奥永さつき

日々のできごとをそこはかとなくつづります。

今年読んだ本

2022-12-30 17:41:36 | 社会
西洋哲学の流れを掴んでおかないことには始まらないので、敬愛するB. Russellの個性的な ”History of Western Philosophy”を何年かかけて読んでいます。その流れの中で少しは原著(と言っても翻訳本)に当たってみたりしています。近世の入り口に差し掛かったところです。遅ればせながらでもありますが、次のような最も代表的なものしか読んでいません。
・プラトン「国家」、岩波文庫
・アリストテレス「形而上学」、岩波文庫

プラトンのイデアや魂に関する考え方には賛意できませんが、民主主義などというのはダメで有徳な哲人政治が一番というのはもっともな主張だろうと感じます。現実には、そんな哲人はいないので、何とも情けない世の中ではあります。アリストテレスは何を言いたいのか凡人には理解できませんでした。

ギリシャ神話から脱線して読んでしまったのが
・吉田敦彦「日本人の女神信仰」、青土社
・大和岩雄「『古事記』成立の謎を探る」、大和書房
・溝口睦子「アマテラスの誕生」、岩波新書


ロシアのウクライナ侵攻というご時世で、少しは勉強しておこうと読んだのが
・黒川祐次「物語 ウクライナの歴史」、中公新書
ウクライナの歴史を概括した良書です。ウクライナのみならずユーラシアステップの古代史には昔から興味があったので、
・B. Cunliffe, “The Scythians”, Oxford Univ. Pr.
写真もきれいです。そうなるとゲノム解析に基づいたや人類の流れ、文明史も知っておきたいということで
・デイヴィド・ライク,「交雑する人類」、NHK出版
・デイヴィッド・アンソニー「馬・車輪・言語」、筑摩書房


無神論者の興味本として
・V. J. Stenger, “God: The failed hypothesis”, Prometheus Books
・N. Everitt, “The Non-existence of God”, Routledge

前者は「神の存在」が科学的に証明できないという(当たり前の)こと、後者は有神論者と無神論者の間の議論の歴史を詳細に紹介したものです。安倍晋三さんが暗殺され、ほとぼりが冷めていた旧統一教会のカルト商法や政治家との癒着があからさまになりましたが、「神なんか存在しない」と考えるのが平穏無事に暮らす秘訣だと改めて感じます。なお、上記の日本神話に関する本は、無神論の立場から、日本神話の怪しさや「神道」の胡散臭さが動機となって、安倍さん事件以前に読んだものです。

言語表現、さらには他言語への翻訳における限界ということは常々感じていて、言語の起源や言語に関する哲学は前々から気になっています。それで、
・ヘルダー「言語起源論」、講談社学術文庫
・エイアー「言語・真理・論理」、ちくま学芸文庫
・オースティン「知覚の言語―センスとセンシビリア」、勁草書房

ヘルダーは古いのでエビデンスに欠けます。エイアーのこの本は若いころの著作で気合が入りすぎ(勇み足もあり)、オースティンはエイアーの別の書を批判しているのですが、普通の英国人が使う英語から考察していて中庸です。

来年もこの流れで進むのでしょう。

コロナ死者数が急増、直近3カ月前年の16倍 70歳以上が9割(毎日新聞)

2022-12-30 17:23:04 | 社会
 厚生労働省の公表資料を基に、まずは直近1週間の1日ごとの死者数を比較した。2021年12月は、23日3人▽24日0人▽25日1人▽26日0人▽27日0人▽28日2人▽29日4人――で計10人だった。
 一方、22年12月は、23日315人▽24日339人▽25日306人▽26日217人▽27日271人▽28日415人▽29日420人――で計2283人。単に1週間の死者数を比較したに過ぎないが、それでも22年は桁違いに多いことが分かる。
 比較する期間を直近3カ月(10月1日~12月29日)に広げてみると、21年が744人だったのに対し、22年は1万1853人。なんと15・9倍にもなっていた。(毎日新聞)


第何波というように「陽性者数」は増減し、昨年同時期は「谷」、今年は「山」。そんなものを比較することは無意味です。この記事を書いた記者の頭が悪いのか、わかっていたとしたら確信犯で、いずれにしても読者に誤った印象を与えますね。

【速報】全国の新型コロナ死者数420人できのうに続き過去最多を更新(TBS NEWS DIG)

2022-12-29 19:26:22 | 社会
記録更新であれば報道したいのでしょうが、大抵の国民は新型コロナについてわかってきていて過剰反応を期待できないのだとすれば、それは非常に良いことです。
亡くなっている方のほとんどは高齢者で、たまに40代の方とかいますが、それは亡くなってPCR検査したら陽性だったという「後付け」です。日本の「コロナ死」の定義はWHOに倣ったものです。新型コロナ発生当初から北海道の医者が言っていましたが、新型コロナは基礎疾患がある高齢者の「後押し」をしているだけです。中共はSARS-Cov-2にり患して肺炎で死亡した人を「コロナ死」と「厳密に」定義していますから、一日に三人しか亡くならないというような数字も出しています。そういう報道に対して中共は隠ぺいしているというコメントがヤフーニュースにはあるようですが、(是々非々で) 中共が正しくて、WHO(日本)の定義が誤りです。インフルエンザの場合には、「インフルエンザ死」とは言わずに、基礎疾患から来る死因、たとえば心不全とか何某とか、に整理されます。
そのように誤って定義された「コロナ死」の致死率は現在のところ、0.196%あたりをウロショロしています。インフルエンザと同程度の新型風邪ということなので、少し気を付けるだけで良いでしょう。もっとも、日頃から風邪をひいている日本人の半数以上は新型コロナに対する免疫があるという研究報告がありますから、「自信のある方」は気を付けなくても良いでしょう。そういうことを大々的に報道すると具合が悪いのでしょう。普通の人は知りません。
タダだからPCR検査するとかワクチン打つとか、「探索心」の全くない国民がほとんどで、それらの人たちのために公費を何兆円も使って、そのうちに「請求書」は国民均等に回ってくる。(あんな怪しげな)ワクチンも打たず、新型コロナにも罹らない者としては、「何とも馬鹿げたことだ。いい加減にしろ。」と言いたくなります。

森保監督の続投ですか?

2022-12-25 19:25:00 | 社会
城彰二氏 8強逃した森保監督続投を疑問視「新しい景色って言って結果出てない」「はぐらかされるのすごい嫌」
 サッカー元日本代表の城彰二氏が21日に配信された同じく元日本代表の前園真聖氏がメインレギュラーを務めるYouTubeチャンネルの動画に出演。カタールW杯16強入りを果たした日本代表の森保一監督の続投に疑問を投げかけた。
城彰二「一番の目標って何だったのって考えると、ベスト8なのよ。新しい景色を見に行くって言ってやったの。でも結果は出てないの。だけど、日本人の特徴というか、すごいことなんだけど、ドイツ、スペインに勝ったからいいじゃない、で終わっちゃってる。そこをはぐらかされるのがすごい嫌」(デイリー)


その通りです。目標を達成できていないのだから、続投はあり得ません。
城さんの「日本人の特徴というか、すごいこと」は、先日も指摘しましたが、「日本神道」に根付く日本人の欠点です。海外経験者はこういう欠点がわかっているから指摘していると思います。今回の日本代表のほとんどは海外経験者ですから、次回も期待できる選手たちは継投に納得するのでしょうか。

ミサイルが飛んできても「反撃しない」ことこそが日本の抑止力だ(Newsweek)

2022-12-17 14:22:40 | 社会
既に防衛予算の大幅増を決めている自民党と公明党は12月2日、日本の領域の外にある他国の基地などを自衛目的で攻撃することを可能にする「敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有」について合意した。この決定は、専守防衛に徹するこれまでの安全保障政策を大きく転換するものであり、日本国憲法を反故にして、日本が積極的に戦争を行う国家となる道を開くことになるかもしれない。【藤崎剛人(ブロガー、ドイツ思想史)】

そうとは思えない。
日本国憲法第9条は
国連憲章第2条4. すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。

に相当する。平和的に解決しますと言っても、これを破るならず者はいるわけで、そのために
国連憲章第51条 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。

と自衛権を認めている。一方、日本国憲法には規定されていないので、自衛権があるのかないのか、「解釈」が行われる。国連加盟国である以上、国連憲章を遵守するのは当然で、自衛権は認められると考えるのが合理的である。「個別自衛権」しかないとか、「専守防衛」というのは解釈に過ぎない。国連憲章では「個別」と「集団」が認められている。
「敵基地攻撃能力」が自衛権のうちに入るのは当たり前の話だ。

藤崎剛人とはどういう人物かと調べてみると、researchmapによれば、東大文学部歴史文学科で4年(通常は2年)、修士課程で3年(通常は2年)、博士課程で8年(通常は3年)も学ばれたようで、学校が余程好きと見える。現在は、埼玉工業大学 人間社会学部 非常勤講師。外面で判断してはいけないのだろうが、参考にはなる。