バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

バットマン・デガージェ

2009-03-06 09:32:01 | 日記
バットマン・タンジュの次に練習するのが《バットマン・デガージェ(battements degages)》です。“デガージェ(degage)”にはフランス語で『自由な、伸び伸びした、~から解放された』などの意味があります。
ロシア式では《バットマン・タンジュ・ジュテ》、イギリス式では《バットマン・グリッセ》という呼び方をすることもありますよ。
 アンサンブル・ド・ミューズでは主に“デガージェ”を使い、“ジュテ”と使い分けたりしています。
では基本の動き方を練習しましょう。
鏡に対して正面を向き両手をバーに置いて1番ポジシオンで立ちましょう。
左足を軸足、右脚を動作脚としましょうね。
まず右脚を“ポワン・タンジュ・ドゥヴァン”に擦り出して、そう、“前に”ポワン・タンジュをしましたね、そこを通過点として脚を上げます。高さは、軸脚のふくらはぎの下側くらい、を目安にするといいですよ。
その位置で脚を止めたら、そのポジシオンを《デガージェ・ドゥヴァン》と呼びます。
上げた脚の膝、足首、足の甲は外側に向けて1本の“針のように”しっかり伸ばしましょう。爪先が上向きになって足首から先が“バナナ”のように曲がらないように気を付けましょうね。
上げた脚の爪先をポワン・タンジュ・ドゥヴァンに下ろして1番ポジシオンに引き戻します。
脚を上げる時も最初のポジシオンに引き戻す時も、特に指示がないかぎり、ポワン・タンジュの位置で一旦止める必要はありませんよ。
次は、《デガージェ・ア・ラ・スゴンド》
ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドを通過して脚を上げるのは同じですが、大切なポイントがあります。
それは、“脚が上がるより先に動作脚側の骨盤を持ち上げて傾けてはいけない”ということです。そしてトルソー(=胴体)が軸脚のほうに傾かないように気を付けましょう
上げた脚の膝、足首、足の甲は天井を向きます。膝や足首が前を向いてしまうのは“アン・ドゥオール”が守れていない証拠ですよ
さあ、《デガージェ・デリエール》の確認をしましょう。
ポワン・タンジュ・デリエールまで脚と爪先を伸ばしたら、そこからさらに遠くに爪先を伸ばすつもりで脚をあげます。正面を向いた動作脚側の骨盤と後ろに伸ばした爪先が、それぞれ逆方向に引っ張り合いをする、とイメージするといいですよ。
もとの1番ポジシオンに引き付けるときには、かかと側の脚の内側全体をお臍に向かって引き上げる感じですね
動きのテンポが速くなると“アン・ドゥオール”が守れなくなって、足の裏で蹴るような動き方になってしまって膝が曲がってしまうことがあります。きちんと“アン・ドゥオール”を守り膝をしっかり伸ばして、“足の裏で床を遠くに押し退ける”とイメージするといいでしょう

デガージェの脚の動かし方や高さ、向きを1番ポジシオンで確認しましたが、5番ポジシオンでも同じように動きます。
5番ポジシオンでデガージェをするときに大切なポイントは
デガージェ・ドゥヴァンから5番ポジシオンに脚を引き付けるときに、骨盤を前に倒してお尻が後ろに出っ張りお辞儀のような姿勢にならないように気を付けること。
デガージェ・ア・ラ・スゴンドから5番ポジシオンに引き付けるときに、軸足側の骨盤が軸足の外方向にズレて、“休め”の姿勢にならないように気を付けること。

《バットマン・ジュテ(battements jetes)》
1番ポジシオンまたは5番ポジシオンから、デガージェの高さまで強くすばやく脚を上げて、またもとのポジシオンに引き付ける動きです。
動きのテンポが速くなっても、足の裏全体、足の指の裏、爪先の順で床をしっかり押し退けて遠ざけるように脚を上げましょう。
上げた脚を元のポジシオンに引き付けるときは、爪先や足の裏を“ぺったん・ぺったん”床に落っことしてはいけませんね。きちんとポワン・タンジュのポジシオンを通過することを忘れないでね。脚を落っことすと膝が緩んだり足首の力が抜けたりしやすくなりますよ 『1本の真っ直ぐな強い針のような脚で』とイメージして下さい
そしてジュテを何回繰り返しても、上げた脚の爪先は同じ高さを守らなければなりません。
5番ポジシオンからデガージェ・ア・ラ・スゴンドにジュテをする場合、動作脚が初めに前側にあっても後ろ側にあっても、デガージェ・ア・ラ・スゴンドの到達点は“ひとつ”です。脚を振り回さないように気を付けましょう。自分の“アン・ドゥオール”と“ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド”の角度を守りましょう。
ジュテ(jetes)とは、フランス語で『投げる、ほうる、すばやく動かす、突き出す』などの意味があります。
《バットマン・デガージェ、ジュテ》は、強くて機動力が高く瞬発力の高い脚を育てるために大切なエクササイズです。

コメントを投稿