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防衛省次官人事に関する感想(続)

2007-08-17 14:15:38 | 時事問題
小池防衛相と守屋防衛次官の対立の話題がやまない。小池防衛相の守屋次官更迭は、クーデタのようである。大物次官守屋氏の抵抗を予想して、おそらく事前に伝えずに(あるいはぎりぎりの段階で伝えて)更迭しようとしたのであろう。さらに後任は守屋氏の息のかからない、警察出身の西川鉄矢官房長にするという念の入れようだ。

次官更迭の理由は、防衛省内で滞っている人事を一掃するため、沖縄に対する守屋氏の強引なアプローチを変える等と報道されている。

問題は小池防衛相の官邸との連携であった。人事検討会議にこの案件を諮るために塩崎官房長官への連絡が遅れたとされることである。このために次官更迭人事は15日の閣議では了承されず、27日に先送りすることとなった。(連絡遅れとされているが、あるいは小池氏は、塩崎氏をすっ飛ばして、首相に連絡しているのかもしれない。塩崎氏の反応は、このようなことに対する意趣返しともとれないことはない)

27日先送の意味は、新防衛相が次の次官を決めるというである。新聞報道では小池氏留任ということらしいから、おそらく27日に上記の人事が決定されるということなのであろう。もっとも政界は一寸先は闇であるから、何が起こるか分からない。騒ぎが大きくなったので、小池氏防衛相更迭もあり得る。

本日は読売、毎日、産経社説がこの問題を取り扱っている。それぞれ論旨は、小池氏の慎重さを欠いた人事を批判し、さらには守屋氏の行動をつよく批判するものであった。

異なるのは安倍首相の責任をどう見るかである。産経は、次のように、なるべく安倍首相を庇うように努めている。
「安倍晋三首相が政権立て直しの方向性をまだ打ち出せない時期だけに、その指導力を問う声もある。しかし、この程度の人事で首相がいちいち振り回されるようでは困る。人事能力を備えた人物を閣僚に起用すべきである。」(産経)
しかし「人事能力を備えた人物を閣僚に起用すべきである」では、小池氏を起用した安倍首相の責任を否定し切れていない。

他方、読売、毎日では、安倍首相の責任を問うている。
「安倍内閣では、閣僚4人の交代や相次ぐ失言などで、閣僚の資質や首相の任命責任が問題視されてきた。今回の官房長官と防衛相の対立や、防衛省内の内紛についても、首相の管理能力を問う声が出ている。
安倍首相は、内閣の長として、体制をきちんと立て直す責任がある。」(読売)
「最も問題なのは官邸の指導力の欠如であり無責任さだ。
 …小池氏はすでに安倍晋三首相に相談をしていると、首相のお墨付きをちらつかせるが、首相は「まだ私には上がってきていない」と静観を決め込んでいる。塩崎氏とともに火中のクリは拾わないという傍観者的な態度である。」(毎日)
各紙は、今、緊急事態が起きたらどうするのかととりあえず凄んでいるが、そんなことは起きるはずがないと考えている人が多いことを、今回の事件は裏書きしているのであろう。平和な日本万歳である。
コメント
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