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道徳の評価について №204

2013-11-21 15:29:19 | インポート
 文部科学省の有識者会議「道徳教育の充実に関する懇談会」は平成25年11月11日、正式な教科となっていない小中学校の「道徳の時間」を教科に格上げするべきだとする報告書案を示しました。ただし、評価については、他の教科と異なり、「数値による評定」は不適切とし、児童生徒が成長を振り返ったり、学校側が指導の改善に生かしたりするため、「記述式の評価」を検討すべきだとしています。また、指導に必要な教員免許は設けず、授業は小中ともに担任が受け持つとされています。
 現行の学習指導要領では「道徳教育は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、豊かな心をもち、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図るとともに、公共の精神を尊び,民主的な社会及び国家の発展に努め、他国を尊重し、国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓く主体性のある日本人を育成するため、その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。」とされています。
 反対する立場の人達からは、特定の価値観を教えることにつながりかねないという反発があるほか、いじめ問題にこと寄せて政府のいう「愛国心」をかなめとする国家主義的な道徳教育のいっそうの徹底をはかろうとするものではないかという批判が出ています。
 そもそも道徳は評価になじむのかという疑問を抱く人も多いかと思いますが、アメリカの心理学者ローレンス・コールバーグ(1927年~1987年)は、「道徳性発達理論」の中で、人間の道徳的判断は3つのレベルと6つの段階をもつと述べています。
 レベルⅠは、前道徳的あるいは、慣習以前のレベルと呼ばれるものです。その第1段階は道徳発生以前の無道徳の時期であり叱られなければ良いという段階です。第2段階は、罰を恐れ、権威のある者に服従する段階です。つまり、この水準にいる就学前から8歳位までの子どもは、規則を守り大人が求める規則に従いますが、それは、そうすることが正しいことというよりは、罰を避けたり報酬を得るために行動する段階だといわれています。
 レベルⅡは慣習的レベルと言われる段階です。第3段階の自己の利害を考えて行動する日和見主義的段階と、第4段階の周囲の期待に応えて行動しようとする段階です。このレベルでは先生や親からの承認を得ようとしてそれに同調し、「よい子」としてふるまうようになるといわれています。
 レベルⅢは自律的、道徳的原理による判断の段階です。第5段階が契約と民主的に受容された規則に従う段階で、第6段階は、それぞれの小さな規則よりも、もっと根本的・普遍的な原理から自律的な行動ができる段階です。このレベルでは法や規則にしばられずに普遍的な原理にしたがって道徳性を判断できるようになるといわれています。
コールバーグは道徳性の発達レベルを測定するために、愛する人を救うために犯罪を犯してしまうというような、「モラルのジレンマ」がある物語を使って考えさせ、どの道徳レベルで認知するかによって道徳性の発達レベルを決定するように提唱しています。
 簡単なことではありませんが、発達段階の目安があれば評価することも可能ではないかと思いますが。
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