今回は、これまでのまとめ。
端的にまとめると日本語は、脳内の音映像にすぐアクセス出来るように特化した言語であると言える。
言い換えると、日本語は、人間の脳内の音映像をフルに活用するように発達した言葉である。
どうして、そうなったかというと、
●文字を長いこと持たなかったからである。
文字を持たないで情報にアクセスしたり操作したりするにはどうしたらいいか?
人間の脳内の音映像に直接アクセスすることである。
情報量が圧倒的に多いから、しっかり記憶されているからである。
それにはどうしたらいいか?
1.短く
2.リズム感があって
3.違いがよく分かり
4.音映像にアクセスしやすい言葉を使う
に尽きる。
1.の条件に当てはまるのが、5・7・5の俳句や川柳といった短詩形である。
もう少し長い5・7・5・7・7の短歌という形式もある。
しかし、ここではそれらの区別はあまり意味がない。
タイトルで述べたように、すぐ分かることが重要なのだ。
つまり、短いことが重要だ。
2.のリズム感があってというのは、5・7・5の入れ物そのものの持つ音楽性である。
テンポがいいのだ。
日本語は、音楽的な言葉ともいうことが出来る。
このことは、非常に重要で、リズム感があるので、覚えやすく、認識しやすいのだ。
コマーシャルが音楽を使うのは、そのためである。
3.の違いが良く分かるのは、オノマトペがその代表である。
それだけでなく、日本語は違いを重視する。
だから、日本語に表現しようとする意味合いの言葉が無ければ、英語でも、フランス語でも、イタリア語でも、漢字でも何でも言いたいことに最もピッタリする「音」や「言葉」を探し出す。
例えば、前に挙げた次の句。
「プレミアム」は、単に品質がいいとか、高級とか、高品質といった日本語とは全く違う。
上質で、それでいてなんか得したような気持ちと幸せ感が混合した素晴らしい状態を表現している。
そうした気持ちを表現するのに適当な言葉が日本語に無ければ、英語のプレミアムという言葉を取り入れる。
違いを的確に表現するために。
場合によっては、元の意味を変えたり、作り変えたりもする。
4.の音映像にしやすい言葉というのは、オノマトペが音そのものを表しているし、様子も表している。
プリウスは スーッキューんと 超静か
の句のスーッキューんがそう(日本語のススメ(4) - オノマトペを使うと本質を凝縮して、明解に表現出来る! -)
また、プリウスというように具体的な車名をあげるなどして、さっと思い浮かぶようにする。
また俳句では、次の自作の句のようにイメージが伝わる言葉を使う。
*返り花(11月頃、小春日和が続くと草木が季節はずれの花を咲かせること)
のように、桜の花のイメージが伝わるように、「返り花」という言葉を使う。
最初に、
「言い換えると、日本語は人間の脳内の音映像をフルに活用するように発達した言葉なのである。
どうして、そうなったかというと」
と書いたもう一つの理由は 、
「日本語で 5・7・5出来た! すぐわかる!」
と書いたことの中にある。
●日本語は、言葉によって人間の脳内の音映像をすぐわかって「共有」し、人間の感情の違いや豊かさを認め合いたいという根本的な欲求を持っているからである。
日本語は、そのことにより、より機微な言葉を創造したり、文化を創りあげたりもできる。
だから、もしあなたがそうしたければ、日本語を学ぶことが一番の近道であると私は考えている。
次回から少しずつ、具体的に日本語を学んでいきましょう。
日本語 5・7・5出来た! すぐわかる!
いよいよ実践編に入ります。
お楽しみに。
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