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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

萩生田文科大臣の重大な法規誤読、野党議員もマスコミも見逃している

2021年06月08日 | こども危機
 <萩生田大臣批判③>
 ◆ 「従軍慰安婦」等記述排除の違法違憲の策動を立案・指南したのは萩生田大臣だった!?

   皆さま     高嶋伸欣です


 1 <萩生田大臣批判③>で藤岡「つくる会」とのなれ合い策動の<欠陥3>を、お届けします。
 話しがどうしても長くなるので、最初に結論、その次にその結論に到達した経過分析の骨子、そしてそれら骨子それぞれの説明という順にしてあります。
 2 <欠陥3>の[結論]

 1)今回の『従軍慰安婦』『強制連行』等の教科書表記排除を目指す策動の事実上の提唱者は萩生田光一文科大臣自身で、その立案は『政府見解条項』の歪曲解釈に基づいたものであることを、大臣自身の国会答弁が証明している。
 2)従って、今後の検定では『そういった表現は不適切』との大臣答弁に基づいた各教科書会社への訂正申請提出”指導(事実上の指示)”は、文科行政における職権乱用による違法行為、並びに憲法の禁じる「検閲」の違憲行為に該当する。
 3)文科大臣が、これら違法・違憲行為の責任を逃れるには、該当する国会答弁の誤りを認めて訂正・謝罪を議事録に残し、さらにこの件での訂正申請は全く必要がない旨を、各教科書会社等関係者に周知徹底すると共に、この間の経緯を広く明らかにすることなしにはすまされない。
 4)そうした是正策の実行を確実にするために、上記の違法・違憲の状況を的確に指摘し、批判する社会的責務を果たしていない野党議員やマスコミの教育担当記者たちの不作為状況からの脱却が強く求められる!
 3 <欠陥3>の[結論]に至る[経過の骨子]

 1)今回の「従軍慰安婦」等記述排除の策動は、萩生田光一文科大臣自身が筋書きを作成、今年3月22日の参議院文科委員会の答弁を通じて推奨し、事実上の指南役を買って出たことに由来している。
 2)そうした行動に萩生田氏が出たのは、「政府見解条項」「政府として認めたもののみ」教科書には記述させる「ルール」と思いこんでいんでいて(5.12答弁)、この筋書きならば大臣である自分が主役となって、ことを確実に進められるとの自信を持てた為だった(この「条項」の解釈は全くの誤り!)。
 *注・「検定基準」の「政府見解条項」は下記の通り「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていること」
 3)上記「条項」の意味をそのように誤認していたので、『答弁書』の内容を「条項」に強引に適用させ、「今年度の教科書検定より」「そういった表現は不適切ということになります」と言い切れた(5.12、文科委)。
 4)だが5月26日の文科委員会で畑野君枝議員が、最高裁判所判決で「軍隊慰安婦」表記を用いているものの存在を指摘。内閣府、萩生田大臣・文科省らは「知らない」と答弁。
 『答弁書』を根拠に上記「条項」を適用して「従軍慰安婦」表記を排除あるいは不適切とする筋書きの土台が崩壊
 5)一方で、文科省初等中等教育局が、18日に教科書会社幹部を集めた緊急のWEB会議を開催し、上記3)の大臣発言に則した訂正申請を6月末までに検定済の教科書についてするように“指導(事実上の強要)”を実施したと判明。
 6)この結果、萩生田大臣提唱の策動の筋書き崩壊だけでなく、これまでの策動には教科書行政において憲法違反の「検閲」が進行中である疑い、さらには「法規の恣意的便宜的な解釈と運用」という職権乱用による違法な行政行為の施行の疑いがあることが浮上。
 7)今や、この違憲違法状況の是正については、マスコミ各社と国会各政党、特に野党議員などが本来の社会的役割を果たすかどうかにかかっている。
 4 <欠陥3>の[結論]に至る経過説明

 1)自民党タカ派文教族の中心メンバーで、現在の歴史教科書は「自虐史観」的と主張する萩生田光一氏が2019年9月、安倍内閣の文部科学大臣に就任し、菅政権でも留任している。
 その萩生田大臣の下での2019年度教科書検定で、藤岡「つくる会」による自由社版中学歴史教科書が不合格とされた。以後、「つくる会」は執拗に「不正検定である」との抗議を繰り返しているが、萩生田氏は「検定は適正であった」と、本心とは異なる答弁等を繰り返してきた。
 このため、2021年3月頃には「つくる会」の同調者の間で、萩生田氏への疑問、大臣就任に基づく期待が大きかった故の背信への不満が高まっていた。
 2)並行して、藤岡「つくる会」は2019年度検定に合格した山川出版の中学歴史教科書「いわゆる従軍慰安婦」の記述再登場を認めたことに強い不満を表明し続けてきた。
 同会は、1990年代にすべての中学歴史教科書から「従軍慰安婦」記述を一掃させたのは自分たちの功績と勝手な自負を標榜し、同時に昨今の韓国バッシングとの協調によって存在感の維持を図っていた。
 ただし、同調の動きに広がりの勢いはなく、マスコミでは『産経』がそうした動きを伝える程度でしかなかった。
 3)そうした閉塞感のある中、2021年3月22日、参議院文科委員会で自民党・有村治子議員が山川版教科書の「従軍慰安婦」記述を不当と指摘し、是正を萩生田大臣に要求
 これに対し、萩生田大臣が「ご指摘のような問題については、慰安婦に関する用語の整理が政府部内でなされ、政府の統一的な見解としてまとめられれば(「閣議決定される『答弁書』がつくられれば」ということ・高嶋注)」「その内容に基づいて適切に検定を行っていくこと(「『政府見解条項』を発動させる」ということ・高嶋注)となります」と答弁。
 4)この時の質疑の様子を議事録で見ると、有村議員の質問に対して文科省官僚たちは関係資料を用いた答弁をしていて、質問項目は事前に通告されていたと読める。萩生田大臣も事前準備した答弁をしていたことになる。
 その後の「従軍慰安婦」記述排除の策動は、この時の大臣答弁通りに進展している。
 5)しかも、これだけ今回の策動の実際に合致する具体的な手順を提唱したものは、いまのところ他に見当たらない。今回の「従軍慰安婦」等記述の排除策動プログラムの事実上の提唱者は、萩生田大臣だったと位置づけることができる。そのように認定することで、以後の不自然かつ強引な手法を萩生田大臣自身によって押し通されたことの理不尽さについての説明も可能となる。
 6)4月16日、「つくる会」と近い関係の「日本維新の会」の馬場信幸幹事長が『質問主意書』を提出。政府が閣議決定の手続きを経、同27日『答弁書』で、大雑把な理由付けだけで「政府としては」「単に『慰安婦』という用語を用いることが望ましい」などと回答。
 7)5月10日、衆議院予算委員会で菅首相・萩生田大臣が、『答弁書』によって「政府見解条項」を発動できる旨の見解を表明。
 『産経』がそれだけの答弁から、首相が「『従軍慰安婦』の教科書記述認めず」と歪曲強調した記事を11日朝刊第1面の中央に掲載
 8)5月12日、文科委員会で萩生田大臣が“「従軍慰安婦」記述は、以後の検定で不適切”と答弁。『産経』の歪曲報道を追認。
 9)同時に、文科大臣は「政府見解条項」は、「政府として認めていることのみ教科書に記述しようといういうことをルール化をし」たもの、と発言。大臣の重大な法規誤読が発覚。
 10)同「条項」については、2014年1月17日の官報告示されて「検定基準」に定められた当時から、教育内容への政治的介入の手段となるなどの問題点が指摘され、物議を醸していた。
 その議論の過程で、当時の下村博文・文科大臣や文科省官僚が「政府の統一的な見解とは異なる見解を排除するという趣旨ではない」旨、繰り返し説明し、そのことは周知のこととなっている。
 それら説明は検定審議会(2013年11月22日、12月20日)の議事録でも確認できる。

 11)萩生田大臣が「政府見解条項」を全く誤って、しかも権力者として都合よく解釈していることは明白だった。
 しかし、この重大な意味を持つ発言を野党議員もマスコミも、今日まで全く問題にしていない
 12)26日の委員会で今回の策動を追及した畑野君枝議員も同「条項」の「それらに基づいた記述」の意味を質したものの、「政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例を必ずしもそのまま記載することを求めるものではありません」との答弁を、文科省官僚から引き出して終わっている。
 13)一方で『産経』の記者たちだけは、9)発言の誤り、それも重大な誤りであることに気づいていた可能性が高い。
 菅首相が「『従軍慰安婦』の教科書記述認めず」との報道をしていた立場からすれば、萩生田大臣がさらにダメ押しの発言をしたとして9)発言を大きく報道して当然だった。
 しかし、『産経』はこの発言を全く報道していない
 10)にある通り、9)発言の誤りは明白である上に、その誤った解釈が当時順調に進展中の策動の根幹部分を形成していることにも気づき、首をすくめるようにして視て見ぬふりを込め込んだものと、考えられる。
 14)ともあれ、かくして萩生田大臣の本来であれば致命的な発言、中心的規範の誤解釈は不問にされたまま、事態はその誤解釈に基づいた行政行為の実行による既成事実の形成へと進展してしまった。
 15)5月18日、教科書課が教科書会社幹部を急遽招集したWEB会議で、6月末までに「従軍慰安婦」等の記述に対する訂正申請をするようにとの“指導”を実施。
 16)5月26日、文科委員会で共産党・畑野君枝議員最高裁判決文に「軍隊慰安婦」表記が存在する事実を指摘。文科大臣・官僚らも「知らぬ」と答弁。
 その後も「強制連行」表記のある最高裁判決の存在が判明。

 17)5月31日、『産経』自由社版中学歴史の検定不合格は「不正検定」との意見広告掲載。
 14)の状況の下、藤岡「つくる会」と同調者たちに状況不利との認識はなく、山川版の「いわゆる従軍慰安婦」記述の排除に向けた攻勢に変化はみられない!
 以上 高嶋の私見で文責は高嶋です  ご参考までに  転載・拡散は自由です


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