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スピルバーグと北京五輪

2007-08-09 19:46:10 | 時事問題
北京五輪を1年後に控えて、中国はカウントダウンのイベントなど多彩な催しをしている。他方西側のNGOは、中国の人権問題改善の好機とみて様々な活動をしている。

中国五輪当局者は、西側NGOの北京五輪の政治目的利用に警告をしている。しかしそもそも北京五輪自体が、中国の国威発揚の政治目的で行われようとしているのであるから、はなしはそう単純ではない。

そのようなことを取り上げた記事("One Year Out From Olympics, A Test of Openness in Beijing" ,August 7, 2007, washingtonpost.com)の中で、スティーブン・スピルバーグが北京五輪開会式の芸術アドバイザーとして参加することから身を引くことを考えていると、彼のスポークスマンであるアンディ・スパーン氏が述べているというくだりを目にした。

ダルフール虐殺で頑なな態度をとっているスーダン政府を、中国が支持していることに抗議をしている団体が、彼に対して「スピルバーグは、北京五輪のレニ・リーフェンシュタールとして歴史に名前を残したいのか」という批判を以前から行っていた。レニ・リーフェンシュタールは、ナチス・ドイツが開催したベルリン五輪の公式映画監督である。この批判が出た後の今年5月、スピルバーグ氏は、胡錦濤国家主席に関してスーダンに圧力を掛けることを求める書簡を出した。

このことが功を奏したのかどうか知らないが、国連安全保障理事会は7月31日、ダルフール地方の平和維持活動のため、国連とアフリカ連合が合同部隊を派遣する決議を全会一致で採択したという。

この事実があるので、8月7日付のスピルバーグの発言に「おや」と思ったのだ。この決議がなされているのであるから、スピルバーグが北京五輪の開会式のプロデュースに参加すると書かれていてもおかしくないからだ。しかしまだまだ中国の人権問題を批判するNGOの発言が、かまびすしい時期なので、スピルバーグ氏は、事態が沈静化するのを待っているのであろうか。

件の記事によれば、中国の五輪当局者は「監督は開会式のプロデュースを申し出たが、まだ契約は調印されていない。私たちはスピルバーグ氏の参加を歓迎する」とは述べている。
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