澤藤統一郎弁護士の日記です。
2005年04月23日(土)
「日の丸・君が代」強制に屈することなく、不起立を貫いた皆さん。戒告処分に対する都人事委員会への審査請求申立から1年余、ようやくその一部について口頭公開審査が始まります。その進行について、弁護団から基本的な考え方を報告しておきたいと思います。
「10・23通達」以後の「日の丸・君が代」処分で、人事委員会に申立をした審査請求人の人数は合計237名。そのうち、私たちの弁護団が受任しているのは193名。内訳は、
04年度周年行事関係 7名
04年度卒業式関係 129名
05年度入学式関係 21名
05年度卒業式関係 36名
となっています。
その他の44名は、それぞれの所属組合が支援したり、個人で手続きを行っています。
弁護団受任者のうち、第1回の口頭公開審理期日が決まったのは、周年行事関係3校7名の1グループだけ。04年度卒業式129名と05年度入学式21名とは、合計12グループに分けられていますが、いまだに期日の指定がありません。05年度卒業式の36名については今月5日の申立をしたばかりで公開審理の期日はいつのことになるやら。要するに、こんな大量処分があることは制度上想定されていないのです。
ようやく、指定のあった周年行事グループの第1回期日が5月23日。これにどう対処するか。人事委員会審査とは、基本的に民事訴訟や行政訴訟の訴訟手続きではありません。本来、簡易迅速に処分の誤りを是正してくれる行政手続きと考えてください。面倒な訴訟手続きのルールを念頭に置いて萎縮する必要はなく、市民社会の常識のとおりに、ものを言い判断を求める、という姿勢でけっこうです。
法廷では、弁護士が前面に出ざるを得ませんが、人事委員会審査では、基本的に当事者であるみなさんに手続きの進行をお任せします。ご自身で、処分の不当を訴え、釈明を求め、証拠の提出を求め、証拠を提出し、証人を申請し、敵性証人に対する仮借ない反対尋問を行って弾劾してください。遠慮は要らない。皆さんのために存在する制度であり、整えられた舞台です。主役は皆さんご自身です。
第1回目は、まず全員が意見陳述をいたしましょう。なぜ「日の丸・君が代」の強制に服することができないか。自分が教職を選んだ原点はどこにあるのか、その原点に照らして国歌斉唱時に起立するとはどのような意味を持つものなのか。自分にとって、教育にとって、日本の民主主義にとって、「日の丸・君が代」強制がいかに理不尽で危険なものなのか。そのことを、お一人おひとりが自分の言葉で、十分に語っていただきたい。審査委員の胸を打つ論述をしていただきたい。
それだけでない。この席に横山洋吉教育長の出席を求める。ぜひとも、出てきて被処分者の痛切な訴えを直接に聞いていただきたい。「学習指導要領がある以上、それに基づいて厳正にやる」「公務員である以上職務命令に従うのは当然」などと、低レベルの議論をオウムのように繰り返しているだけでなく、現場の声に耳を傾け、ほんの少しでも、教育の本質や生徒の将来、民主主義のあり方について考えていただきたい。そのような陳述も必要です。
あるいは、どうしてこんなに狭い審査室しか用意できないのか。傍聴希望者がはいりきれないではないか。公開が原則なのだから、もっと広い場所を用意せよ。会議室でも知事室でもよい。こんなに巨大で豪華な都庁を作って、いざ都民が使おうとなると、狭い部屋しか使わせないでは納得ができない。他のグループの審査の進行も早くせよ。そして、求釈明もけっこう、証拠の存否の確認や提出の要求など、言わねばならないことははたくさんあります。
そして証人の申請ですが、まず筆頭に知事石原慎太郎。本来、教育行政は都の行政ラインからは独立している建前ですから、審査委員は首を傾げることになるでしょう。しかし、今の都教委も教育行政も、建前のとおりではない。あるべき本来の姿でもない。特異な思想の知事が、自分の思いのままになる教育長を抜擢して、自らのイデオロギーで教育行政を壟断している異常事態ではないか。諸悪の根元を尋問せずして、本件処分の当不当を論ずることはできない。
続いて、教育長横山洋吉を証人尋問しなければならないのは当然。それだけではなく、米長邦雄・鳥海厳といった極端な右翼的発言で知られる「知事のお友だち」を証人として尋問しなければなりません。そのことによって、本件処分が偏頗なイデオロギーを背景に強行されていることが明らかになるでしょう。
さらに、職務命令の名義上の発令主体である校長も必須の証人となります。徹底的な尋問で、校長自身としては出したくもない「国歌斉唱時の起立」に関する職務命令を、都教委の強制によってやむなく出したのだ、と本当のことを言ってもらわねばなりません。彼らも、もとは志をもって教員になったはず。「日の丸・君が代」の強制に加担することが、本当に正しいと思っているのか、それぞれの校長の良心を厳しく問う尋問を実現したいと思います。
そのあと、父母や卒業生、教育学者や教育法学者、歴史学者等々の証人を申請しましょう。基本的に、請求人の皆さんにご自分でやっていただく。すべてのグループに、担当弁護士が付きますが、役目はアドバイザー。そして、紛糾したときの仲裁役と考えてください。座る席だって、隅っこの方にします。請求人の皆様が、ご自分で準備して公開の場で発言することにより、自分の怒りや心情を論理的に整理し、処分の不当性の根拠をあらためて確認することにもなると思います。
「弁護士を通して間接的に」ではなく、直接に皆さんの思いや怒りや情熱を訴えてください。能力的には素晴らしい人ばかり。ぜひ、挑戦をお願いします。繰り返しますが、この舞台では皆さんが主役。ハッピーエンドのドラマを演じてください。
2005年04月23日(土)
「日の丸・君が代」強制に屈することなく、不起立を貫いた皆さん。戒告処分に対する都人事委員会への審査請求申立から1年余、ようやくその一部について口頭公開審査が始まります。その進行について、弁護団から基本的な考え方を報告しておきたいと思います。
「10・23通達」以後の「日の丸・君が代」処分で、人事委員会に申立をした審査請求人の人数は合計237名。そのうち、私たちの弁護団が受任しているのは193名。内訳は、
04年度周年行事関係 7名
04年度卒業式関係 129名
05年度入学式関係 21名
05年度卒業式関係 36名
となっています。
その他の44名は、それぞれの所属組合が支援したり、個人で手続きを行っています。
弁護団受任者のうち、第1回の口頭公開審理期日が決まったのは、周年行事関係3校7名の1グループだけ。04年度卒業式129名と05年度入学式21名とは、合計12グループに分けられていますが、いまだに期日の指定がありません。05年度卒業式の36名については今月5日の申立をしたばかりで公開審理の期日はいつのことになるやら。要するに、こんな大量処分があることは制度上想定されていないのです。
ようやく、指定のあった周年行事グループの第1回期日が5月23日。これにどう対処するか。人事委員会審査とは、基本的に民事訴訟や行政訴訟の訴訟手続きではありません。本来、簡易迅速に処分の誤りを是正してくれる行政手続きと考えてください。面倒な訴訟手続きのルールを念頭に置いて萎縮する必要はなく、市民社会の常識のとおりに、ものを言い判断を求める、という姿勢でけっこうです。
法廷では、弁護士が前面に出ざるを得ませんが、人事委員会審査では、基本的に当事者であるみなさんに手続きの進行をお任せします。ご自身で、処分の不当を訴え、釈明を求め、証拠の提出を求め、証拠を提出し、証人を申請し、敵性証人に対する仮借ない反対尋問を行って弾劾してください。遠慮は要らない。皆さんのために存在する制度であり、整えられた舞台です。主役は皆さんご自身です。
第1回目は、まず全員が意見陳述をいたしましょう。なぜ「日の丸・君が代」の強制に服することができないか。自分が教職を選んだ原点はどこにあるのか、その原点に照らして国歌斉唱時に起立するとはどのような意味を持つものなのか。自分にとって、教育にとって、日本の民主主義にとって、「日の丸・君が代」強制がいかに理不尽で危険なものなのか。そのことを、お一人おひとりが自分の言葉で、十分に語っていただきたい。審査委員の胸を打つ論述をしていただきたい。
それだけでない。この席に横山洋吉教育長の出席を求める。ぜひとも、出てきて被処分者の痛切な訴えを直接に聞いていただきたい。「学習指導要領がある以上、それに基づいて厳正にやる」「公務員である以上職務命令に従うのは当然」などと、低レベルの議論をオウムのように繰り返しているだけでなく、現場の声に耳を傾け、ほんの少しでも、教育の本質や生徒の将来、民主主義のあり方について考えていただきたい。そのような陳述も必要です。
あるいは、どうしてこんなに狭い審査室しか用意できないのか。傍聴希望者がはいりきれないではないか。公開が原則なのだから、もっと広い場所を用意せよ。会議室でも知事室でもよい。こんなに巨大で豪華な都庁を作って、いざ都民が使おうとなると、狭い部屋しか使わせないでは納得ができない。他のグループの審査の進行も早くせよ。そして、求釈明もけっこう、証拠の存否の確認や提出の要求など、言わねばならないことははたくさんあります。
そして証人の申請ですが、まず筆頭に知事石原慎太郎。本来、教育行政は都の行政ラインからは独立している建前ですから、審査委員は首を傾げることになるでしょう。しかし、今の都教委も教育行政も、建前のとおりではない。あるべき本来の姿でもない。特異な思想の知事が、自分の思いのままになる教育長を抜擢して、自らのイデオロギーで教育行政を壟断している異常事態ではないか。諸悪の根元を尋問せずして、本件処分の当不当を論ずることはできない。
続いて、教育長横山洋吉を証人尋問しなければならないのは当然。それだけではなく、米長邦雄・鳥海厳といった極端な右翼的発言で知られる「知事のお友だち」を証人として尋問しなければなりません。そのことによって、本件処分が偏頗なイデオロギーを背景に強行されていることが明らかになるでしょう。
さらに、職務命令の名義上の発令主体である校長も必須の証人となります。徹底的な尋問で、校長自身としては出したくもない「国歌斉唱時の起立」に関する職務命令を、都教委の強制によってやむなく出したのだ、と本当のことを言ってもらわねばなりません。彼らも、もとは志をもって教員になったはず。「日の丸・君が代」の強制に加担することが、本当に正しいと思っているのか、それぞれの校長の良心を厳しく問う尋問を実現したいと思います。
そのあと、父母や卒業生、教育学者や教育法学者、歴史学者等々の証人を申請しましょう。基本的に、請求人の皆さんにご自分でやっていただく。すべてのグループに、担当弁護士が付きますが、役目はアドバイザー。そして、紛糾したときの仲裁役と考えてください。座る席だって、隅っこの方にします。請求人の皆様が、ご自分で準備して公開の場で発言することにより、自分の怒りや心情を論理的に整理し、処分の不当性の根拠をあらためて確認することにもなると思います。
「弁護士を通して間接的に」ではなく、直接に皆さんの思いや怒りや情熱を訴えてください。能力的には素晴らしい人ばかり。ぜひ、挑戦をお願いします。繰り返しますが、この舞台では皆さんが主役。ハッピーエンドのドラマを演じてください。
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