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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

中国の生徒は「あなたたちは謝る事はない」と言ったけれど「国として謝ってほしい」のではないか

2018年11月17日 | こども危機
  =日中韓の中高生が31人参加、3ヶ国共同サマーキャンプ=
 ◆ 中国・長春で「歴史の真実と未来への思い」を語り合った (教科書ネット)
本田恵子(ほんだけいこ・元保育士)

 今年の中国キャンプは偽満州国の首都であった長春で開催された。
 5年前、私は長野県阿智村の満蒙開拓記念館を訪れた。
 大陸に渡れば広い土地がもらえると夢を持たされ、海を渡ったのだ。しかし、満州での過酷な生活と敗戦による逃避行の凄惨さがあった。そのことを伝える展示を見た。
 また、「満州国」溥儀を奉りあげて「満州国」を造りそこから侵略を広げた歴史的な場所を見たいという思いもあり、中高生と共に参加するこのキャンプを心待ちにした。
 今回のテーマ「中国の東北地域での歩み-歴史の真実と未来への思い」であった。中高生31名、スタッフ16名で参加した。
 まず、3国共同授業で問題提起がされた。それぞれの国からの授業があり、日本からは田中めぐみさんによる「日本は謝り続けるべきか」というテーマで3国の生徒たちへの授業がおこなわれた。
 この問題意識を持って具体的な歴史キャンプがはじまった。

 ◆ 中国人労働者の白骨死体(万人坑)

 フィールドワークでは、「吉林省博物館」「偽満州国皇宮」遼源の「万人坑」「革命烈士記念碑」等を訪れた。
 特に「万人坑」の見学は子どもたちにとって衝撃的であったと思えた。
 植民地統治の中、日本人の権力者(軍も含めて)が中国人を強制的に連れてきて、鉱山で働かせ、貧しい食事しか与えず、病気、怪我等で働けなくなると同じ場所に積み重ねるようにして捨てた。
 反抗し逃亡する者に対しては、水責め、針むしろ、猛犬に生きたままで食べさせるなど残酷な拷問をし、その展示があった。
 その白骨が見渡す限り並べられ、白骨の頭は銃で穴が開いているものや、亀裂が入っているものがあり日本の生徒の中には手を合わせ、悼み拝んでいる姿が見られた。
 ◆ 中国人の生徒(過去の教訓を未来に)

 その夜の学習会では日本の生徒が「日本人が行った加害の歴史に、私たちは謝り続けることが必要であるのではないか」と発言したが、これも「万人坑」で目の当たりで見、感じたことを述べたのだろう。
 中国の生徒が「過去のことはもう過ぎました。このキャンプは3か国の青少年に歴史の真実を知ってもらうためにあって、知ることによって平和につなげて行くのが目標で憎しみを延長させるためではありません。中国人は日本を許すことはできますが、この歴史を忘れてはいけません。さらに、日本人はこの歴史を隠さずに認めなければなりません。もっと大事なのは過去の教訓を未来に生かすことです」と発言し、先に発言した日本人の肩を抱いたことが、深く心を動かされた場面であった。
 このことで、韓国の生徒も含めて周りのみんなもあったかい雰囲気になった。
 キャンプの後、「中国の生徒は、あなたたちは謝る事はないけれど、国として謝ってほしいと思っている。そのことを抜きにしてはいけないと思った」と書いている。
 生徒たちは常に3国の混じった生徒グループごとの活動をした。
 とりわけ最後の文化発表は圧巻であった。
 ダンスや寸劇、そしてペットボトルを使ってのリズム演奏など、短時間でこれだけのことができるのかと驚かされた。
 何をするのか、どのようにするのかも言葉の壁をを越えて、生徒たちは空いている時間を見つけては練習して取り組んでいた。
 中学生には難しいことも、身振り手振りで教え合い、徐々にマスターする姿を見て、生徒たちのコミュニケーションカと溶け合う力を感じた。
 今年の中国の生徒たちは溶けあうことを意識しているように感じた。
 例年個人的発表でピアノ、二胡、書道などの発表が見られたが今年はみんなで盛り上がろうとしていた。
 ◆ Tシャツの背に励ましの言葉

 そのあとの各国の用意したお菓子を食べながら「さようなら交流会」ではスマホで写真を取り合い、メール交換して交流する姿がみられた。
 ここでは国の壁はなく人間としての関わりが生まれていた
 この姿は、学習、討論、フィールドワーク等でお互いが考えたこと、思ったことを発表し、相互の思いを聞き合った体験が土台を創ったと思われる。
 ある日本の中学生は、討論会ではついていけないような表情をしながらもみんなの中で考えようとする姿があったが、その姿勢を周りのみんなはわかっていたのだろう。その生徒のTシャッは多くの仲間からの励ましや、応援の言葉が書かれていた。
 このキャンプを終えて京都でキャンプ事後交流会を開いたとき、多くの中高生があつまってくれた。こんなに多く集まってくれたのは例年にないことだった。
 このキャンプのことを母校の中学校でプレゼンしたいと行動を起こした高校生がいた。
 また、
  「中高生には謝らなくてもいいよといってくれたけれど、国としては謝ってほしいと思っているよ。大人が謝っていないのはどうしてだろう
  「具体的にどのようなことをしたのかを解って、謝らなあかんと思った」
  「日中平和友好条約締結40周年だけれど、私たちがしっかりとした大人になって100周年の時に謝る」
 と発言した中学生もいて、大いに盛り上がった交流会になった。

 ◆ 「国としては謝罪しなければいけない」

 今回のキャンプでは日本が行なった加害の歴史を「万人坑」という具体的な場所を訊ね、白骨死体もレプリカではなく実際のものであったことが生徒たちの心に響いた。
 そこでの衝撃が「謝罪しなければいけない」という思いを生み、次にどのようにして和解し平和の道を進むのかという問いが各自の中に広がったのではないかと思えた。
 中国の高校生が感想を寄せてくれた中で「平和に向かって進めるには、このような交流から始まる」というのがあった。
 平和共存への道を3国で見つけていくことが今後のキャンプの課題になってくると思う。
 朝鮮半島の分断から和解へ、そして非核を目指す動きができてきている。
 この動きを深く把握したとき、東アジアの平和の道を3国の生徒たちが考え合うこととなるだろう。
 来年8月の東京キャンプは、平和の道を3国で討論できる場となるのではと思っている。
『子どもと教科書全国ネット21ニュース 122号』(2018.10)

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