大賀ハスのふるさとの会

東京大学からハス見本園の管理を引き継ぎ、観蓮会の開催・ ハス文化の継承と普及を行うため組織されたボランティア団体です

2018年2月24日 ユネスコ世界遺産セミナーと大賀ハスのふるさとの会

2018-02-25 16:58:37 | 日記

2018年2月24日、千葉市花園公民館で「ユネスコ世界遺産セミナー 地域活動・生活と世界遺産」が開催され、地域の活動例として大賀ハスのふるさとの会が取り上げられました。

プログラムの前半では、世界遺産アカデミー主任研究員 宮澤光氏が講演を行いました。

最初に、ユネスコ世界遺産を説明するにあたって、UNESCO憲章の前文の一部が紹介されました。 「戦争は人の心の中に生まれるものだから、人の心の中にこそ、平和のとりでを築かなければならない。相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界中の人々の間に疑惑と不信を引き起こした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、世界中の人々の差異があまりにも多くの戦争を引き起こした。」

その関連で、まず日本の原爆ドームが「広島平和記念碑」として世界遺産に登録された話が出ました。それは登録理由が原爆投下の是非とは関係なく、あくまでも長年にわたる市民の平和運動・地域活動が評価されたからというものでした。

次に、岩手県の平泉の世界遺産登録があがりました。平泉は、ユネスコに仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群として登録され、保護が進められています。建物だけでなく周辺全体の景観保護、つまり世界遺産を中心としたまちづくりのコンセプトです。ところが、いったん登録されても、ウィーンの歴史地区のように、旧市街が再開発されて景観を破壊する恐れがあると、ユネスコから危機遺産リストに記載されることもあるそうです。

最後に、まとめとして次の3点があげられました。

1.世界中の大切なものを守り、次の世代に伝えてゆく

2.地域の文化を再発見する

3.世界には多くの人々が暮らし、多様な文化や自然があることを知る

プログラムの後半では、大賀ハスのふるさとの会から金子健一郎会長が大賀ハスの発掘の歴史と会の成り立ち、主な活動を紹介しました。

おおきな世界遺産の話から、今度は身近な地域の話かと思われたのが、再び大賀一郎博士の世界的な発見である大賀ハスの話とその意義・価値に触れ、会場は聞き入ります。「ハスは平和の象徴なり」という大賀博士の言葉が登場しました。

会の具体的な活動報告を会員O氏が行います。大賀ハスのふるさとの会が行う夏の観蓮会、大賀ハスのシンポジウム、ハスの栽培講習会、地域の学校でのハスの講演や栽培実習、地域の公園や施設の大賀ハスの管理などが簡単に説明されました。定期的に行っている千葉市検見川の蓮の見本園の管理の様子も報告され、活動の拠点である旧東大植物実験所の空からのドローン映像が流されました。

会員Y氏は、大賀ハスのふるさとの会と千葉市まちづくり未来研究所との関わりやその活動を紹介しました。

セミナーの質疑応答では、今後の大賀ハスのふるさとの会の方向性について質問・意見が出ました。この会の活動を持続可能にしていくには、地域の人材育成がもっと求められるのではないか。まず大賀ハスとその環境を守る価値、意味づけをもっと具体的に考える。そのうえで、子供たち、若い人たちにとって大賀ハスの活動はメリットがある、リターンがあると感じてもらうこと。この活動がどれだけのプラスがあるのかを実感させて、価値を植えつけていくことが必要なのではないか。などなどでした。

肝心の蓮を毎年ちゃんと咲かせながら、さらに充実した効果的な活動を。バランスが問われます。うーむ、と考えさせられるセミナーでした。

報告は以上です。


(担当: れい)

コメント (1)
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