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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

埼玉教員超勤訴訟 控訴審第2回 原告意見陳述

2022年05月30日 | こども危機
 ☆ 埼玉教員超勤訴訟控訴審判決日 8月25日(木)14:00 東京高裁101号法廷
 東京高等裁判所第17民事部 御中
◎ 意 見 陳 述 書
2022(令和4)年5月26日
控訴人 田中まさお

 被控訴人は、教員に一日12時間を超える労働を課しているのにもかかわらず、労働基準法違反に当たらないと主張しています。私だけが12時間を超える労働に携わっているという事実ならば、被控訴人の主張ち理解できます。
 しかし、日本全国で同じような訴えがあるのは、意味があるのです。問題があるのです。何処かに違法が存在するからなのです。
 私が本訴訟の原告という立場で投稿したツイートの閲覧数は、14万回に達することもあります。同じ思いを持つ人が多い証拠です。
 埼玉県教育委員会管内では、朝の勤務時間前に教員による登校指導が行われています。平然と時間外労働を認めている証しです。
 被控訴人は無賃残業を反省していません。
 民主主義国家である日本に、なぜ、戦前と同じような一日12時間を超える労働が存在してしまうのでしょうか。しかも、法定労働時間が過ぎているのに割増賃金が支払われることがなく、全て無賃です。
 私は、ついに強制労働に当たるという厳しい主張をしました。

 さて、今回の裁判では、第三者から見た意見を頂きました。労働法学研究者である毛塚勝利先生による、鑑定意見書です。これから、鑑定意見書を踏まえた控訴人の意見陳述を行います。
 1 給特法により残業代が支給されないことについて

 給特法により残業代が支給されないことは、法定労働時間を守らなくてもよいことにつながりません。
 むしろ、給特法は、超勤4項目以外の時間外勤務は命じられないことを定めて、労働時間の上限規制をしていますので、使用者は厳格に勤務時間を管理しなければなりません
 毛塚先生の鑑定意見書は、このことを明確に論じています。
 これに対し、被控訴人は、労働時間の管理が必要ないと主張しています。

 この主張が正しいとするならば、悪意を持った使用者は、幾らでも労働を課すことが出来ます。給特法は、教員を無制限に働かせることが出来る法律ではありません。
 給特法は、教員の勤務時間を管理した上で、正規の勤務時間を超えた場合には、勤務時間の割り振りを適正に行うことを求めています。
 私たち教員が時間外勤務を余儀なくされながら、勤務時間の割り振りがなされていない事実について、裁判所は判断をして下さい。
 2 教員の自主的な仕事について

 毛塚先生の鑑定意見書は、校長の指樟命令に基づく業務と教員の自主的な業務が渾然一体で区別ができないから勤務時間を管理できない、自主的な業務だから労働時聞には当たらない、という論理は成り立たないと指摘しています。
 そもそも、教員には自主的な業務があるという論理を、雇用主が主張するのは問題があります。
 自主的な業務を決めるのは現場の教員本人の意思であり、雇用主が自主的を求めることは、強制になる可能性が存在します。
 雇用主が労働者に自主的を求める場合は、労働者の意思を尊重し慎重に行われなければなりません。
 控訴人である私自身が、自主的な労働ではないと主張している事実を、裁判所は重く受け止めて欲しいです。
 3 命じられた仕事が勤務時間内に終わらない事実について

 私は、学校長に命じられた仕事内容を勤務時間内に終わりにすることは出来ないと主張しています。
 裁判所は、それが事実であるかどうかを見極める手立てが必要です。
 時間外勤務を命じていないという被控訴人の主張に対し、私が主張した時間外勤務に至る仕事内容の質と量について、裁判所はしっかりとした判断をして欲しいです。
 以上の3点をあらためて主張します。
 これらは、毛塚先生の鑑定意見書が指摘する通り、給特法自体に問題があるのではなく、給特法の解釈・運用の仕方に問題があるのです。
 裁判所は、毛塚勝利先生による鑑定意見書の全てをしっかりと読んで欲しいです。

 最後に、鑑定意見書による、二重の法令違反について、重ねて紹介します。鑑定意見書23頁では、次の通り述べられています。
「�@‘鷭鼎遼[甍稟ソ
 そもそも管理者は労基法上の法定限度時間を遵守する以前に、「学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例」(埼玉県平成7年条例28号)で定められている所定労働時間(正規の勤務時間)を遵守する義務を負う(地公法32条)のである。
 また、給特法が「時間の割振りによって時間外勤務を命じない」とする時間外勤務とは、この正規の勤務時間を超える時間外勤務であって、労基法32条の法定限度時問を超える時間外勤務ではない。その意味で、自律的業務は労働時間管理になじまないとして放置し、労基法32条の法定限度時間を超えて勤務させていれば、二重に法令違反をしているのである。
 仮に一審判決のように自律的業務の労働時間管理は困難性が伴うとして法令遵守の注意義務(労働時間管理義務)違反を弾力的にみるとしても、それは所定労働時間(正規の勤務時間)の遵守について語るべきであって、強制的効力をもつ法廷限度時間の遵守にかかる注意義務(労働時間管理義務)違反まで弾力的に捉えることは、法の趣旨に反する。」

 ※ 「埼玉教員超勤訴訟・田中まさおのサイト」
https://trialsaitama.info/
・・・『毛塚勝利鑑定意見書』もダウンロードできます。

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