東京駒場で、理科読シンポジウムというのがあり、行きました。気仙沼の牡蠣養殖業者の畠山重篤さんという人が、講演をしました。海を豊かにするにはその上流の川がきれいで森が豊かでないといけないと、気仙沼の上流の岩手県の室根山という山に「森は海の恋人」というキャッチフレーズで植林運動を25年続けているそうです。川から流れ込む窒素、リン、カリウムはもちろんフルボ酸鉄という鉄分が植物プランクトン、動物プランクトンの発生には重要で、上流の山に鉄分が多いところの下流の汽水域がカキの養殖場として適し、良質な漁場にもなっているそうです。世界の漁場や養殖場は同じような条件のところが多く、海は森によって養われているということです。気仙沼も先の大津波で甚大な影響を受け、廃業も考えられたそうですが、地震後、海から岸からすべての生物が消え去り、1か月たっても戻らなかったが、プランクトンさえいれば海は戻ると、プランクトンを調べたところ、カキが食いきれないほどプランクトンがいることがわかり、再開可能と希望を持たれたそうです。海のがれきの処理がすんだ8月には、あっという間に海は戻り、カキの種付けがおこなわれ、正月には、いかだが沈みそうになるくらい立派なカキがとれたそうです。千年に一度という大津波で壊滅的な被害を受けたが、川と、上流の森さえ大丈夫であれば、海はあっという間に復活すると語られました。何度も地震や津波に襲われる三陸になぜ住むのかという人もいるが、それは、海がすみやかに復活するからだと。三陸の人は、海のことを太平洋銀行というそうです。海へ行けば、タダでお金になる。海さえ健全ならば、さらには森と川が健全ならば、食っていけるということです。世界各国の漁場、養殖場、鉄の産地とは関係があり、国際的な活動にも広がっているそうです。カキ養殖をとおして、生態系や、自然、環境との関係を明確に語られる姿は素朴でありならが、地に足のついた活動家でありました。