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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

3.24河原井・根津08年処分取消裁判の資料

2016年03月26日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ◆ 職傍聴に駆けつけてくださり、ありがとうございます。 2016.3.24
 今日の法廷で書面陳述する内容は、原告の主張「東京高裁5月28日判決について」に対する被告反論(9月10日)への原告側反論です。
 1.2015東京高裁判決は2012最判に違背するとの被告主張に対し
 ①「停職6月を選択ことの相当性を基礎づける具体的事情があるから、2015東京高裁判決は2012最判に違背する」との被告主張への反論
 →被告の主張は「学校の規律や秩序の保持」と「処分による不利益」の「権衡」を考慮していない
 停職6月は、・経済的に過酷・子どもや保護者との信頼関係を破壊し教育を破壊する・あとは免職しかないという威嚇効果・名誉や信用を最大限に破壊するが、被告は停職6月の重大性過酷性を考慮していない。
 被告が「具体的事情」として新たに挙げたのは、校門前での抗議行動、朝日新聞紙上での発言のみ。
 処分理由として挙げていないこの2件を処分加重の「具体的事情」とすることは、「処分による不利益の内容との権衡」を全く考慮していない主張だ。
 ②「2015東京高裁判決の『過去に同様の行為が行われた際に停職処分がされていたとしても、懲戒権者において当然に前の処分よりも長期の停職期間を選択してよいということにはならない』との判示は2012最判に違背する」との被告主張への反論
→2012最判が停職処分を相当としたのはあくまでも停職3月であって、停職6月を判断したものではない。「規律や秩序保持の必要性」と「処分による不利益」との「権衡」を検討して判断することが2012最判の趣旨に合致することだ。被告の主張は、2015東京高裁判決の文脈を意図的に無視している。
 ③「2015東京高裁判決は今回の処分量定を決める際に、停職3月までの『過去の処分歴』を考慮要素とすることに制約をかけた」との被告主張への反論
 →2015東京高裁判決は「過去の処分歴」を考慮しても、停職6月を正当化するほどの「具体的事情」はないと判示し、停職6月の次は免職という極めて大きい心理的圧力を加えることになるのだから、「被処分者が被る不利益」を考えるべきとしたのであって、考慮事項に制約を課したのではない。
 ④「2012最判が停職処分の相当性を基礎づける事情として要求しているのは、学校の規律や秩序の保持等の必要性を基礎づける事情であって、現に学校の規律や秩序が乱されたことまで要求していない。にもかかわらず、2015東京高裁判決が『具体的に学校の運営が妨害されたような事実はない』と判示したことは2012最判に反する」との主張への反論
 →被告は停職6月の処分の重さを考慮しておらず、2012最判が示した判断基準を実質的に検討していない。2012最判の趣旨を正しく理解していない。
 ⑤「停職6月処分の次に免職処分を下す規定や取り扱いはないから、2015東京高裁判決が判示するような心理的圧力には客観的根拠がない」との被告主張への反論
 →懲戒に関する条例によれば、停職期間の上限は6月とされていること、処分の度に処分量定が重くなっていった経過があることを考えれば、次は免職だけであって、教員としての身分を失う恐れがあると考えるのは当然だ。こうした心理的圧力を受けることについて、2012最判において櫻井龍子裁判官が「毎年挙行される入学式、卒業式において不起立を行えば、処分が加重され、…不利益の増大を受任するか、自らの信条を捨てるかの選択を迫られる状態に置かれるものがいることを容易に推測できる」と述べている通りだ。
 被告は心理的圧力を具体的に考慮していない。


 *以上、2015東京高裁判決は2012最判の趣旨を踏まえてこれを一歩進めたものであって、同最判に違背するのではない。
 2,原告根津の校門前での抗議行動、朝日新聞紙上での発言を停職期間の加重を基礎づける具体的事情として考慮することは日本国憲法の精神に抵触する可能性があるとの2015東京高裁判決の判断は、19条、21条の解釈・適用を誤って違法だ、との被告主張に対し
 ①「校門前での抗議行動、朝目新聞紙上での発言を処分加重の要素としても、「日の丸・君が代」が戦前の軍国主義等との関係で一定の役割を果たしていたとする思想そのものを問題にしているのではないから、思想良心の自由の侵害にはならない」との被告主張に対し、
 →思想良心と密接不可分な言動を処分の加重要素として停職6月処分を下すことは、思想良心の自由の制約となる。
 立憲主義が一応確立しているこの国において、思想そのものを理由に不利益に取り扱い、直接的、意図的に制約するならば、それは直接的な制約であり違憲となるので、このようなあからさまな制約を課すことはありえない。
 処分の真の狙いが被処分者の思想良心にあるにもかかわらず、それを秘匿し別の名目の理由をあげて処分すれば、思想良心の自由の制約はないことになってしまう。「日の丸」に正対し「君が代」を起立斉唱させる真の狙いは国家に忠誠を誓わせるところにあるにもかかわらず、その真の狙いを隠して「儀式的行事」「国際的儀礼」だとの名目的な理由付けをする。
 ②表現の自由侵害についても①と同様。

 ③「校門前での抗議行動、朝日新聞紙上での発言を処分加重事由として考慮することが、仮に思想良心に自由及び表現の自由の制約となるとしても、根津の思想等そのものを理由に不利益に取り扱うものではないから、それは間接的制約でしかない」との被告主張に対し
 →・政治権力が市民の内心の自由や表現の自由に介入し侵害する真の目的を隠し、価値中立的な表向きの目的を設定する2012最判の間接的制約論は問題だ。
 ・処分理由になっていない「不起立前後の態度」を考慮要素とすることは、実質、してはならない
 ・処分理由にない「態度」を処罰することだ。
 ・間接的制約論を採る2012最判は停職3月処分について出されたもので、過酷な停職6月については射程外。
 櫻井裁判官の補足意見は、思想良心の実質的な侵害になることを事実上認めるものである。
 *表向きの目的のみに着目して判断するのではなく、
  ア.その規制の表向きの目的が真に必要やむを得ないものかどうか
  イ.その規制について憲法上の権利を制約する真の目的が認められるか
  ウ.その規制から生じる憲法上の権利に対する制約の程度について、
 慎重な吟味を行い、アが必要やむを得ないものではなく、イがあると認められ、ウが大きい場合は、その規制は憲法で保障された権利の実質的な侵害となる。
 本件停職6月は実質的侵害である。

 ■ 根津処分の理由は2つあって、「君が代」起立の職務命令違反のほかに、「日の丸・君が代」強制反対、OBJECTION HINOMARUKIMIGAYOと文字の入ったトレーナーを着用したことが職務専念義務違反、職務命令違反だとしています。
 そのトレーナー着用について阪口正二郎・一橋大教授に書いていただくことになっています。今日までに提出したかったのですが、今回は間に合わず。
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