★ <情報>「藤岡・つくる会」が教科書の「江戸しぐさ」を”攻撃”
皆さま 高嶋伸欣です
最近、道徳教育の教科化などとからめて日本文化の美点の具体例とされ、教科書にも登場している「江戸しぐさ」が、実は1980年代に創作された話でしかないとの指摘がされていることを、多くの方はすでにご存じと思います。
そのことを明確に指摘したのが、
原田実 著『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統』
星海社(せいかいしゃ)新書 2014年8月 886円(税込)
です。
大変読みやすく、ある出版社の編集者が「うまい編集ですね」と評していました。短い時間で読めます。関心のある方にはお勧めしています。
ところが、ところが、同書を藤岡信勝氏の「新しい歴史教科書をつくる会」が、会誌『史』1月号(108号)の書籍紹介欄「ブックエンド」で、次の様に推奨しているので、ビックリ!
「育鵬社の中学校公民教科書、東京書籍の小学校道徳副読本にて扱われ、平成26年からは文科省制定の小学校5・6年道徳教材にも採用された『江戸しぐさ』。しかし、その実態が実際の江戸の風俗からはかけ離れた偽りの伝統であることを本書は明らかにする。本会は、『南京』、『慰安婦』等を通じて文科省による教科書検定が歴史の捏造に防ぐ防波堤と成りえぬことをとうに理解しているが、江戸しぐさについても同様に文科省は無力である。教育現場からの速やかな追放のため、多方面からの批判が必要である。(H)」
育鵬社公民教科書では、第1章の第1節「現代社会の文化と私たちの生活」の「1 文化の意義と影響」のところで、「江戸しぐさ」のコラムを設けて、「傘かしげ(狭い路地などですれ違う際に、傘を外側に向けて相手にしずくがかからないように配慮する)」など3つの事例を紹介しています。イラスト付きです。
これらの事例について、上記の著書で原田氏は、傘(和傘)は贅沢品で庶民は頭にかぶる笠や蓑を使用していたので、当時の江戸でそうした場面が頻繁に必要になったかは疑わしい、などと批判しています。
そうした批判については、同書をご覧ください。
上記の『史』の文のオモシロイところは、
1)育鵬社版に対する批判を鮮明にしていること(敵意丸出しです)
2)文科省の道徳副教材の批判も容赦なくしていること(「つくる会」には「教育再生機構」のように『13歳の道徳教科書』のようなものを出版して、道徳教育の教科化に取り組む余力がまるでありません。藤岡氏の従前からの論法である”敵味方論”の健在ぶりが読み取れます。実に単純で分かり易く、オモシロイです)。
3)文科省の検定が「歴史の捏造を防ぐ防波堤になりえぬ」と露骨に批判していること(「つくる会」自身が歴史の捏造をした記述のある白表紙本を検定に申請し、それらの大半を検定で指摘されて修正に追い込まれてきた常習犯であるのだから、”盗人猛々しい限り”です。それに、安倍晋三氏たちが推している教科書でもあったので、手抜きの検定が行われて検定合格後の見本本や市販本段階で重要な「歴史の捏造」記述を私たちに指摘され、修正に追い込まれた事例も多数あります。自分たちが政治家と結託することで検定をそのような状況に追い込んでおきながら、頼りの政治家たちが別のグループに乗り換えたら、まるで善意の第三者であるかのような口ぶりです。
この鉄面皮もまた藤岡氏と「つくる会」の特色です。)
それにしても、上記の原田氏の著書が出版される前に、育鵬社は公民教科書の検定申請をしているはずです。「江戸しぐさ」関係の記述が白表紙本でどうなっているか、仮に載っていた場合に検定意見が付いたのかどうか、検定側の姿勢も問われます。
3月末の検定結果公表が待たれます。
ただそれまでに、原田氏の指摘について、歴史学や歴史教育の分野での検討、後と付けの取り組みなどを集中的に進めておく必要があるように思います。
歴史学や歴史教育での関連情報をお持ちの方には、それらの共有化のための取り組みを宜しくお願いいたします。
また長くなってしまいました。 転載・拡散は自由です
皆さま 高嶋伸欣です
最近、道徳教育の教科化などとからめて日本文化の美点の具体例とされ、教科書にも登場している「江戸しぐさ」が、実は1980年代に創作された話でしかないとの指摘がされていることを、多くの方はすでにご存じと思います。
そのことを明確に指摘したのが、
原田実 著『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統』
星海社(せいかいしゃ)新書 2014年8月 886円(税込)
です。
大変読みやすく、ある出版社の編集者が「うまい編集ですね」と評していました。短い時間で読めます。関心のある方にはお勧めしています。
ところが、ところが、同書を藤岡信勝氏の「新しい歴史教科書をつくる会」が、会誌『史』1月号(108号)の書籍紹介欄「ブックエンド」で、次の様に推奨しているので、ビックリ!
「育鵬社の中学校公民教科書、東京書籍の小学校道徳副読本にて扱われ、平成26年からは文科省制定の小学校5・6年道徳教材にも採用された『江戸しぐさ』。しかし、その実態が実際の江戸の風俗からはかけ離れた偽りの伝統であることを本書は明らかにする。本会は、『南京』、『慰安婦』等を通じて文科省による教科書検定が歴史の捏造に防ぐ防波堤と成りえぬことをとうに理解しているが、江戸しぐさについても同様に文科省は無力である。教育現場からの速やかな追放のため、多方面からの批判が必要である。(H)」
育鵬社公民教科書では、第1章の第1節「現代社会の文化と私たちの生活」の「1 文化の意義と影響」のところで、「江戸しぐさ」のコラムを設けて、「傘かしげ(狭い路地などですれ違う際に、傘を外側に向けて相手にしずくがかからないように配慮する)」など3つの事例を紹介しています。イラスト付きです。
これらの事例について、上記の著書で原田氏は、傘(和傘)は贅沢品で庶民は頭にかぶる笠や蓑を使用していたので、当時の江戸でそうした場面が頻繁に必要になったかは疑わしい、などと批判しています。
そうした批判については、同書をご覧ください。
上記の『史』の文のオモシロイところは、
1)育鵬社版に対する批判を鮮明にしていること(敵意丸出しです)
2)文科省の道徳副教材の批判も容赦なくしていること(「つくる会」には「教育再生機構」のように『13歳の道徳教科書』のようなものを出版して、道徳教育の教科化に取り組む余力がまるでありません。藤岡氏の従前からの論法である”敵味方論”の健在ぶりが読み取れます。実に単純で分かり易く、オモシロイです)。
3)文科省の検定が「歴史の捏造を防ぐ防波堤になりえぬ」と露骨に批判していること(「つくる会」自身が歴史の捏造をした記述のある白表紙本を検定に申請し、それらの大半を検定で指摘されて修正に追い込まれてきた常習犯であるのだから、”盗人猛々しい限り”です。それに、安倍晋三氏たちが推している教科書でもあったので、手抜きの検定が行われて検定合格後の見本本や市販本段階で重要な「歴史の捏造」記述を私たちに指摘され、修正に追い込まれた事例も多数あります。自分たちが政治家と結託することで検定をそのような状況に追い込んでおきながら、頼りの政治家たちが別のグループに乗り換えたら、まるで善意の第三者であるかのような口ぶりです。
この鉄面皮もまた藤岡氏と「つくる会」の特色です。)
それにしても、上記の原田氏の著書が出版される前に、育鵬社は公民教科書の検定申請をしているはずです。「江戸しぐさ」関係の記述が白表紙本でどうなっているか、仮に載っていた場合に検定意見が付いたのかどうか、検定側の姿勢も問われます。
3月末の検定結果公表が待たれます。
ただそれまでに、原田氏の指摘について、歴史学や歴史教育の分野での検討、後と付けの取り組みなどを集中的に進めておく必要があるように思います。
歴史学や歴史教育での関連情報をお持ちの方には、それらの共有化のための取り組みを宜しくお願いいたします。
また長くなってしまいました。 転載・拡散は自由です
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