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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

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2009年12月31日 | 暴走する都教委
 野田正彰著『教師は二度教師になる』
 ~君が代処分で喪ったもの
 (太郎次郎社エディタス)

 ● 増えつづける病休者


 文部科学省は、二〇〇七年度に公立学校教員の病気休職者が八千六十九人になり、十四年間連続で増えつづけていると発表した。そのうち精神疾患による休職者は四千九百九十五人、六一.九パーセントを占め、数・比率とも過去最高になっている。二〇〇一年度が二千五百三人だったので、この六年間で二倍になる(図1)。精神疾患の大多数はうつ病の病名となっている。
 それに対し文科省は、①従来の指導が通用しなくなり自信を失う、②保護者との関係が変化し悩む--などを原因にあげる。教師が働く学校行政に責任をもたねばらならない文科省が、まったく無責任に、教師の精神状態に関し誤った素人解釈を流している
 問題は、はっきりしている。文科省が各県の教育委員会に実質上の命令をし--命令はしていない、指導をしているだけと言うが--、教育委員会は校長に命令し、教師たちの教育への意欲を奪ってきた。授業内容、学校行事すべてが、上からの命令で決められている。

 東京都では二〇〇三年度から病気休職者数が急増に転じ年々、増加しつづけている(図2)。二〇〇二年度は二百九十九人(うち精神疾患による休職者は百七十一人)であったものが、二〇〇七年度には六百二人(うち精神疾患によるものは四百十六人)となっている。
 このわずか五年間に、教師の指導が突如として通用しなくなり、親たちが急変したのだ、と都教委は説明するのだろうか。また、都教委は二〇〇六年四月、職員会議で挙手や採決をしてはならないと通知した。ここまで細かく、教師の意見を無効化しておいて、どうして教育に意欲をもてばいいのか。
 民間企業なら、これだけうつ状態の者が増えれば、人事部が管理職の職場運営能力を問うはずだ。管理職の重要な仕事は、職員の意欲を引きだし、職場を活気あるものにしていくことだから。ころころ変わる命令を出していれば、新しい製品が開発され、営業成績が上がると考える経営者はいない。だが、学校ではそうなっている。教育行政は働いている人間を支えるのではなく、壊している。教職員組合も、うつ状態の蔓延に十分な対策をしていない。
 教師がこれほど病んで、まともな教育がおこなわれるはずがないのに、市民社会も現実を見ようとしない。まず休職者および学校の事例研究をおこない、教育行政を見直すべきである。
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