日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(1000)「漢文」に於ける「提示語」について。

2021-10-23 11:19:01 | 漢文の文法

(01)
① 鳥吾知其能飛=
① 鳥吾知(其能飛)⇒
① 鳥吾(其能飛)知=
① 鳥は吾(其の能く飛ぶを)知る=
① 鳥についていえば、(わたしはそれが飛ぶ能力のあることを)知っている(西田太一郎 訳)。
(02)
② Birds,I know that they can fly=
② Birds,I know[that〔they can(fly)〕]⇒
② Birds,I [〔they (fly)can〕that]know=
② 鳥たち、私は[〔彼らが(飛べ)る〕といふことを]知ってゐる。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 鳥吾知其能飛。
② Birds,I know that they can fly.
に於いて、
①=② である。
然るに、
(04)
that の作る名詞節が主節の目的語になる場合:
主節の動詞が日常会話でよく使う、think、say、know、hear などの場合には省略されることが多いです。
I know (that) he went with her.(彼が彼女と付き合っていたのを知っている)
(英文中のthatが「省略」される場合はどんな時か?)
従って、
(03)(04)により、
(05)
① 鳥、吾知其能飛。
② Birds,I know they can fly.
に於いて、
①=② である。
然るに、
(06)
①   鳥=其
② Birds=they
従って、
(05)(06)により、
(07)
「番号」を付け直すと、
① 鳥、吾知其能飛。
② 鳥、吾知鳥能飛。
③ Birds,I know they can fly.
④ Birds,I know Birds can fly.
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(07)により、
(08)
① 鳥、吾知其能飛。
③ Birds,I know they can fly.
といふ、
① 漢文
③ 英文
は、両方とも、
①『「従属節の主語β」が、「主節の主語α」の前に、前置されて、「従属節の主語β」が、「代名詞γ」に置き換はった、「文型」である。』
②『「従属節の主語β」が、「主節の主語α」の前に、前置されて、「従属節の主語β」が、「代名詞γ」に置き換はった、「文型」である。』
然るに、
(09)
  第17節 大主語提示語・副詞的修飾語
主語・述語の順序で並べられた文章で、述語の上に置かれる語が一つの主語ではなく、主語が重なっている場合がある。
また何かについて述べようとしてその語をまず先に掲げておいて、その次にそれについて具体的に説明する場合がある。
そのほか行為や事件のあった時や所を何の媒介する語もなしで述語より前に置くことがある。
(西田太一郎、漢文の語法、1980年、120頁)
従って、
(09)により、
(10)
提示語」とは、 「何かについて述べようとしてその語をまず先に掲げておいて、その次にそれについて具体的に説明する場合の語」を言ふ。
従って、
(08)(09)(10)により、
(11)
① 鳥、吾知其能飛。
③ Birds,I know they can fly.
といふ、
① 漢文
③ 英文
は、両方とも、
①『「従属節の主語β」が、「提示語」として、「主節の主語α」の前に、前置されて、「従属節の主語β」が、「代名詞γ」に置き換はった、
「文型」である。』
②『「従属節の主語β」が、「提示語」として、「主節の主語α」の前に、前置されて、「従属節の主語β」が、「代名詞γ」に置き換はった、
「文型」である。』
従って、
(12)
① 鳥吾知其能飛。
といふ「漢文(史記、老荘申韓列伝)」は、「提示語・主節の主語・従属節の主語」といふ「用語」によって、「高校生にも理解可能な形」で
「説明」出来る。
従って、
(13)
逆に言ふと、「主節の主語・従属節の主語」といふ「用語」を用ひなければ、
① 鳥吾知其能飛。
といふ「漢文(史記、老荘申韓列伝)」は、「高校生にも理解可能な形」で「説明」することは、出来ない。
cf.
これを、諸君たち得意の英文法の用語でいえば、「従属節の主語が主節の主語の前に置かれた強意の構文」てなことになろう。
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年、329頁)
然るに、
(14)
主語」を廃止しようというのは、この用語のままでは困るからである。困ることが前提である。だから、まず困ってもらわないと、困るのである。困ったことには、まず困るというところへも行かない人がかなり多いらしい。
(三上章、日本語の論理、1963年、148頁)
従って、
(13)(14)により、
(15)
(ⅰ)これを、諸君たち得意の英文法の用語でいえば、「従属節の主語が主節の主語の前に置かれた強意の構文」てなことになろう。
(ⅱ)「主語」を廃止しようというのは、この用語のままでは困るからである。困ることが前提である。
とは、言ふものの、
(ⅱ)「主語」といふ「用語」を廃止する。
といふのであれば、私自身は、例へば、
① 鳥吾知其能飛=
① 鳥吾知(其能飛)⇒
① 鳥吾(其能飛)知=
① 鳥は吾(其の能く飛ぶを)知る=
① 鳥についていえば、(わたしはそれが飛ぶ能力のあることを)知っている(西田太一郎 訳)。
といふ「漢文訓読」を、「理解」出来ない。
といふ、ことになる。
従って、
(16)
(ⅱ)「主語」といふ「用語」を廃止する。
といふのであれば、私自身は、「大いに、困る」ことになる。
(17)
困ったことには、まず困るというところへも行かない人がかなり多いらしい。
とは、言ふものの、「三上文法」は、「日本語の古典文法(学校文法)」よりも、はるかに難しくて、困ったことに、私には、全く、理解出来ない