化するのだが) ところが、市中感染が増えてきて、専門家会議は方針転換し、安倍さんの発言になったが、「8割削減要請」が功を奏したのではなく、その前から陽性者の増加は鈍化していたというのが事実だ。
「ゆるゆる戦略」の日本が止めとけばよいのに緊急事態宣言をしてしまったから、日本人の本質が見えてきてしまった。

パチコンは本来賭博だから禁止すべきもので、禁止の「先送り」は褒められたものではなかったが、この度の緊急事態宣言下で休業を要請し、従わなければ公表する。法律上手続きとして正しいのだろうか甚だ疑問だ。法律上は、要請して、「正当な理由」がないのに要請に従わなければ、「要請に係る措置を講ずるべきことを指示することができる」。休業したら倒産するというのが事実であれば、正当な理由だろう。各都府県知事はそこまで審査して指示するという手続きを取ったのだろうか? 公表して世間の非難の的にすることを狙ったのであれば、法治国家とは言えず、情治国家だ。そんな疑問も、世間は思いつくまでもなく、吉村大阪府知事などに拍手喝采する。

岡山県では高速道路のPAで検温をする予定だったが、脅迫により中止したとか。
検温には法的根拠はないはずだ。脅迫はダメだが、そもそもやるべきではなかったものだ。

小ブログのような意見の持ち主は日本では少数派なのだろう。

欧米諸国はロックダウンがうまくいったと勘違いしたが、いつまでもやっていたら経済がもたないということで、出口を探し始めている。「コロナ脳」感染症から回復しつつあるということだろう。そのことは非理性から理性に戻っている証であるから、良いことである。

安倍さんはいつ緊急事態宣言を解除するのだろうか。
多分、非理性が世論を形成している限り、「先送り」して、景気を悪くし、犠牲者を増やすのだろう。
通常のインフルエンザと変わらないのだから、緊急事態宣言する必要はなかった。
覆水盆に返らず。



気になること

2020-04-26 16:01:21 | 社会
SARS-CoV-2感染症の陽性判明数はピークアウトしたように見えるが、目指すのは死者を可能な限り減らすことであり、死者数はピークアウトしていないので注視してゆく必要がある。
小ブログは東洋経済オンラインのサイトなどを参照している。
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/
この「全国の状況」において、
重症者数: 厚生労働省の資料「入退院等の状況>入院治療を要する者>うち人工呼吸器又は集中治療室に入院している者」の数。

実際の重症者数はこの「重症者数」と退院(回復、死亡)数の和である。この統計データからは回復退院数がわからないので、入院していた重症者数を「重症者数」+死者数の和としてみる。それを9日シフトしたものが緑の線で、青丸が累積死者数である。直近2週間でほぼ重なっている。厳密な議論には回復退院数を考慮する必要があるが、連休明けが気になるところではある。なお、死者数には病院以外での死者も含まれるが、病院以外での死者は少ない(報道では10件のオーダーか?)と思われる。



「8割おじさん」も真っ青?

2020-04-25 20:09:23 | 社会
【AFP=時事】太陽光は新型コロナウイルスを急速に不活性化させるのか? 米ホワイトハウス(White House)は、政府機関による謎めいた研究結果を明らかにしてそう主張したものの、一部の科学者は、さらなる証拠が示されるのを待っている状態だとして注意を呼びかけている。
 米国土安全保障省長官の科学技術顧問を務めるウィリアム・ブライアン(William Bryan)氏は23日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領のコロナ流行に関する定例会見で、太陽光によって新型コロナウイルスが急速に不活性化することが分かったと発表。この発表には多くの注目が集まった。
 実験は、米メリーランド州にある国立生物兵器分析対策センター(NBACC)で実施。ブライアン氏が記者団に対して示した実験結果をまとめたスライドによると、ステンレス製品などの無孔質の表面上にあるウイルス量の半減期は、気温21~24度、湿度80%の暗所で6時間だったが、太陽光が当たると半減期は2分にまで縮まった。
 また新型ウイルスが空気中に漂う状態になった場合の半減期は、温度21~24度、湿度20%の暗所で1時間だったが、太陽光が当たると1分半にまで減少した。


仮に、これが正しいとして、例えば、実効再生産数が95%減少すれば、3か月もすれば陽性者は一人になる。(実際には、報告値の10倍感染していたとしても8月末には一人になる。)
95%減としたから当たり前ではあるが、「8割おじさん」以上に効果がある。太陽コロナは新型コロナをやっつけるということか。
もっとも、「8割おじさん」(西浦先生)の予測は怪しい部分もあって、8割減で1か月では終わらないのだが。

以上、「捕らぬ狸の皮算用」の計算結果でした。


慶応のPCR6%の意味(岩田健太郎)

2020-04-24 09:33:44 | 社会
https://blogos.com/article/452697/
慶応大学病院が無症状の患者67人に新型コロナウイルスSARS-CoV-2のPCRを行い、4名が陽性であったと発表した。6%である。
これだとnが少ないのでシンプルな二項検定を行うと、95%信頼区間は
1.7%-14.6%となる。東京都民の1395万人に当てはめると
237,150人-2,036,700人となる。今朝(4月23日)見た、PCRで陽性になった感染者の累計が3,439人だから、実際の感染者はPCRで把握されている患者の69-592倍いる、ということになる。(岩田健太郎@BLOGOS)


日本語の使い方が悪くて、最初の文の意味が不明でした。新型コロナ以外で入院している患者をPCR検査したら4名陽性ということです。
楽観的シナリオで実際に23万人感染しているとすれば、東京都のSARS-CoV-2感染による死者は81名だから、致死率が0.035%で、インフルエンザより低いことになりませんか?
岩田先生はインフルエンザ流行期には家に閉じこもっているのでしょうか。

「SARS-CoV-2感染死者は実際にはもっと多いはずだから、死者すべてのPCR検査を実施せよ」なんて言い出すのかもしれません。