満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

バーにかかってきた電話:東直己

2011-08-09 | 本の紹介


いつものバーで、いつものように酒を呑んでいた「俺」は、
見知らぬ女から、電話で奇妙な依頼を受けた。
伝言を届け相手の反応を観察してほしいという。
疑問を感じながらも依頼を果したのだが…
その帰り道、何者かによって殺されそうになった。
そして、ひとり調査を続けた「俺」が知ったのは
依頼人と同じ名前の女が、地上げ放火ですでに殺されていたことだった。

東直己という人の本を、まったく初めて読んだ。
ところがこの「バーにかかってきた電話」を読んだ後、とても感動してしまい
以下のシリーズを一気に全巻読んでしもうた(ハハハハ)

■ススキノ探偵シリーズ
「探偵はバーにいる」
「バーにかかってきた電話」
「消えた少年」
「向う端にすわった男」
「探偵はひとりぼっち」
「探偵は吹雪の果てに」
「駆けてきた少女」
「ライト・グッドバイ」
「探偵、暁に走る」
「旧友は春に帰る」
「半端者」

実は最初の取っ掛かりは、「水曜どうでしょう」でおなじみの大泉洋さんが
「この本の映画化で主演される」っという話を聞いたので…
「ほ~。彼が主演なのかい?」っと興味を持って読んだのが始まりなんどす。

面白いことに…読めば読むほど本の主人公と大泉さんとのキャラが離れていき…
いったいどんな内容の映画になるんだ?っと違った意味での興味が湧いたくらいです。
(すみません。大泉さん。何時も応援していますです。ハハハハハ)

高学歴の主人公「俺」が、頭が良すぎる弊害か、平凡な人生の先を見越してしまい
社会の組織の中で働くのを嫌い、すすきのを中心に便利屋稼業を営んでいる。

私から見れば、何の組織にも入っていない便利屋稼業の方が
よっぽど大変な人生じゃないかと思うんだが(笑)
ま、主人公の「俺」は、朝寝をしてサウナに入り喫茶店で朝食を取り
賭けごとで金をソコソコ儲け、いつものバーを皮切りに
いつもの「すすきの」に点在する店を飲みまわり、気が付くと寝床に居たってな生活が
自分に一番合っているっと思っているのだから仕方が無い(笑)

この本を読みながら思い出したのは、探偵物語の松田優作さん。
多分に意識しているように感じる。
あのハチャメチャさにインテリの塩味を効かせた感じ…が、この主人公かの~
最後に探偵物語と同じく、撃たれて死ぬんじゃないか?っと思ったが
本のシリーズでは年々歳を取りながらも、まだ生きている(ハハハハハ)

ところで私がこの本の何処に「とても感動」をしたのかと言うと…
私が結婚前に謳歌していたあの札幌が、実に生き生きと描かれていたからである。

「懐かしい~~」

っと毎度、毎度、叫びながら読んでおりやした(アハハハハハ)

ウィキ情報ですが、東さんは1956年生まれ
つまり私が高校一年の時に彼が三年生ってな年齢差での(笑)
また内地(本州)を嫌い、とことん北海道が好きってな気質がアリアリで
「ああ~。私もそうであった」ってな表記が実に多い

このシリーズは「俺」という一人称でズーっと進む話なので
この俺を作者が自分自身と切り離して書くのが難しいと思う
なのでこの本の「俺」は、作者自身をも反映しているんじゃないかな?

シリーズが進むにつれて、私が結婚によって内地へ出た後の札幌の変貌が
様々な問題点を含みながら描かれている。
「そうか…今は昔と違って、こんな状況なのか」っとシミジミ思った。

小説なので真実の部分は解らないが…
札幌が低迷している雰囲気は、時々実家へ帰る程度の私にも感じる。
本に書かれている背景が、ある程度の真実を映し出しているとしたら
その方が札幌を離れ地方に居を構えている私には「なるほど」っと思えた。

私が初めて親の監視の網を潜り抜け
札幌の大繁華街ススキノに足を踏み入れたのは、高校3年生の卒業間近な時であった。
この本の主人公は「北海道大学」へ席を置きながら家庭教師なんぞをし
すすきので遊び始めた頃である。

札幌で「北海道大学」といえば、全ての親が黙り込むような聖地である。
(多分…今もそうであろうと思う)
私も中学生の時に「北海道大学」へ通う学生が家庭教師として付き
それだけで親が安心している姿を見て笑ったもんである

当時私は、部活に重きを置いた学生生活を送っていたので
「夜のススキノ」って所へ足を踏み入れたことが、それまで全くなかった。
受験の為に部活を引退し、卒業まで間があった3年生達は
「少しハメを外そうか」っと算段し、「夜のススキノ」へ遊びに行く事を決行した。

行った場所は、当時若者に大人気だったディスコ「マハラジャ」(笑)
ドキドキしながら入り、ドキドキしながら踊り、
それでも可愛いもんで8時には店を出た(アハハハハハ)
気分が高揚していたもんで、誰が言い出したのか「お茶でも飲もう」ってな話となり
よくは知らないススキノの、とある一軒の店のドアを押した。

そこはなんと…ホストクラブ。であった~(笑)

幸いなことに思ったよりも良い店で、一目で高校生だとバレる面々に
「こんな時間までススキノで遊んでいてはダメ」っと諭してくれ
お客が他に居なかったのが幸いしたのか、タダでジュースを出してくれ
「まっすぐ家に帰るんだよ」っと送り出してくれた。
(総勢10名がホストクラブでジュースを飲んだのだ…相当な料金だと思う)

初めての「すすきの探訪」は、若者人気のディスコで遊んだ楽しさより
ホスト達の温かい人情味溢れる接待に感動した一夜となった。
それぞれが家路に着いたのは10時前であったが…それでも親から先生にバレ
その後、キツ~イお仕置きを受けた面々であった。

そんな人情ある店が、ススキノから消えているとこの本では言う。
20年近く夜のススキノへ遊びに行ったことは無いが、もしそうなら寂しい。

各巻を追うごとに時代と時の流れがキチンと表現されているので
札幌生まれで現在地方に住んでいる人には、とても懐かしく思える本だと思う。
とても面白かった~

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