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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

踏み絵の季節

2007年03月20日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ● 踏み絵の季節 ●

 娘の公立中学の卒業式だった。その前夜、一九八○年代に自分で作った二本のテレビ・ドキュメンタリーを見直した。君が代斉唱の時、どういう態度をとるべきかよく考えたかったからだ。
 番組の一つは、「女にとっての戦争とは」という。戦争の中で、日常生活が徐々に侵される怖さを描きたかったので、太平洋戦争下の、女性と子どもの暮らしに焦点をあてた。戦争へと突き進むにつれ、子どもたちの教科書が変わる。"神の国"に結びつける絵や記述が増え、描かれる日の丸の旗は次第に大きくなり、数も増える。あまりにも今の姿と似ていて、がく然とした。
 もう一つは「知らないという親と子へどう伝えよう戦争を」だ。中で、現代の教科書の変遷を追った。歴史の記述は、「中国へ侵略」だったのが「中国へ進出」に変わり、また海外からの抗議で「侵略」へ戻った。
 現代社会の検定では、八月六日に行った高校生の平和を考える芝居のカラー写真が、政治集会という理由ではずされていた。

 そして卒業式を迎えた。誰もいない壇上に並ぶ日の丸と区旗に向け、まず全員で起立し、礼をすることから始まった。旗に向けて礼をしているとしか思えなかった。
 そのまま続いた君が代は、演奏する吹奏楽部の生徒たちに申し訳ないと思ったが、着席をした。

 最後に、卒業生全員による、思い出と未来への希望を語る別れの言葉に、涙がこぼれた。
 改めて感じた。教育とは国家が統制すべきものではない。いろいろな意見を自分で考え、自由に発言できることが何より大事だと。そのためには、過去の事実と反省を次世代に正しく伝えることだ。
 輝かしい出発であるはずの卒業式と入学式が、"踏み絵の季節"になるのはたまらない。(熊谷博子=映像ジャーナリスト)

(『東京新聞』2007/3/19夕刊「放射線」)

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