この『Dの食卓 コンプリートグラフィックス』を近所のBOOK OFFで見かけた時に、そういえば飯野賢治氏の作品をプレイした事がないということに思い当たり、105円という安さにもつられて買ってしまいました。飯野賢治氏はゲーム業界では有名で、破天荒な言動ゆえに風雲児と言われておりましたが、2013年に心不全で42歳の若さで亡くなりました。ゲームの文法にとらわれず自分の求める作品像を妥協せずに追求する姿勢は一貫しており、才能と行動力に溢れた人物であったと見受けました。
その飯野賢治氏の出世作となったのが3DOに発売された『Dの食卓』で、プレイステーション用の『コンプリートグラフィックス』は主に画質を向上させたもののようです。なんでも飯野氏は80年代始め頃の海外PCアドベンチャー『トランシルバニア』をプレイしており、それに大きな影響を受けて作ったのが『Dの食卓』だそうです。私は『トランシルバニア』の名前と画面写真くらいにしか接した事はありませんが、非常にメジャーな作品でした。
タイトルが非常に印象的ですが、「D」とは何かといえば、この手の作品で「D」といえばあれしかありません。しかもトランシルバニアというのもヒントですね。ゲームの内容は、主人公ローラが精神世界にある城の中で謎を解きながら父親を捜して真実を知る、というものです。精神世界はともかく、建物の中を探索しながら謎を解くというのは非常に古いアドベンチャーゲームのフォーマットをなぞっています。移動して、目の前の物を調べて、アイテムを使うという極めて普通の体裁です。しかもその謎解きを2時間以内に完了しなければならないというルールがあります。それも『トランシルバニア』で5時間以内に解く(実際はコマンド入力回数に制限がある)というシステムに大きく影響されたものでしょう。
用意された謎というのも、ほとんど謎のための謎という趣で、合理性はほとんどありません。ただし難易度は低く、移動できる範囲も広くないので、頑張れば40分程度でクリアできると思われます。2時間という制限をつけたため、ゲームの途中経過を保存することができないことになっていますが、ディスク交換の際に途中経過をメモリーカードに保存しているようなので、そのデータをコピーしておけばディスク交換の地点から再開する事ができます。ただしこのプレイ方法は飯野氏の意図とは異なるでしょうけど。
ここまで読んでもこのゲームの独自性がわからないかもしれませんが、飯野氏がこの作品でやりたかった事は、映画のような体験の提供なのでした。ケースの裏側にも「インタラクティブ・シネマ」と書いてあります。このような「インタラクティブ」とか「シネマ」という言葉には「ゲーム性はありません」と言っているようなニュアンスがあります。けれども本作はゲームの記号的な謎をそのままシネマ風に変換したものであり、それが本作の味であるとも言えます。2時間縛りというのもシネマ的であると同時にゲーム的なルールになっています。後のフォロワーがシネマ部分にばかり目を奪われて、ムービーの合間にミニゲームをこなすような作品ばかり作ったのとは一線を画していると言えましょう。
さて以下は私のプレイメモ。ネタバレあり。
1回目
とりあえず時間経過を気にしないで慎重に進める。コンパクトミラーを使うとヒントの映像が映るが、何度も使ったら壊れた。金庫に2桁の数字合わせの謎があったが、何回か適当に入力したら偶然に解けた。甲冑の騎士に何度も落とされて時間がかかった。ここのキー入力タイミングは速くても遅くても駄目なのが少しシビア。望遠鏡で星座を覗き込むところで時間切れバッドエンド。
2回目
ディスク入れ替えの際に中断データをコピーしながら進める。前回プレイで解いた謎はもはや単なる作業。ところが、『Dの食卓』というタイトルに関わる玉虫イベントというムービーパートが発生する場所が変化していた。その後は順調に進んで、コンパクトミラーを使う事も無く父親に出会うが、暴走した父親に近づいたらバッドエンド。
3回目
メモリーカードのデータを利用して、父親に会う少し前から開始。最後の玉虫イベントを回収。父親を撃ったらベストエンド到達。スタッフロールで飯野氏や開発スタッフの写真が出てきてちょっと引いた。
4回目
前回と同じ地点から始めて、玉虫イベントを回収せずにクリア。エンディングはほぼ同じだが、最後の音声が流れず、全部の映像を見ていないとのメッセージ。
これ以外のエンディングがありましたらお知らせいただけると幸いです。
おまけ:終盤のレバーの謎の簡単な解法
(1) 左レバー中段、右レバー下段、ボタン2回押す
(2) 左レバー下段、右レバー下段、ボタン3回押す
オープニングムービー。動画のオチが笑えます。
その飯野賢治氏の出世作となったのが3DOに発売された『Dの食卓』で、プレイステーション用の『コンプリートグラフィックス』は主に画質を向上させたもののようです。なんでも飯野氏は80年代始め頃の海外PCアドベンチャー『トランシルバニア』をプレイしており、それに大きな影響を受けて作ったのが『Dの食卓』だそうです。私は『トランシルバニア』の名前と画面写真くらいにしか接した事はありませんが、非常にメジャーな作品でした。
タイトルが非常に印象的ですが、「D」とは何かといえば、この手の作品で「D」といえばあれしかありません。しかもトランシルバニアというのもヒントですね。ゲームの内容は、主人公ローラが精神世界にある城の中で謎を解きながら父親を捜して真実を知る、というものです。精神世界はともかく、建物の中を探索しながら謎を解くというのは非常に古いアドベンチャーゲームのフォーマットをなぞっています。移動して、目の前の物を調べて、アイテムを使うという極めて普通の体裁です。しかもその謎解きを2時間以内に完了しなければならないというルールがあります。それも『トランシルバニア』で5時間以内に解く(実際はコマンド入力回数に制限がある)というシステムに大きく影響されたものでしょう。
用意された謎というのも、ほとんど謎のための謎という趣で、合理性はほとんどありません。ただし難易度は低く、移動できる範囲も広くないので、頑張れば40分程度でクリアできると思われます。2時間という制限をつけたため、ゲームの途中経過を保存することができないことになっていますが、ディスク交換の際に途中経過をメモリーカードに保存しているようなので、そのデータをコピーしておけばディスク交換の地点から再開する事ができます。ただしこのプレイ方法は飯野氏の意図とは異なるでしょうけど。
ここまで読んでもこのゲームの独自性がわからないかもしれませんが、飯野氏がこの作品でやりたかった事は、映画のような体験の提供なのでした。ケースの裏側にも「インタラクティブ・シネマ」と書いてあります。このような「インタラクティブ」とか「シネマ」という言葉には「ゲーム性はありません」と言っているようなニュアンスがあります。けれども本作はゲームの記号的な謎をそのままシネマ風に変換したものであり、それが本作の味であるとも言えます。2時間縛りというのもシネマ的であると同時にゲーム的なルールになっています。後のフォロワーがシネマ部分にばかり目を奪われて、ムービーの合間にミニゲームをこなすような作品ばかり作ったのとは一線を画していると言えましょう。
さて以下は私のプレイメモ。ネタバレあり。
1回目
とりあえず時間経過を気にしないで慎重に進める。コンパクトミラーを使うとヒントの映像が映るが、何度も使ったら壊れた。金庫に2桁の数字合わせの謎があったが、何回か適当に入力したら偶然に解けた。甲冑の騎士に何度も落とされて時間がかかった。ここのキー入力タイミングは速くても遅くても駄目なのが少しシビア。望遠鏡で星座を覗き込むところで時間切れバッドエンド。
2回目
ディスク入れ替えの際に中断データをコピーしながら進める。前回プレイで解いた謎はもはや単なる作業。ところが、『Dの食卓』というタイトルに関わる玉虫イベントというムービーパートが発生する場所が変化していた。その後は順調に進んで、コンパクトミラーを使う事も無く父親に出会うが、暴走した父親に近づいたらバッドエンド。
3回目
メモリーカードのデータを利用して、父親に会う少し前から開始。最後の玉虫イベントを回収。父親を撃ったらベストエンド到達。スタッフロールで飯野氏や開発スタッフの写真が出てきてちょっと引いた。
4回目
前回と同じ地点から始めて、玉虫イベントを回収せずにクリア。エンディングはほぼ同じだが、最後の音声が流れず、全部の映像を見ていないとのメッセージ。
これ以外のエンディングがありましたらお知らせいただけると幸いです。
おまけ:終盤のレバーの謎の簡単な解法
(1) 左レバー中段、右レバー下段、ボタン2回押す
(2) 左レバー下段、右レバー下段、ボタン3回押す
オープニングムービー。動画のオチが笑えます。
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