小泉首相と森前首相の関係について、毎日新聞ウェッブに面白い記事が載っていた。「土曜解説:首相と森氏の関係」である。
自民党総裁選を展望するとき、この二人の関係の見極めがポイントになるという。現在、森派から安倍晋三、福田康夫の両氏がポスト小泉の有力候補者とされている。ここで脱派閥型の選挙を掲げる小泉首相と、派閥会長として融和を重んじる森氏の論理が食い違っている。しかしこれは結局は役割分担であり、最終的には森派候補は一本化されるという見方が強いとしている。(http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/kaisetsu/news/20060527ddm004070052000c.html
)
「『干からびたチーズ』の第二幕かもしれないな」。これは、以上のような森・小泉の関係を評したベテラン議員である。なかなかうまく表現していると思う。「干からびたチーズ」とは、次のことを指す。
「昨年の「郵政解散」の際、森氏は首相公邸で解散見送りの直談判に失敗した直後、ビールの空き缶を手に記者団の前に現れ、つまみの「干からびたチーズ」(実際はフランス産高級チーズ)とともに、嘆いてみせた。しかし、森氏によると、これは首相と打ち合わせたうえでの、芝居だったという。切られ役となった森氏の姿は首相の決意を宣伝する格好の材料となり、自民の衆院選圧勝を経て森派は最大派閥の座を、揺るぎなきものにした。」
フランス産の高級チーズは、ミモレットというものであるらしい。小泉首相は意識しなかったかもしれないが、ドゴール大統領の好物でもあったという。
雪斎の随想録
じゃあ今回はどうなるの?というと「首相にとっては小泉路線の継承、森氏にとっては分裂回避が譲れない一線。逆にこの前提が両立するなら、安福対決の回避に向け、首相と森氏が話し合う余地はあるとみるべきだ。」
私も全く同感である。森派は安倍さんに一本化されるでしょう。小泉後は、基本的に「小泉路線」を引き継ぐ、自民党員からの支持の強いリーダーが総理総裁となると考える方が無難であるからだ。
毎日新聞はこの記事の前日26日の社説で「自民総裁選 福田さんも手を挙げては」を掲げた、安倍官房長官が7月中旬の主要国首脳会議後に出馬表明する意向を示したことを受けてのものである。福田康夫氏が反小泉の受け皿になっていることも前提とされる。(http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20060526ddm005070029000c.html)
「福田氏は小泉首相の靖国参拝に批判的で、アジア外交の改善を唱えている。つまり、福田氏は小泉政治に不満を持つ人たちの「受け皿」になっているということだ。」
しかしアジア外交の改善は重要だが、そればかりが注目されるというのも困ったものである。それ以外にも重要な問題があるからだ。もちろん毎日新聞の主張は、自民党総裁選挙が政策論争として活性化するために、小泉路線を修正する議論をする人物の出馬を待ちたいということなのだろうが。
「かつて田中角栄内閣が金脈問題で退陣した後、クリーンなイメージの三木武夫内閣が誕生したように、そもそも自民党の総裁選びは「振り子の原理」で動くと言われてきた。政策やイメージを一新することで政権政党が変わったかのように印象づける。それが長期政権の秘けつでもあった。
それでも福田氏が出馬しないというなら、今の福田氏のような役割を果たす、他の候補の登場を待ちたい。あるいは麻生氏や谷垣氏が、もっと旗幟(きし)を鮮明にするというのも方法かもしれない。」
自民党総裁選を展望するとき、この二人の関係の見極めがポイントになるという。現在、森派から安倍晋三、福田康夫の両氏がポスト小泉の有力候補者とされている。ここで脱派閥型の選挙を掲げる小泉首相と、派閥会長として融和を重んじる森氏の論理が食い違っている。しかしこれは結局は役割分担であり、最終的には森派候補は一本化されるという見方が強いとしている。(http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/kaisetsu/news/20060527ddm004070052000c.html
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「『干からびたチーズ』の第二幕かもしれないな」。これは、以上のような森・小泉の関係を評したベテラン議員である。なかなかうまく表現していると思う。「干からびたチーズ」とは、次のことを指す。
「昨年の「郵政解散」の際、森氏は首相公邸で解散見送りの直談判に失敗した直後、ビールの空き缶を手に記者団の前に現れ、つまみの「干からびたチーズ」(実際はフランス産高級チーズ)とともに、嘆いてみせた。しかし、森氏によると、これは首相と打ち合わせたうえでの、芝居だったという。切られ役となった森氏の姿は首相の決意を宣伝する格好の材料となり、自民の衆院選圧勝を経て森派は最大派閥の座を、揺るぎなきものにした。」
フランス産の高級チーズは、ミモレットというものであるらしい。小泉首相は意識しなかったかもしれないが、ドゴール大統領の好物でもあったという。
雪斎の随想録
じゃあ今回はどうなるの?というと「首相にとっては小泉路線の継承、森氏にとっては分裂回避が譲れない一線。逆にこの前提が両立するなら、安福対決の回避に向け、首相と森氏が話し合う余地はあるとみるべきだ。」
私も全く同感である。森派は安倍さんに一本化されるでしょう。小泉後は、基本的に「小泉路線」を引き継ぐ、自民党員からの支持の強いリーダーが総理総裁となると考える方が無難であるからだ。
毎日新聞はこの記事の前日26日の社説で「自民総裁選 福田さんも手を挙げては」を掲げた、安倍官房長官が7月中旬の主要国首脳会議後に出馬表明する意向を示したことを受けてのものである。福田康夫氏が反小泉の受け皿になっていることも前提とされる。(http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20060526ddm005070029000c.html)
「福田氏は小泉首相の靖国参拝に批判的で、アジア外交の改善を唱えている。つまり、福田氏は小泉政治に不満を持つ人たちの「受け皿」になっているということだ。」
しかしアジア外交の改善は重要だが、そればかりが注目されるというのも困ったものである。それ以外にも重要な問題があるからだ。もちろん毎日新聞の主張は、自民党総裁選挙が政策論争として活性化するために、小泉路線を修正する議論をする人物の出馬を待ちたいということなのだろうが。
「かつて田中角栄内閣が金脈問題で退陣した後、クリーンなイメージの三木武夫内閣が誕生したように、そもそも自民党の総裁選びは「振り子の原理」で動くと言われてきた。政策やイメージを一新することで政権政党が変わったかのように印象づける。それが長期政権の秘けつでもあった。
それでも福田氏が出馬しないというなら、今の福田氏のような役割を果たす、他の候補の登場を待ちたい。あるいは麻生氏や谷垣氏が、もっと旗幟(きし)を鮮明にするというのも方法かもしれない。」