ミュージカル『ハムレット』@シアタークリエ

観る前は期待半分、不安半分だったが、どエンタテインメントに仕上がっていて、楽しかった。
大枠はシェイクスピアながら、途中、何観てるんだっけ?と思うほど(笑)。
ローゼンスターン&ギルデンクランツがいない・ハムレットのロンドン留学はカット・・・などなど、
原戯曲はあちこち刈り込まれ、上演は休憩込み2時間。まさに、あっという間だ。
■充実の俳優陣
まず、タイトルロールの井上芳雄がいい。
声を張り上げてのダイナミックな絶唱から、繊細なピアニッシモまで、実に豊かな歌声を響かせ、
デビュー10年を越えた今だからこそできる充実の演技で、初めから終わりまで走りきった。
昆夏美のオフィーリアも愛らしく、
ハムレットとの二重唱ほか、しっかり聴かせてくれる。
素晴らしかったのは、ガートルードの涼風真世。
美しく気品があり、この王妃の威厳も魅力も弱さも、すべてをきちんと造詣していた。
初めて、ガートルードにある種の共感をおぼえたほどだ。
このほか、クローディアスの村井國夫も堂々たる存在感だったし、
ボローニアスの山路和弘はいつもながら芝居心たっぷりで実にチャーミングだった。
そして、歌い踊るホレーショーの成河。今作がミュージカルデビューだ。
もともと、鋭敏にしてホットな演技力に定評ある俳優だが、
張りのある歌声で音程もしっかりしており、目も心もくぎづけであった。
レアティーズの伊礼彼方は、昨年のTSミュージカルファンデーション『眠れる雪獅子』でも思ったことだが、
このところ歌唱力が上がっていて頼もしい。井上と伊礼の殺陣は気合十分。
そして原戯曲でもドラマを重層的にしてくれる、墓場の名場面。
墓掘りの川口竜也がいい味を出していた。井上、成河との三重唱はコミカルで何とも愉快。
■疾走感あふれる音楽、雄弁な演出、劇的な美術
このミュージカルの音楽スタイルは、ロック風・ジャズ風・ポップス風・・・と、多色・多彩。
脚本・作曲・作詞のヤネック・レデツキーはチェコの人とのことで、
確かにそのメロディーにはどこか、スラヴっぽい叙情を感じた。
生の音が好きなので、ちょっとスピーカーの音量が大き過ぎる気もしたが・・・
既述の通り、彼の脚本には少々飛躍が多く、良くも悪くも“突っ走って”いる。
そのテンポ感を損なうことなく、しかし、
細部にまで(もしかしたらレデツキーが意図した以上の)意味を持たせ、
ドラマティックに構成した栗山民也の演出はさすがだった。
それにしても、美術の松井るみは相変わらず冴えている。
この人にスランプはないのだろうか。
装置の基調は石壁風。これがさまざまに動いてシャープな光(照明・服部基)を取り入れる。
上手袖に斜めにかかる巨大な十字架も、世界観をよく表していた。
初日ということで、レデツキーも客席で観劇。
カーテンコールでは、途中から舞台に上がり、喝采を浴びていた。
客席はほぼオールスタンディング。フレッシュで熱い初日を堪能した。

観る前は期待半分、不安半分だったが、どエンタテインメントに仕上がっていて、楽しかった。
大枠はシェイクスピアながら、途中、何観てるんだっけ?と思うほど(笑)。
ローゼンスターン&ギルデンクランツがいない・ハムレットのロンドン留学はカット・・・などなど、
原戯曲はあちこち刈り込まれ、上演は休憩込み2時間。まさに、あっという間だ。
■充実の俳優陣
まず、タイトルロールの井上芳雄がいい。
声を張り上げてのダイナミックな絶唱から、繊細なピアニッシモまで、実に豊かな歌声を響かせ、
デビュー10年を越えた今だからこそできる充実の演技で、初めから終わりまで走りきった。
昆夏美のオフィーリアも愛らしく、
ハムレットとの二重唱ほか、しっかり聴かせてくれる。
素晴らしかったのは、ガートルードの涼風真世。
美しく気品があり、この王妃の威厳も魅力も弱さも、すべてをきちんと造詣していた。
初めて、ガートルードにある種の共感をおぼえたほどだ。
このほか、クローディアスの村井國夫も堂々たる存在感だったし、
ボローニアスの山路和弘はいつもながら芝居心たっぷりで実にチャーミングだった。
そして、歌い踊るホレーショーの成河。今作がミュージカルデビューだ。
もともと、鋭敏にしてホットな演技力に定評ある俳優だが、
張りのある歌声で音程もしっかりしており、目も心もくぎづけであった。
レアティーズの伊礼彼方は、昨年のTSミュージカルファンデーション『眠れる雪獅子』でも思ったことだが、
このところ歌唱力が上がっていて頼もしい。井上と伊礼の殺陣は気合十分。
そして原戯曲でもドラマを重層的にしてくれる、墓場の名場面。
墓掘りの川口竜也がいい味を出していた。井上、成河との三重唱はコミカルで何とも愉快。
■疾走感あふれる音楽、雄弁な演出、劇的な美術
このミュージカルの音楽スタイルは、ロック風・ジャズ風・ポップス風・・・と、多色・多彩。
脚本・作曲・作詞のヤネック・レデツキーはチェコの人とのことで、
確かにそのメロディーにはどこか、スラヴっぽい叙情を感じた。
生の音が好きなので、ちょっとスピーカーの音量が大き過ぎる気もしたが・・・
既述の通り、彼の脚本には少々飛躍が多く、良くも悪くも“突っ走って”いる。
そのテンポ感を損なうことなく、しかし、
細部にまで(もしかしたらレデツキーが意図した以上の)意味を持たせ、
ドラマティックに構成した栗山民也の演出はさすがだった。
それにしても、美術の松井るみは相変わらず冴えている。
この人にスランプはないのだろうか。
装置の基調は石壁風。これがさまざまに動いてシャープな光(照明・服部基)を取り入れる。
上手袖に斜めにかかる巨大な十字架も、世界観をよく表していた。
初日ということで、レデツキーも客席で観劇。
カーテンコールでは、途中から舞台に上がり、喝采を浴びていた。
客席はほぼオールスタンディング。フレッシュで熱い初日を堪能した。