千葉高教組市川支部「ひょうたん島研究会」・TTです。
すべての友人の皆さんへ。一昨日10/9の『朝日』千葉面に、県内の教科書採択の状況を報じた記事が載りました。参考までに、紹介します。 以上。
《朝日「千葉面」:2015年10月9日》
◆ 教科書選定県教委の二つの顔
県立中の採択 非公開・議事録なし
県立中学校と高校で来年度使われる教科書が決まった。県立中の教科書を初めて議決で採択した県教育委員会の臨時会は、非公開で議事録も存在しない一方で、特定の日本史教科書を選んだ高校には、県教委が詳しい選定理由や指導計画の提出を求めていることが、開催中の9月定例県議会などで明らかになった。
2日の県議会代表質問。非公開の県教育委員会会議の議事録を作るのかどうか、三輪由美県議(共産)が質問した。内藤敏也教育長が「作成していない」と答えると、傍聴席がざわめいた。
県教育委員会は今年8月、非公開の臨時会で、千葉中学校と来春開校する東葛飾中学校で使う9教科15種目の教科書を、新しい採択方法で選んだ。
県立中の教科書は、前回11年度までは千葉中の教員らによる「専門調査員会」がそれぞれの候補を3社までに絞り、学識経験者らの審議会がそれに順位をつけ、教育長が専決で採択した。実質的には1番がついた教科書が選ばれていた。
それが、今回から「教育委員会の権限と責任をより明確化する」という理由で教育委員会会議の議決により採択する方式に変わった。専門調査員会は教科書の調査・研究のみを行い、審議会が推薦3社を選定。その中から県教委の事務局が1社を原案として教育委員会会議にかけた。
この会議を非公開とした理由について、内藤教育長は1日、「公開することにより教育委員の率直な意見交換が損なわれ静謐な採択環境の確保が困難になる」などと、田中信行県議(民主)の質問に答えた。議論の内容や各委員の賛否は明らかにされず、議事録も作っていない。
県教委指導課によると、歴史と公民は、教育長と教育委員の計6人中5人が事務方が示した原案に賛成し、「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ育鵬社の教科書を選んだ。同社の教科書へは賛否の声が寄せられていた。小川哲史指導課長は「文部科学省の検定に通った内容なので、県教育委員会としてその適宜についてコメントするものではない」と採択後の会見で説明した。
元教員や市民らでつくる「教科書と教育を考える千葉県民の会」は同社教科書について「日本の戦前の戦争を美化、正当化し、幾多の問題点が指摘されている」とし、採択反対の意見書を出している。
◆ 特定出版社を使う高校 授業計画提出求める
一方、県教委は、実教出版の「高校日本史A」と「高校日本史B」の教科書を選んだ県立高校には、詳しい選定理由や授業計画などの提出を求めている。
県教委は昨年8月、15年度用にこの教科書を選ぶ方針だった12校に「事務連絡」を出した。「国旗・国歌」「太平洋戦争における各国の犠牲者数」「南京大虐殺」についてどんな教え方をするのか、指導計画を提出するよう求めた。
事務連絡を出した県教委指導課は、この教科書が国旗掲揚・国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記述していることに注目。小川哲史課長は「誤解を招くのではないかということで、丁寧な指導をしてくれと学校に指導している」と話す。最終的に10校がこの教科書を選んだ。
さらに今年4月、その10校には指導計画に加えて授業実施後に「授業を参観した管理職名」などを記した報告書の提出を要請。16年度の教科書にこの版を希望する6校には今年8月にも、昨年夏と類似の資料提出を求めた。
その結果、今年度は6校とも希望を通した。この版を使う学校の社会科教諭は昨年度、約20枚の資料を作った。「検定を通ったものから選んでいるのに、不当な介入だ。こんなことを認めたら、何でも介入されてしまう。教育の根幹に関わる問題だ」と話す。(湊彬子)
◆ メッセージ性感じる
中嶋哲彦・名古屋大大学院教授(教育法)の話
文科省の教科書検定基準は、事実を多面的に取り扱うことや、複数の考えを紹介することを求めている。特定の記述が意に沿わないからと言って、県教委が検定合格した教科書の選定・採択を制限するのは適切でない。このやり方には、実教出版を選定するなというメッセージ性を感じる。
他方、教育委員会の会議や議事録は公開が原則で、教科書採択を非公開にする理由はない。意見が分かれる事柄こそ、県民の目の届くところで決めるべきだ。
すべての友人の皆さんへ。一昨日10/9の『朝日』千葉面に、県内の教科書採択の状況を報じた記事が載りました。参考までに、紹介します。 以上。
《朝日「千葉面」:2015年10月9日》
◆ 教科書選定県教委の二つの顔
県立中の採択 非公開・議事録なし
県立中学校と高校で来年度使われる教科書が決まった。県立中の教科書を初めて議決で採択した県教育委員会の臨時会は、非公開で議事録も存在しない一方で、特定の日本史教科書を選んだ高校には、県教委が詳しい選定理由や指導計画の提出を求めていることが、開催中の9月定例県議会などで明らかになった。
2日の県議会代表質問。非公開の県教育委員会会議の議事録を作るのかどうか、三輪由美県議(共産)が質問した。内藤敏也教育長が「作成していない」と答えると、傍聴席がざわめいた。
県教育委員会は今年8月、非公開の臨時会で、千葉中学校と来春開校する東葛飾中学校で使う9教科15種目の教科書を、新しい採択方法で選んだ。
県立中の教科書は、前回11年度までは千葉中の教員らによる「専門調査員会」がそれぞれの候補を3社までに絞り、学識経験者らの審議会がそれに順位をつけ、教育長が専決で採択した。実質的には1番がついた教科書が選ばれていた。
それが、今回から「教育委員会の権限と責任をより明確化する」という理由で教育委員会会議の議決により採択する方式に変わった。専門調査員会は教科書の調査・研究のみを行い、審議会が推薦3社を選定。その中から県教委の事務局が1社を原案として教育委員会会議にかけた。
この会議を非公開とした理由について、内藤教育長は1日、「公開することにより教育委員の率直な意見交換が損なわれ静謐な採択環境の確保が困難になる」などと、田中信行県議(民主)の質問に答えた。議論の内容や各委員の賛否は明らかにされず、議事録も作っていない。
県教委指導課によると、歴史と公民は、教育長と教育委員の計6人中5人が事務方が示した原案に賛成し、「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ育鵬社の教科書を選んだ。同社の教科書へは賛否の声が寄せられていた。小川哲史指導課長は「文部科学省の検定に通った内容なので、県教育委員会としてその適宜についてコメントするものではない」と採択後の会見で説明した。
元教員や市民らでつくる「教科書と教育を考える千葉県民の会」は同社教科書について「日本の戦前の戦争を美化、正当化し、幾多の問題点が指摘されている」とし、採択反対の意見書を出している。
◆ 特定出版社を使う高校 授業計画提出求める
一方、県教委は、実教出版の「高校日本史A」と「高校日本史B」の教科書を選んだ県立高校には、詳しい選定理由や授業計画などの提出を求めている。
県教委は昨年8月、15年度用にこの教科書を選ぶ方針だった12校に「事務連絡」を出した。「国旗・国歌」「太平洋戦争における各国の犠牲者数」「南京大虐殺」についてどんな教え方をするのか、指導計画を提出するよう求めた。
事務連絡を出した県教委指導課は、この教科書が国旗掲揚・国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記述していることに注目。小川哲史課長は「誤解を招くのではないかということで、丁寧な指導をしてくれと学校に指導している」と話す。最終的に10校がこの教科書を選んだ。
さらに今年4月、その10校には指導計画に加えて授業実施後に「授業を参観した管理職名」などを記した報告書の提出を要請。16年度の教科書にこの版を希望する6校には今年8月にも、昨年夏と類似の資料提出を求めた。
その結果、今年度は6校とも希望を通した。この版を使う学校の社会科教諭は昨年度、約20枚の資料を作った。「検定を通ったものから選んでいるのに、不当な介入だ。こんなことを認めたら、何でも介入されてしまう。教育の根幹に関わる問題だ」と話す。(湊彬子)
◆ メッセージ性感じる
中嶋哲彦・名古屋大大学院教授(教育法)の話
文科省の教科書検定基準は、事実を多面的に取り扱うことや、複数の考えを紹介することを求めている。特定の記述が意に沿わないからと言って、県教委が検定合格した教科書の選定・採択を制限するのは適切でない。このやり方には、実教出版を選定するなというメッセージ性を感じる。
他方、教育委員会の会議や議事録は公開が原則で、教科書採択を非公開にする理由はない。意見が分かれる事柄こそ、県民の目の届くところで決めるべきだ。
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