満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

黄金道路の幽霊

2009-08-21 | 昔話のハチャメチャ
ちょっと怖いお話しである

絶対に、夜には読まないように。

結構、沢山の幽霊体験をしているもんで…
年に一度は涼しさを皆さんに提供しようという、はた迷惑な企画モノである(笑)

以前の怖いお話しは、第一回目「洗濯」と第二回目「蚊帳の中」コチラからどうぞ~

今回は第三回目か…(フフフフフフフフフフ)

あっ!マジで怖いので…夜中に読んでおる人はスルーしてたもれ~(笑)



私の故郷、北海道にある国道336号線の一部
「えりも町」から「広尾町」までの30キロ程の道路を
地元民たちは「黄金道路」と、呼んでおる。

一見、「エライ景気のエエ~名前」のように感じるが…
その名前には、大変な歴史が秘められておる。



なにせココは、マジで前人未到の地であった。
山あり、断崖絶壁ありの難所で、道路なんぞ作れんじゃろうと言われておった。
地元民たちはヘロヘロになりながら、海岸線をトボトボと歩いて交流しておったが
天気の良い日であっても、危険な場所だったもんで
「やっぱり、道路を作ってくれろ~」という懇願により、昭和2年に着工した。

開通したのは昭和9年である。たった30キロ程の道路を7年かかって作ったのだ。
それだけでも、いかにこの場所が難所であったかが伺える。
現在の金額で60億円以上。この、道路に黄金を敷き詰めたような金額に
当時の人々は畏敬の念をこめて、「黄金道路」と呼んだのである。

昭和も初期の頃の話である。
この工事の、もっとも難所な場所に派遣された労働者たちは、囚人であった。
夏でも涼しいこの場所で、極寒の冬には大勢の者たちが亡くなったと言う。
今でも言う者が居るだろうか?…
この「黄金道路は、屍道路とも言うだ。」と、我が家のバー様が言っておった。
それほど、大勢の人が亡くなった道路なのである。

さて、ココ。実は…
「釣り場のポイント」でもある。

満天家の父は、放蕩・放楽な男であったが、釣り好きでもあった(笑)

その父と釣りの話はコチラ「釣り場にて」  「お前は自分で身を守れ~」
(この2件の話は笑えるんで、安心して読める…笑)

さて、その日は早めに晩飯を食い、夕方5時には就寝
夜の9時ごろに両親に起こされ車に乗り込み
黄金道路の釣りポイントに到着したのは、夜中の1時であった。

釣りを始めるのは明け方が良いんじゃが、それにしたってまだ早い。
そこで、父・母・弟・私の4人は、夜が明けるまで車の中で寝て待つことになった

街灯は…遠くにポツンと一つ見えるだけ
海のうねる音だけが不気味に響く、真っ暗闇であった。

何時もなら、簡単に爆睡する私なのだが、その日に限ってなかなか眠れない
ま、怖い体験の前兆には必ず「その日に限って」ってなフレーズが付くがの(笑)

狭い車内に家族4人が寝ておるもんで、狭いし人いきれで暑いし
私は目を開けて、体制を整えなおそうと上体を起こした。
その瞬間…金縛りにあった。

目は見開いたまま、瞬きすら出来ん。
不自然に起き上がった形のまま、ピクリとも動けんのだ。

私は後部座席に座っておったのだが、多少起き上がったので顔は前方を見ておった
明かりが一つも見えない真っ暗闇を、自分の意思など関係なしに見つめていると…
「ポワ」っと一点、光る明かりが見えた。

もともと私の視力は「1.0」であったが…
バスケの試合中に顔面でボールを受けてしまってから、視力が落ちだし
この頃の私の視力は、多分「0.5」くらいであったろうと思う。

もちろん、眼鏡をかけて寝ていたハズもないので
遠くに「ポワ」っと明かりが灯ったとしても、何も見えるハズはなかった。
なのにこの時、私にはハッキリと見えたのである

薄茶色の制服を着た兵隊が、こちらをジっと見つめて立っているのが…

見えないのに見えたのだ。くたびれた小ぶりな帽子をチョコンとかぶり
悲しそうな目をした細面の男性が、厚手の長袖制服に身を包んで立っているのが

そして、暗闇に吸い込まれるように見えないハズの手や足の部分までも感じた。

両手をダランと垂らしていたのだが、その右手の一指し指と中指は無かった。
足にはゲートルを巻きつけていたが、地下足袋のようなモノを履いていた。
制服の汚れ、ほころびまでも、私には見えていたのだ。

動けない私は、ただ、ただ、見つめているしか術は無かったのだが
しばらくして、その兵隊がコチラへ歩み寄って来たのには、仰け反った
上下運動は感じられず、す~~~~っと滑るように近づいてくる。

声は出ない。身動きも出来ない。

車の前方、フロントガラスの前まできて気が付いたのだが
いつのまにか、兵隊は頭だけが移動して来ていた
頭はガラスを通り抜け、どんどん私に近づいてくる
そうして私と弟の間を通り、止ることなく後方へ去って行ったのである

その物体から、目を離すことが出来なかった私は
すれ違いざまも、目だけでソレを追っていた。
なぜなら、その物体の目も私だけをジっと見つめていたからである。

そこで、初めて私は身動きできるようになったのだが
あとには闇と、打ち寄せる波の音だけが残り、兵隊はどこにも見当たらなかった。

「うんギャ~~~~~~~~!!!」

っと叫んだつもりだったが…「ヒ~~」っと空気の抜けたような声しか出なかった

なんで兵隊さんだったんだろう? 今でもよく解らん。

ひとつ、ハッキリしたのは…
幽霊ってのは直進しか出来ないのかもしれんってことである。
車一台分も迂回できんとは、なんとも不便な移動方法だと思ったが
ま、何でも通り抜けることが出来るようだから、関係ないのかもしれん

今も彼はあの場所にたたずんでおるのだろうか?

北海道へ遊びに行ったら、黄金道路で寝るのは…避けた方が良いかもしれん

どうじゃ~~~。少しはヒンヤリしたかの~~(ブワハハハハハ)

残暑厳しきおり、今夜はグッスリ眠れるかの?
あっ。。。別な意味で眠れんか?(ガハハハハハハハ)

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