日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(693)「返り点」に対する「括弧」の「読み方」。

2020-08-22 15:20:30 | 返り点、括弧。

(01)
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
⑤〈 〉
に於いて、
① は「括弧」。
② も「括弧」。
③ も「括弧」。
④ も「括弧」。
⑤ も「括弧」。
であるとする。
(02)
①( 
②〔 
③[ 
④{ 
⑤〈 
に於いて、
① は「括 」。
② も「括 」。
③ も「括 」。
④ も「括 」。
⑤ も「括 」。
であるとする。
(03)
①  )
②  〕
③  ]
④  }
⑤  〉
に於いて、
① は「 弧」。
② も「 弧」。
③ も「 弧」。
④ も「 弧」。
⑤ も「 弧」。
であるとする。
(04)
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也。
に於いて、
① 非 は「」。
① 不 も「」。
① 求 も「」。
① 以 も「」。
① 解 も「」。
① 解 も「」。
であるとする。
(05)
② 我〈必{[〔(中国語)解法〕以(漢文)解]求}不者〉非也。
に於いて、
② 非 は「」。
② 不 も「」。
② 求 も「」。
② 以 も「」。
② 解 も「」。
② 解 も「」。
であるとする。
従って、
(04)(05)
(06)
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也。
に於いて、
① 非〈 〉⇒〈 〉非
① 不{ }⇒{ }不
① 求[ ]⇒[ ]求
① 以〔 〕⇒〔 〕以
① 解( )⇒( )解
① 解( )⇒( )解
といふ「移動」を行った「結果」として、
② 我〈必{[〔(中国語)解法〕以(漢文)解]求}不者〉非也。
といふ「語順」を得る
といふことは、
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也。
に於いて、それぞれの、
②「」を、「」に「移動する」。
といふことに、他ならない。
然るに、
(07)
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也。
に於いて、
① 非 は、〈 〉のを「読んだ直後に読む」。
① 不 は、{ }のを「読んだ直後に読む」。
① 求 は、[ ]のを「読んだ直後に読む」。
① 以 は、〔 〕のを「読んだ直後に読む」。
① 解 は、( )のを「読んだ直後に読む」。
① 解 は、( )のを「読んだ直後に読む」。
といふことは、
② 我〈必{[〔(中国語)解法〕以(漢文)解]求}不者〉非也。
といふ「語順」を、「からへ読む。」といふことに、「等しい」。
従って、
(01)~(07)により、
(08)
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也。
といふ「語順」を、
② 我は〈必ずしも{[〔(中国語を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求め}不る者に〉非ざる也。
といふ、「訓読語順で読む。」といふことは、
 (ⅰ)
 「以外は、「(普通に、)からへ読む。」
 (ⅱ)
 「」は、「括弧」を「読んだ直後に読む。」
といふことに、他ならない。
従って、
(08)により、
(09)
 (ⅰ)
 「以外は、「(普通に、)からへ読む。」
 (ⅱ)
 「」は、「括弧」を「読んだ直後に読む。」
といふ『ルール』に「従ふこと」によって、例へば、
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也。
といふ「語順」は、
② 我は〈必ずしも{[〔(中国語を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求め}不る者に〉非ざる也。
といふ、「訓読語順」で読むことが出来る。
然るに、
(10)
この漢語文法の基礎となっている文法的関係として、次の四つの関係(構造)をあげることができる。
(一)主述構造 主語―述語
(二)修飾構造 修飾語―被修飾語
(三)補足構造 叙述語―補足語
(四)並列構造 並列語―並列語
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、281・282頁改)
然るに、
(11)
 漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也。
に於ける、
 (ⅱ)
 「」は、「括弧の中」を「読んだ直後に読む。」
に於いて、
 「」といふのは、
(三)補足構造 叙述語―補足語
で謂ふ所の、
 「叙述語」である。
といふ、ことになる。
従って、
(09)~(12)により、
(13)
① 我非必不求以解中国語法解漢文者也=
① 我非必不中国語漢文也=
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也⇒
② 我は〈必ずしも{[〔(中国語を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求め}不る者に〉非ざる也。
といふ「漢文訓読」に於ける、
①〈 { [ 〔 ( ) 〕( ) ] } 〉
②〈 { [ 〔 ( ) 〕( ) ] } 〉
といふ「括弧」は、
(a)「漢文」の補足構造
(b)「国語」の補足構造
(c)「漢文訓読」の語順
といふ、「3つの事柄」を、表してゐる。
従って、
(13)により、
(14)
③ 我非必不求以解語法解文者也=
③ 我非必不語法上レ文者也=
③ 我非〈必不{求[以〔解(語)法〕解(文)]}者〉也⇒
④ 我は〈必ずしも{[〔(語を)解する法を〕以て(文を)解せんことを]求め}不る者に〉非ざる也。
といふ「漢文訓読」に於ける、
③〈 { [ 〔 ( ) 〕( ) ] } 〉
④〈 { [ 〔 ( ) 〕( ) ] } 〉
といふ「括弧」も、
(a)「漢文」の補足構造
(b)「国語」の補足構造
(c)「漢文訓読」の語順
といふ、「3つの事柄」を、表してゐる。
従って、
(13)(14)により、
(15)
① 我非必不求以解中国語法解漢文者也。
③ 我非必不求以解語法解文者也。
といふ「漢文」に於いて、両者の「補足構造」は、
①〈 { [ 〔 ( ) 〕( ) ] } 〉
③〈 { [ 〔 ( ) 〕( ) ] } 〉
といふ風に、「等しい」ものの、両者の「返り点」は、
① 地 レ 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 乙 レ 下 二 レ   一 上レ  甲
といふ風に、「等しく」はない
然るに、
(16)
① 我非必不中国語漢文也。
③ 我非必不也。
であるため、
① 地 レ 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 乙 レ 下 二 レ   一 上レ  甲
といふ「返り点(レ点あり)」は、
① 地 丁 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 地 丁 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
といふ「返り点(レ点なし)」に、「置き換へ」が可能である。
然るに、
(17)
① 地〈丁{丙[下〔二(一)上〕乙(甲)]}天〉
に於いて、
① 地〈 〉⇒〈 〉地
① 丁{ }⇒{ }丁
① 丙[ ]⇒[ ]丙
① 下〔 〕⇒〔 〕下
① 二( )⇒( )ニ
① 乙( )⇒( )乙
といふ「移動」を行ふと、
① 地〈丁{丙[下〔二(一)上〕乙(甲)]}天〉⇒
① 〈{[〔(一)二上〕下(甲)乙]丙}丁天〉地=
①    一 二 上 下 甲 乙 丙 丁 天 地。
従って、
(14)~(17)により、
(18)
① 地 丁 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 地 丁 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
といふ「返り点(レ点なし)」を、
① 地 レ 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 乙 レ 下 二 レ   一 上レ  甲
といふ「返り点(レ点あり)」に、「置き換へ」た。
といふ風に、「理解」するならば、その限りに於いて
① 地 レ 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 乙 レ 下 二 レ   一 上レ  甲
といふ「返り点(レ点あり)」であっても、
(a)「漢文」の補足構造
(b)「国語」の補足構造
(c)「漢文訓読」の語順
といふ、「3つの事柄」を、表してゐる。