日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(11)「象は鼻が長いなぁ」の「は」について。

2018-03-17 15:58:25 | 「は」と「が」
(01)
三上章と言へば『象は鼻が長い』。そして『象は鼻が長い』と言えば「くろしお出版」なのだ(金谷武洋、主語を抹殺した男、2006年、213頁)。
然るに、
(02)
「普通」は、
① 象鼻が長い=
全ての象は鼻は長い。
といふ、「意味」である。
然るに、
(03)
ある性質Pがあったとき「Pをみたすものの全体」を{x│P(x)}の形で表して集合とよぶわけです。
集合をいちいち{x│P(x)}のような形で表さないで、A={x│P(x)}と置いて、単に集合Aと表現します。
a∈A のとき「aはAの元である」とか「aはAの要素である」といいます。元もしくは要素は、elementの訳です。さらに「aはAに属する」と表現します。
(竹内外文、集合とは何か、2001年、22頁改)
従って、
(02)(03)により、
(04)
① 象鼻が長い。
に於いて、
① 象=全ての象={x│象(x)}
は、{集合としての象}である。
然るに、
(05)
①{全ての人(人の集合)}を見たことがある人が、「一人もゐない」やうに、
①{全ての象(象の集合)}を見たことがある人も、「一人もゐない」。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① 象=全ての象={x│象(x)}
であるところの、「集合としての象」を、見たことがある人は、「一人もゐない」。
然るに、
(07)
はな子(はなこ、1947年 - 2016年5月26日)は、東京都武蔵野市の井の頭自然文化園で飼育されていたメスのアジアゾウである[1](ウィキペディア)。
従って、
(03)(07)により、
(08)
② はな子∈{x│象(x)}
であるところの、「はな子」は、「象といふ集合の要素」としての、「象の、はな子」である。
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
①{全ての象(象の集合)}を見たことがある人は、「ゐない」。
②「はな子(集合の要素)」を見たことがある人は、「 多い 」。
然るに、
(10)
「(4)番目の記事」で「説明」したやうに、
② ABである=AはBであって(A以外はBでない)。
③ ABである=(A以外ではない所の)AがBである。
に於いて、
② は、「終止形としての排他的命題」であって、
③ は、「連体形としての排他的命題」である。
従って、
(11)
② 象ゐる。
と言ふのであれば、
はな子のやうな(要素としての)、
② 象ゐる=象はゐて(象以外はゐない)。
といふ「意味」になる。
然るに、
(12)
例へば、
② 象ゐる=
② 象はゐて(象以外はゐない)。
と言ふのであれば、
②(今、その人の目の前には)象はゐて(象以外はゐない)。
といふ、ことになる。
従って、
(06)(12)により、
(13)
① 象鼻が長い。
② 象ゐる。
に於いて、「普通」は、
① 象鼻が長い=全ての象は鼻は長い。
② 象ゐる  =象はゐて(象以外はゐない)。
といふ、「意味」になる。
従って、
(14)
② 象ゐる   =象はゐて(象以外はゐない)。
② 富士山見える=富士山は見えて(富士山以外は見えない)。
とは言っても、厳密には、
②(象以外はゐない)。
②(富士山以外は見えない)。
といふわけではない。といふことは、確かに、その通りである。
然るに、
(15)
② 心不於他、視而不見=
② 心不〔在(於他)〕、見而不(視)⇒
② 心〔(於他)在〕不、視而(見)不=
② 心〔(他に)在ら〕不れば、見れども(視え)不=
② 心が他に向いてゐないのであれば、目に入っても見えない
であるため、
②「象」だけに、  「関心」が向いてゐる際に、
②「富士山」だけに、「関心」が向いてゐる際に、
② 象ゐる   =象はゐて(象以外はゐない)。
② 富士山見える=富士山は見えて(富士山以外は見えない)。
としても、「不都合」にはならない
従って、
(04)(15)により、
(16)
① 象鼻が長い。
② 象ゐる。
に於いて、
①{象}は、{集合としての象}であって、
②「象」は、{象}といふ{集合}の「要素としての象」である。
然るに、
(17)
If an arbitrarily selected object can be shown to have a property, everything must have it(E.J.Lemmon, Begginning Logic).
任意に選ばれた対象がある性質を持つならば、すべてのものはその性質をもたねばならない(E.J.レモン 著、竹尾 治一郎・
浅野楢英訳、1973年、136頁)。
といふ「規則」を、「普遍量記号導入の規則(UI)」と言ふ。
従って、
(17)により、
(18)
③ 象鼻が長いなぁ。
と言ふのであれば、
③(任意に選ばれた象がもつ性質から判断して)象といふ(動物の)鼻は長いなぁ。
といふ風に、述べてゐる。
従って、
(18)により、
(19)
③ 象鼻が長いなぁ。
に於ける、
③{象}は、「普遍量記号導入の規則(UI)」に基づく、{集合としての象}である。
従って、
(16)(19)により、
(20)
① 象鼻が長い。
② 象ゐる。
③ 象鼻が長いなぁ。
に於いて、
①{象}は、{集合としての象}であって、
②「象」は、{象}といふ{集合}の「要素としての象」であって、
③{象}は、「普遍量記号導入の規則(UI)」に基づく、{集合としての象}である。
従って、
(20)により、
(21)
② 象ゐる。猫ゐる。犬ゐる。朱鷺ゐる。お爺さんとお婆さんゐる。
の場合は、全て、
②{集合の要素}としての、「象、猫、犬、朱鷺、人、お爺さんとお婆さん」である。
(22)
次回の「予定」⇒「お爺さんが川へ洗濯に」の「が」について。