=たんぽぽ舎です。【TMM:No4216】「メディア改革」連載第65回=
◆ 問われるコロナ・ワクチン接種の公平性
◎ 菅義偉首相が新型コロナウイルスとの戦いに打ち勝つ「切り札」として、防衛省・自衛隊まで動員して進めるワクチン接種で、一部の首長、企業幹部らが縁故、権威を使って優先して済ませたことが問題になっている。
ドイツのメルケル首相は4月16日、一般市民と共に列に並んでワクチン接種を受けた。政府報道官は、「特別扱いは無く、厳格な優先順位に従い、一般市民と全く同じ対応をした」と述べた。首相は「自身の順番が来るまで待つ」と表明していた。
日本の権力者は、本当の意味でのフェアネス(公平)、ディーセンシー(品格)を理解できないので、「国会議員は優先的に接種すべきだ」などという発言がまかり通る。
https://www.afpbb.com/articles/-/3342598
◆ 住民票のない皇族のワクチン接種始まる
◎ ワクチン接種の公平性が問われる中、天皇・上皇と皇族16名の計18名の接種はどうなっているのか疑問だったが、6月1日、上皇夫妻ら高齢の皇族皇室のワクチン接種が始まったという報道があった。
毎日新聞(和田武士記者)によると、上皇夫妻は仙洞仮御所で接種を受け、皇居内の宮内庁病院では常陸宮夫妻、寛仁親王妃信子(故・寛仁の妻で、麻生太郎財務相の妹)、高円宮妃久子が接種を受けた。
皇族では7人が65歳以上の優先接種の対象。97歳の三笠宮妃百合子を除く6人が接種したこととなる。
天皇夫妻、秋篠宮夫妻らの接種も検討されているという。
https://mainichi.jp/articles/20210601/k00/00m/040/232000c
皇室のワクチン接種について池田憲治宮内庁次長は4月の衆院内閣委で「接種順位については政府の方針に従い、皇室の方々のご意向に沿って実施できるように準備を進めていきたい」と述べていた。
同庁の西村泰彦長官が5月の記者会見で、「個人情報」を理由に公表しない方針を示していた。
テレビ朝日も「宮内庁はこれまで厚生労働省や東京都とワクチンの接種について調整を進めてきていて、接種をしたかについては個人情報であるとして公表しない考えを示している」と報じた。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000217887.html
NHKも上皇ら5人の接種を伝える中で、「宮内庁では、上皇ご夫妻や皇族方について一般の人と同じ時期にワクチンの接種を行えるよう調整をしてきたが、接種を行ったかどうかは公表しない方針を5月、明らかにしている」と報じた。
朝日新聞は<関係者への取材でわかった>として、
https://www.asahi.com/articles/ASP615RHGP61UTIL01P.html
憲法で、皇室典範で定めるとされている皇族は公人中の公人で、プライバシーはかなり制限される。
ワクチン接種を受けることが「個人情報」のため、公表しないというのはナンセンスだ。米国ではかつて、レーガン大統領が顔にがんを患ったとき、がんの部位のCT画像が報道されたことがあった。
◆ 不要不急の菅訪米同行記者の優先接種は適切か
◎ 菅首相は4月に訪米した際、同行記者団が出発前に2回接種を受けたという事実は日本のキシャクラブメディアでほとんど報道されず、全く議論されていない。
高齢者以外で集団として接種を受けたのは同行記者団だけだ。
そもそも、菅氏が「都県を越えた移動」の自粛要請が出ている中、約90人の随行員を引き連れ、国境を越えて米国に渡る理由は全くなかった。
菅首相の不要不急の外遊を強行したことが、民衆の気の緩みを招き感染拡大を招いたことは間違いない。
菅首相は、4月末からの大型連休中に予定していたインド、フィリピン訪問を4月21日に、中止すると決めた。
菅首相が訪米前の3月17日と4月7日、新宿の国立国際医療研究センターで接種を受けたが、テレビ・新聞はラフな服装で接種を受ける映像も報道した。
しかし、同行記者団の接種は闇の中だった。
吉田朋之外務報道官が3月17日の会見で、同行記者団のワクチン接種について述べている。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken6_000072.html
https://mainichi.jp/articles/20210406/k00/00m/040/173000c
また、東京新聞は吉田通夫ワシントン特派員が4月17日、<同行記者団らも米国入国後に必要な最長2週間の自主隔離は求められなかったものの、全員がワクチンを接種した>と伝えていた。
これ以外に、同行記者の接種についての報道はない。
◎ そもそも、参勤交代・朝貢外交としか思えない菅訪米に同行した記者の数も報道されていない。
私は5月17日、外務省報道課に質問書を送った。同課は5月24日、次のようにファクスで回答した。
◎ 内閣記者会(官邸クラブとも呼ばれる)にも質問した。主な質問と回答(5/24)は次のとおり。
外務省報道課は「帰国後の同行記者は14日間の自宅待機とし、保護観察とした」と言うのが、同行した25人が政府の要請に従ったとは思えない。
この調子だと、五輪で海外から来る取材する約3万人以上の報道関係者を含め約30万人の行動を、政府が管理できるはずがない。
◆ 問われるコロナ・ワクチン接種の公平性
浅野健一(アカデミックジャーナリスト)
◎ 菅義偉首相が新型コロナウイルスとの戦いに打ち勝つ「切り札」として、防衛省・自衛隊まで動員して進めるワクチン接種で、一部の首長、企業幹部らが縁故、権威を使って優先して済ませたことが問題になっている。
ドイツのメルケル首相は4月16日、一般市民と共に列に並んでワクチン接種を受けた。政府報道官は、「特別扱いは無く、厳格な優先順位に従い、一般市民と全く同じ対応をした」と述べた。首相は「自身の順番が来るまで待つ」と表明していた。
日本の権力者は、本当の意味でのフェアネス(公平)、ディーセンシー(品格)を理解できないので、「国会議員は優先的に接種すべきだ」などという発言がまかり通る。
https://www.afpbb.com/articles/-/3342598
◆ 住民票のない皇族のワクチン接種始まる
◎ ワクチン接種の公平性が問われる中、天皇・上皇と皇族16名の計18名の接種はどうなっているのか疑問だったが、6月1日、上皇夫妻ら高齢の皇族皇室のワクチン接種が始まったという報道があった。
毎日新聞(和田武士記者)によると、上皇夫妻は仙洞仮御所で接種を受け、皇居内の宮内庁病院では常陸宮夫妻、寛仁親王妃信子(故・寛仁の妻で、麻生太郎財務相の妹)、高円宮妃久子が接種を受けた。
皇族では7人が65歳以上の優先接種の対象。97歳の三笠宮妃百合子を除く6人が接種したこととなる。
天皇夫妻、秋篠宮夫妻らの接種も検討されているという。
https://mainichi.jp/articles/20210601/k00/00m/040/232000c
皇室のワクチン接種について池田憲治宮内庁次長は4月の衆院内閣委で「接種順位については政府の方針に従い、皇室の方々のご意向に沿って実施できるように準備を進めていきたい」と述べていた。
同庁の西村泰彦長官が5月の記者会見で、「個人情報」を理由に公表しない方針を示していた。
テレビ朝日も「宮内庁はこれまで厚生労働省や東京都とワクチンの接種について調整を進めてきていて、接種をしたかについては個人情報であるとして公表しない考えを示している」と報じた。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000217887.html
NHKも上皇ら5人の接種を伝える中で、「宮内庁では、上皇ご夫妻や皇族方について一般の人と同じ時期にワクチンの接種を行えるよう調整をしてきたが、接種を行ったかどうかは公表しない方針を5月、明らかにしている」と報じた。
朝日新聞は<関係者への取材でわかった>として、
<皇族方は市区町村に住民登録がなく、一般国民のようにワクチンの接種券が交付されていない。接種券が受けられない皇族方のワクチン確保は、厚生労働省や東京都と調整するとしていた>と書いている。
https://www.asahi.com/articles/ASP615RHGP61UTIL01P.html
憲法で、皇室典範で定めるとされている皇族は公人中の公人で、プライバシーはかなり制限される。
ワクチン接種を受けることが「個人情報」のため、公表しないというのはナンセンスだ。米国ではかつて、レーガン大統領が顔にがんを患ったとき、がんの部位のCT画像が報道されたことがあった。
◆ 不要不急の菅訪米同行記者の優先接種は適切か
◎ 菅首相は4月に訪米した際、同行記者団が出発前に2回接種を受けたという事実は日本のキシャクラブメディアでほとんど報道されず、全く議論されていない。
高齢者以外で集団として接種を受けたのは同行記者団だけだ。
そもそも、菅氏が「都県を越えた移動」の自粛要請が出ている中、約90人の随行員を引き連れ、国境を越えて米国に渡る理由は全くなかった。
菅首相の不要不急の外遊を強行したことが、民衆の気の緩みを招き感染拡大を招いたことは間違いない。
菅首相は、4月末からの大型連休中に予定していたインド、フィリピン訪問を4月21日に、中止すると決めた。
菅首相が訪米前の3月17日と4月7日、新宿の国立国際医療研究センターで接種を受けたが、テレビ・新聞はラフな服装で接種を受ける映像も報道した。
しかし、同行記者団の接種は闇の中だった。
吉田朋之外務報道官が3月17日の会見で、同行記者団のワクチン接種について述べている。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken6_000072.html
https://mainichi.jp/articles/20210406/k00/00m/040/173000c
また、東京新聞は吉田通夫ワシントン特派員が4月17日、<同行記者団らも米国入国後に必要な最長2週間の自主隔離は求められなかったものの、全員がワクチンを接種した>と伝えていた。
これ以外に、同行記者の接種についての報道はない。
◎ そもそも、参勤交代・朝貢外交としか思えない菅訪米に同行した記者の数も報道されていない。
私は5月17日、外務省報道課に質問書を送った。同課は5月24日、次のようにファクスで回答した。
<内閣記者会及び外務省記者クラブ加盟社に対して行った同行記者募集に応募のあった計25名の記者が同行した。総理訪米の円滑な実施にあたり、新型コロナ対策を万全にすることで米側と一致したことを踏まえ、同行記者を含む政府代表団に含まれる者等を必要最小限に絞った上で、これらの者全員についてワクチン接種をはじめ必要な対策を講じた。また、帰国後の同行記者の措置については、原則14日間の自宅待機とし、健康観察を行った>外務省は同行記者の社名を明らかにしなかったので、25日、再質問したが、<回答は5月24日にお送りしたものとなります>と答えただけだった。
◎ 内閣記者会(官邸クラブとも呼ばれる)にも質問した。主な質問と回答(5/24)は次のとおり。
質問:菅首相の訪米における同行記者団を選任するのはどこか。内閣記者会は関与しているか。同行記者団の一人、長内一郎政治部記者(官邸キャップ)は菅氏の帰国後、NHKのニュース番組にスタジオで生出演していた。
回答:内閣記者会は関与していない。同行記者については、外務省報道課が窓口となって取りまとめている。
質問:ワクチン接種はしたのか。
回答:同行記者は2回接種しており、これについては報道した社もあった。
質問:記者団を含む訪米随行員の接種については取材・報道をしない、という申し合わせが、政府との間であったのか。
回答:申し合わせをした経緯はない。
質問:同行記者は帰国後、隔離措置はとられたか。
回答:政府からは、帰国後2週間は公共交通機関を利用しないなどの対応を求められた。
外務省報道課は「帰国後の同行記者は14日間の自宅待機とし、保護観察とした」と言うのが、同行した25人が政府の要請に従ったとは思えない。
この調子だと、五輪で海外から来る取材する約3万人以上の報道関係者を含め約30万人の行動を、政府が管理できるはずがない。
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