法務大臣 仙谷由人 様
外務大臣 前原誠司 様
東京都教育委員会は、全都立高の教職員に対して、卒・入学式の国歌斉唱時に起立・斉唱・伴奏せよとの「職務命令」を校長を通して発令させ(2003年「10・23通達」)、従わなかった教職員を命令違反で懲戒処分してきました。2003年以降、その数は430人に達し(2010年5月現在)、関連裁判は21件を数え、原告数は延べ700人を超えます。そしてそのうち7件は最高裁に係属しています。
「君が代」は、旧憲法下の軍国主義・全体主義時代から連続して使われ、歌詞も「天皇の御代は末永く繁栄するように」とのまま変わっていないので、学校で強制的に歌わせることに国民の中には広範で根強い抵抗感があり、生徒・保護者の中にも様々な理由から抵抗を持つものがいます。
そんな中、卒業式で教員に対して命令をもって強制するのは、憲法19条及び国連自由権規約18条に定められた「思想・良心の自由」の侵害に当たりるばかりでなく、日常業務面においても憲法27条及び国連社会権規約6条の「勤労権」の侵害に及んでいます。
私は、国歌斉唱時に静かに座っていただけで、戒告処分の他に、昇給の機会を奪われ、昇進の機会を奪われ、仕事の配置上の差別を受け、定年後の再雇用を拒否されました。原告の多くが同じように、精神的自由を侵害され、公正な労働条件で働く権利を奪われています。
都教委の「10・23通達」によって、卒業式において国歌斉唱前に「内心の自由」という憲法上の権利を生徒・保護者に説明することが禁止され、日常から職員会議での挙手採決が禁止されるなど、東京の高校における生徒と教師の自由と人権は脅かされつつあります。東京都では、病気休職者とりわけ精神疾患者が2003年以降急増し、途中退職者も増えている実態があります。
ところが、これまでの下級審では、基本的人権よりもまるで「日の丸・君が代」の方を不可侵であるかのような判決が相次いでいます。憲法で「侵す可からざる永久の権利」と謳われるのは、11条と97条の2箇所、すなわち「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」である「基本的人権」だけのはずです。人権は国際社会にも認められた人類普遍の原理です。自分たちの憲法上の権利を校門のところで打ち捨てることは許されません。
1、憲法と自由権規約違反の東京都教育委員会の10・23通達による被処分者に対する処分を撤回させてください。
2、貴職におかれましては、日本国内における人権標準を一刻も早く国際レベルに引き上げるために、「国際自由権規約個人通報制度」を次期通常国会で批准すべくご尽力いただきますよう要請します。
3、同時に、学校において憲法と国際人権規約の精神を生かした教育活動が、生徒にとっても教員にとっても生き生きと行えるよう、教育現場において切に適応が急がれている“こどもの権利条約と3つの勧告”の普及と活用の方針をすみやかに確立させ、国内人権救済機関創設待ちとすることなく、日弁連や人権NGOとの協力関係の抜本的強化をはかり、人権教育確立のためにご尽力いただきますよう要請いたします。
外務大臣 前原誠司 様
2010年12月6日
花輪紅一郎(東京「君が代」裁判第3次訴訟原告)
花輪紅一郎(東京「君が代」裁判第3次訴訟原告)
◎ 東京都の教育現場における国旗国歌強制は、自由権・勤労権を侵害しています
東京都教育委員会は、全都立高の教職員に対して、卒・入学式の国歌斉唱時に起立・斉唱・伴奏せよとの「職務命令」を校長を通して発令させ(2003年「10・23通達」)、従わなかった教職員を命令違反で懲戒処分してきました。2003年以降、その数は430人に達し(2010年5月現在)、関連裁判は21件を数え、原告数は延べ700人を超えます。そしてそのうち7件は最高裁に係属しています。
「君が代」は、旧憲法下の軍国主義・全体主義時代から連続して使われ、歌詞も「天皇の御代は末永く繁栄するように」とのまま変わっていないので、学校で強制的に歌わせることに国民の中には広範で根強い抵抗感があり、生徒・保護者の中にも様々な理由から抵抗を持つものがいます。
そんな中、卒業式で教員に対して命令をもって強制するのは、憲法19条及び国連自由権規約18条に定められた「思想・良心の自由」の侵害に当たりるばかりでなく、日常業務面においても憲法27条及び国連社会権規約6条の「勤労権」の侵害に及んでいます。
私は、国歌斉唱時に静かに座っていただけで、戒告処分の他に、昇給の機会を奪われ、昇進の機会を奪われ、仕事の配置上の差別を受け、定年後の再雇用を拒否されました。原告の多くが同じように、精神的自由を侵害され、公正な労働条件で働く権利を奪われています。
都教委の「10・23通達」によって、卒業式において国歌斉唱前に「内心の自由」という憲法上の権利を生徒・保護者に説明することが禁止され、日常から職員会議での挙手採決が禁止されるなど、東京の高校における生徒と教師の自由と人権は脅かされつつあります。東京都では、病気休職者とりわけ精神疾患者が2003年以降急増し、途中退職者も増えている実態があります。
ところが、これまでの下級審では、基本的人権よりもまるで「日の丸・君が代」の方を不可侵であるかのような判決が相次いでいます。憲法で「侵す可からざる永久の権利」と謳われるのは、11条と97条の2箇所、すなわち「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」である「基本的人権」だけのはずです。人権は国際社会にも認められた人類普遍の原理です。自分たちの憲法上の権利を校門のところで打ち捨てることは許されません。
要請内容
1、憲法と自由権規約違反の東京都教育委員会の10・23通達による被処分者に対する処分を撤回させてください。
2、貴職におかれましては、日本国内における人権標準を一刻も早く国際レベルに引き上げるために、「国際自由権規約個人通報制度」を次期通常国会で批准すべくご尽力いただきますよう要請します。
3、同時に、学校において憲法と国際人権規約の精神を生かした教育活動が、生徒にとっても教員にとっても生き生きと行えるよう、教育現場において切に適応が急がれている“こどもの権利条約と3つの勧告”の普及と活用の方針をすみやかに確立させ、国内人権救済機関創設待ちとすることなく、日弁連や人権NGOとの協力関係の抜本的強化をはかり、人権教育確立のためにご尽力いただきますよう要請いたします。
以上
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