日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(1002)「返読文字」としての「有(have)」について。

2021-10-27 17:25:21 | 漢文・述語論理

(01)
返読文字とは、そのような「他動詞」や「助動詞」以外に、日本語と逆の語順になる漢字のことです。
入試で頻出となる返読文字は以下です。
① 有無を表す表現 …「」「無」「多」「少」
(ViCOLLA Magazine)
然るに、
(02)
」は「もつ」が原義だから「・・・・がある」にあたり、「・・・・である」ではない。
(中沢希男、同訓異字辞典、1980年、21頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
(返読文字)」は、「他動詞」ではないと、言ふものの、
① 我父母。
② I have parents.
に於いて、
①=② であるため、
(have)」は、「他動詞」である。
然るに、
(04)
父母。
② have parents.
に於いて、
①=② であるが、
① は、「漢文」として、「正しい」が、
② は、「英文」として、「正しく」はない。
従って、
(04)により、
(05)
父母(父母あり)。
② 父母(父母あり)。
といふ「語順」に於いて、
① は、「漢文」として、「正しい」が、
② は、「漢文」として、「正しく」はない
従って、
(05)により、
(06)
①  世有伯楽 (世に伯楽有り)。
② 千里馬常 (千里の馬は常に有り)。
③ 千里馬常有之(千里の馬は常に、之れ有り)。
といふ「語順」に於いて、
② の「語順」は、「漢文」としては、「破格」である。
然るに、
(07)
② 常識、常備、常駐、常在
等がさうであるやうに、
② 常有
が、「名詞」であるならば、
② 千里馬(主語)+常有(述語)。
であるため、
② 千里馬常有(千里の馬は常に有り)。
であっても、「破格」ではない
然るに、
(08)
(ⅰ)
1  (1)  ~∀x(Fx)  A
 2 (2) ~∃x(~Fx)  A
  3(3)     ~Fa   A
  3(4)  ∃x(~Fx)  3EI
 23(5) ~∃x(~Fx)&
        ∃x(~Fx)  24&I
 2 (6)    ~~Fa   3RAA
 2 (7)      Fa   6DN
 2 (8)   ∀x(Fx)  7UI
12 (9)  ~∀x(Fx)&
         ∀x(Fx)  18&I
1  (ア)~~∃x(~Fx)  29RAA
1  (イ)  ∃x(~Fx)  アDN
(ⅱ)
1  (1)  ∃x(~Fx)  A
 2 (2)   ∀x(Fx)  A
  3(3)     ~Fa   A
 2 (4)      Fa   2UE
 23(5)  ~Fa&Fa   34&I
  3(6)  ~∀x(Fx)  25RAA
1  (7)  ~∀x(Fx)  136EE
従って、
(08)により、
(09)
① ~∀x(Fx)
② ∃x(~Fx)
に於いて、すなはち、
① すべてのxが、Fである。といふわけではない。
②   あるxは、Fでない。
に於いて、
①=② である(量化子の関係)。
従って、
(09)により、
(10)
① ~∀x{千里馬x→∃y(伯楽yx)}
② ∃x~{千里馬x→∃y(伯楽yx)}
に於いて、
①=② である(量化子の関係)。
然るに、
(11)
(ⅰ)
1 (1)~∀x{千里馬x→∃y(伯楽yx)} A
1 (2)∃x~{千里馬x→∃y(伯楽yx)} 1量化子の関係
 3(3)  ~{千里馬a→∃y(伯楽ya)} A
 3(4) ~{~千里馬a∨∃y(伯楽ya)} 3含意の定義
 3(5)   千里馬a&~∃y(伯楽ya)  4ド・モルガンの法則
 3(6)∃x{千里馬x&~∃y(伯楽yx)} 5EI
1 (7)∃x{千里馬x&~∃y(伯楽yx)} 136EE
(ⅱ)
1 (1)∃x{千里馬x&~∃y(伯楽yx)} A
 2(2)   千里馬a&~∃y(伯楽ya)  A
 2(3) ~{~千里馬a∨∃y(伯楽ya)} 2ド・モルガンの法則
 2(4)  ~{千里馬a→∃y(伯楽ya)} 3含意の定義
 2(5)∃x~{千里馬x→∃y(伯楽yx)} 4EI
1 (6)∃x~{千里馬x→∃y(伯楽yx)} 125EE
1 (7)~∀x{千里馬x→∃y(伯楽yx)} 6量化子の関係
従って、
(11)により、
(12)
① ~∀x{千里馬x→∃y(伯楽yx)}
② ∃x{千里馬x&~∃y(伯楽yx)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて、xが千里馬であるならば、あるyがxの伯楽である。といふわけではない。
② あるxは、千里馬であって、xの伯楽であるyは、存在しない。
に於いて、すなはち、
① すべての千里馬に対して、伯楽がゐる。といふわけではない。
② 伯楽がゐない所の、千里の馬がゐる
に於いて、
①=② である。
然るに、
(13)
千里馬常有、而伯楽不常有
千里の馬は常有れども、伯楽は常には有らず。
一日に千里走る名馬はいつもいるのであるが、(これを見わける)伯楽はいつもいるとはかぎらないのである。
◇ 千里馬常有、而伯楽不常有
「不常~」は「常ニハ~ず」と読み、「いつも~とはかぎらない」の意を示す一部否定の形。
全部否定は「常不」の形で「常に~ず」と読み、「いつもかならず~ない」の意味をあらわす。
(旺文社、漢文の基礎、1973年、153・4・5頁)
従って、
(12)(13)により、
(14)
① 千里馬常有、而伯楽不常有
といふ「漢文(部分否定)」は、
① ~∀x{千里馬x→∃y(伯楽yx)}.
といふ「述語論理式」に、「相当」する。